中西俊博、ヴァイオリニスト。爆裂クインテットなどのバンドから、ジャジィなプレイ、クラシカルなソロ、ポップスの歌伴なども手掛ける多彩な人。そんな彼は舞台音楽も手掛ける。
遊◎機械/全自動シアターは高泉淳子や白井晃を中心とするかつて存在した劇団。本作は第22回公演の「こわれた玩具」の舞台音楽。
舞台音楽故、曲そのものの完結性というよりは劇伴として表現しやすいか、というところにキモがあるはずで、むしろ主張のある?中西のヴァイオリンより他楽器の方がフィーチャリングされているし、2曲を除けば2分台を中心とする短い曲の寄せ集めで、シーンごとの劇伴、という感じ。
しかしその中にも中西の粋で印象に残るメロディが散りばめられている。
サーカスの呼び込み風のスネアを中心とするパーカッション+トランペットとチューバで演奏される「TOY'S DREAM #1」。郷愁を誘うようなちょっと悲しいメロディを奏でるのはペットのエリック宮城!関島岳郎のチューバとの息もぴったり!
ちょっとジブリ的?ノスタルジックでコミカルな「古き良き」工場を感じさせる「FACTORY」はエリックのコミカルなメロディラインと、ズチャズチャとせわしないリズムで曲を前に進ませる山口とものパーカッションプレイが聴きどころ。
「TANGO」。唯一?と言っていいほどのヴァイオリンフィーチャリングの曲。四家卯大のチェロと中西のヴァイオリンが奏でるもの悲しい旋律が沁みる(録音は多重で行われ「薄く」はない)。
ラストの「TOY'S DREAM #3」はこの劇伴のメインテーマがアコーディオン(の音色)で少したどたどしく奏でられる。
もともと台本がない状態で音楽の依頼があり、イメージを伝えて音にしてもらい、その曲をききつつ劇を膨らませるという手法を取ったおかげで(演出の白井との対談による)、曲として聞いても成り立っているところが単なる劇伴に終わっていないところ。「主役」は劇なので中西もシンセサイザーの方を多く使い、ヴァイオリンはあまり弾いていないけれどそこがまた新鮮でよいかな。
モノは中西のサイン入り...でも入手経路が定かでない。劇そのものを見に行った記憶はないから、劇伴のリリースイベントだったかなぁ....中西も最近はすっかり寡作だし、遊◎機械/全自動シアターも15年前には解散してしまったけれど、郷愁を誘うものがなしい旋律が、過去へと連れて行ってくれる作品です。
【収録曲】
1. TOY'S DREAM #1
2. TOY'S DREAM #2
3. ALICA #1
4. FACTORY
5. GADGET WALTZ #1
6. MAHJI
7. BROKEN FAMILY #1
8. CRYING
9. ALICA #2
10. DOHCA
11. BROKEN FAMILY #2
12. SOLITUDE
13. TANGO
14. ALICA #3
15. GADGET WALTZ #2
16. MARCH
17. MACHIINE
18. FLYING
19. TOY'S DREAM #3
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購入金額
2,500円
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購入日
1997年09月27日
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購入場所
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