レビューメディア「ジグソー」

ブラッシュアップした音が鮮やかで、よりグルーヴィに!

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。リマスター盤(リマスタリング盤)。近年の音楽はほとんどマルチチャンネルの録音機器に1楽器ずつ、もしくはピアノのように音源が広い楽器では音域ごと、ドラムスのように複数パーツで構成される楽器はパーツごとに録音されます。そのあと、各楽器のバランスや定位を調整するミックスダウンを経てマスターテープ(デジタルでも相変わらずこう呼ばれる)という「曲」が完成しますが、これをCD等に「焼く」際に原盤(スタンパ)を作成する作業を「マスタリング」と呼びます。これをやり直すのが「リマスタリング」という作業です。各楽器のバランスや位置は決まっているので前のスタンパと変わりませんが、このリマスターを手がける人のセンスや製作の意図で「聴こえ方」が違ってきます。一般的には過去の定盤などを現在の音色・音圧傾向にあわせたり、最新のデジタル技術でノイズを消したりするために行われる「リマスタリング」を、最新の作品の追加プレスで行った凝り性のアーティストの作品をご紹介します。

森広隆。何度かご紹介しているファンク系J-POPシンガーソングライター。系統としてはスガシカオやFLYING KIDSといった芯にファンクがある曲達を創り、歌うのだが、もう少しジャジィな薫りもあり、一番近いのはJamiroquaiかなぁ..という感じのアーティスト。

そんな彼の2015年発売の最新オリジナルアルバム(2017年4月現在)が“A Day in Dystopia”。

現在インディーズで活動している彼、初回プレスがどれほどの枚数だったのかは識らないが、めでたく完売したラシイ。

そこで再プレスとなったのであるが....普通は前回使ったスタンパを回してもう一度同じモノを造るのだが、この時リマスタリングすることにしたらしい。

現在彼が使っているギター、「Groovecaster」を製作したKANJI WOOD CARVING & MUSICAL INSTRUMENTSの川畑完之氏からオーストラリアのマスタリングエンジニアDon Bertleyの紹介を受け、ブラッシュアップを依頼したとのこと(このあたりの葛藤はプログに詳しい)。そうして完成したのが“A Day in Dystopia Ver.1.1”。

この2枚ジャケもほぼ変わらず、曲も追加のトラックがあるわけではない。ミックスが変わっているわけでもないので「表面的には」曲の違いはない。

でも聴き比べると「明らかに」違う。

低いところにガツンと「芯」が入る「メガロポリタンズ ファンク」。4つ打ちのバスドラの音の膨らみ(音量ではなく音像)、シンベの立ち方が良く、打ち込み中心のこの曲の下をガッチリと支えて、その上で軽やかに刻まれる切れ味スルドイカッティングが半歩前に出たようなヴォーカルを彩る。

最も音が「粗(そ)」で生っぽい曲、「憂鬱」も同じく空気感がいい。ドラムス佐野康夫、ベース種子田健という名手コンビのリズムがよりガツンとくるが、それは音量ではなく音質の差。バスドラが14インチから16インチもしくは18インチの深胴になったかのような音の深さ(音の高さは変わらないので「口径」ではなく)。アタックのあとの余韻の部分が充実している。ベースの芯もグンと出てグルーヴィ。森クンの声もやはりより近い感じ。

グルーヴィーな種子田のベースがキモチよいフュージョンタッチの曲「Invisible Chain」は低域の心地よさアップはモチロンのこと、河内肇のエレピのキレと森クンのカッティングも音が立っていてゴキゲン。このアルバムの中ではやや音飽和系の曲だが、それでもやはりリマスタリングの効果は出ていて、各楽器の「立ち」が良くてサイコー。

いずれの曲も流して聴けば変わらない。でもきちんと聴くと明らかに違う。

まさに「Ver.1.1」。

森クン自身も自身のブログで「『A Day in Dystopia』買ってくれた方、ホントすみません。あなたのおかげで、上位互換性を持つアップデート版『A Day in Dystopia Ver.1.1』が生まれました。 もう初代Dystopiaを再プレスすることはないので、この2016年に僕と音楽を共有できた証だと思っていただけると助かりますm(_ _)m(森広隆ブログ「やっぱり猫にお熱なんです」2017/01/01の記事“『A Day in Dystopia Ver.1.1』アップデートリリースのお知らせ”より引用)と言うほどの出来。

自分も先日スガシカオのライヴのオープニングアクトに森クンが立ったとき、twitterで本人に問い合わせて販売があることがわかったのでゲト。聴くまではそんなに変わるんかいな、と想っていたけれどきちんとした再生環境ではやっぱりチガウ。

これは是非!
外面的にはここくらいしか違いがないが、音は明らかにチガウ
外面的にはここくらいしか違いがないが、音は明らかにチガウ
....レアモノオタクとしては、既に持っているオリジナル盤(Ver.1.0?)が廃盤となって、レアになったのはそれはそれで嬉しかったり(←病気

【収録曲】
1. ネオフィリア
2. 2D Star
3. メガロポリタンズ ファンク
4. Waterdrops
5. 憂鬱
6. Invisible Chain
7. Rabbit Hole
8. Avalanche
9. 早すぎるクリスマスソング
10. ユートピア

「森広隆 Hirotaka Mori 4th Album 『A Day in Dystopia Ver.1.1』 (Remastered)」

  • 購入金額

    3,000円

  • 購入日

    2017年02月26日

  • 購入場所

    スガフェス EXTRA 〜アコギ侍の宴〜 会場物販

16人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • cybercatさん

    2017/04/16

    森クンの創る歌は好きですねー。
    あとカッティングが上手いのがポイント高い。
    自分的にはソロよりもカッティングの上手いギタリストの方がテクニック上だと思ってるので。
  • 北のラブリエさん

    2017/04/18

    個人的にはSparkleとかBad feelingを練習してくじけますた(*´Д`*)
他1件のコメントを表示

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ6MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが6MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから