レビューメディア「ジグソー」

これがシングルというのが攻めている(余談:CD-EXTRAに入れられたプログラムはWindows10に対応しておりませんでしたorz)

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。長期にわたって活動するアーティスト/グループには作風が大きく変わる時があります。自身のプライベートの変化やグループであればメンバーチェンジも大きなきっかけとなりえますが、レコード会社/レーベルの移籍も要因となりえます。自分たちの活動の方向性を変えるために今まで長く在籍したレーベルをあとにしようとするグループのそのレーベルでの最後のシングルをご紹介します。

DREAMS COME TRUE(DCT)。1990年代バツグンの人気を誇ったグループ。デビューから10年ほど、特に1990年から5年ほどは出すアルバム出すアルバムダブルミリオンやトリプルミリオン達成で、ミリオンアルバムだと「ミリオンしか行かなかった」と形容されるほど。そんな彼らもデビュー時から在籍したエピック(当時のEpic/Sony)から移籍したあたりで作風も変わっていく。

それは海外進出を目指してレコード会社を移籍したからか。

今はインターネットの発達で地域や言語による障壁が低くなり、誰でもスターになれる環境があるが、20世紀末の音楽の中心はUSかUKだった。特にセールスを稼ぐポップス系楽曲に関してはアメリカでヒットしないことには...という風潮。そのため、日本で成功したアーティストやグループは様々な方法でアメリカに挑戦した。日米で別の構成のアルバムを出したり、アメリカで先行してアルバムをリリースしたり...しかし、日本以上にアメリカで成功したグループはいなかった。

DCTもVirgin Records Americaと契約し、対米進出を図ったが、若干それまでとは方向性が変わった。

ポップではじけるような楽曲が多かった彼らがよりソリッドに。よりアーティスティックに。

かつてのコマーシャルでポップな彼らが好きだったファンからは若干の戸惑いを持って受け入れられたが、その萌芽がみられたのが、エピックでの最後のシングルである本作“そうだよ/誘惑”。

いわゆるダブルA面扱いのこの曲、どちらも今までの彼らとはある程度/もしくは/かなり異なる。

「そうだよ」。なんとも不思議な曲。カランとしたギターのアルペジオとメロディーの核となる節回しは「日本のフォーク」を感じるのに、吉田美和のフェイクの取るラインはソウルフル。淡々としたシンプルなバックなのに、小節数が座りがよくない数を使うシカケやバタバタとした生ドラムっぽくないパーカッシヴな音色は攻めている。曲の「どの部分をきりとるか」で印象がかなり違う曲となる。美和のヴォーカルのうまさを前に出した曲。

「誘惑」はアレンジの凝り方が尋常でない?複数弦弾きをパターンに入れたベースパータン、途中のソロはベースソロ、とベーシスト兼アレンジャーのメンバー中村正人フィーチャリング(曲自体は美和のだが)。激しない淡々とした流れの曲だが、美和のヴォーカルのみは「熱唱」という温度差。ちょっとクロい薫りがする。

どちらも、今までのポップなDCTの延長にはない。そしてかなり攻めている。その方向性はアメリカ。特にソウル系にオリエンタルな薫りを混ぜたような感じ。

この作品を最後に彼らはVirgin Records Americaと契約、国内よりもアメリカを重視した活動に軸足を移す。その後メンバーの離脱などもあり、アメリカ進出は決してうまくはいかなかったけれど、こういった実験的楽曲を人気アーティストが手がけることで、日本のポップスの王道が「広がった」感じもする。

そういう意味ではエポックメイキングな作品かもしれません。

CD-EXTRAの説明書がつく
CD-EXTRAの説明書がつく

※ちなみに本作、CD-EXTRA仕様であり、本作収録2曲をバックにしたDCTの写真集(スライドショー)と過去作品のPVも含んでい...るはず。でもWindows10では再生できなかった。サスガにWindows95の時代デスカラネ...こうしてゲージュツは風化していくのであった...クソッ

このラインがCD-EXTRAの証。Windows95ぉ...
このラインがCD-EXTRAの証。Windows95ぉ...


【収録曲】
1. そうだよ
2. 誘惑
-CD-EXTRA-
・スライドショー
・PV

「そうだよ」

更新: 2021/05/25
必聴度

「この」シングル形態で聴く意味はないかも

フォーマットが風化している。

 

....さすがに四半世紀前デスカラネ....

  • 購入金額

    1,000円

  • 購入日

    1996年頃

  • 購入場所

19人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • ぴょんきちさん

    2017/02/09

    こうやって古いフォーマットのデータが緩やかに死んでいくんですな…。
    データ量を無視すれば、アナログだとヒトという再生装置が朽ちるか 情報の器たる紙や石板が朽ちるまでは何とかなるけど、デジタルで特定OSに依存したシステムと対になったデータの場合は…_(:3 」∠)_
  • cybercatさん

    2017/02/09

    Windows95時代のスライドショーですから、せいぜい1280×1024程度、ひょっとしたら640×480かもしれないスライドの中身に今利用価値があるかどうかは?ですが、DCTならいざ知らず、もっとマイナーアーティストの場合代替のない貴重な足跡である場合もあるわけで....

    規格が変わるときには「前規格吸出しツール」みたいのが供給されればよいんでしょうけれど。

    著作権法的に難しいのカナー
  • くろがねッと☆さん

    2017/02/09

    互換モードでWin95モードを試してみてもダメでした?

    あとはWin95のメディアとシリアルがあるなら、VMware や VirtualBox で仮想化環境で試してみるという手も。
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