以前から少し注目していたのですが、タイムセールで見かけたので取り敢えず試しに買ってみました。
SATOLEXという日本の会社の製品です。実際に製品を製造/開発しているのは、ホシデンという電子部品等を幅広く手がけるメーカーで、SATOLEXはホシデンのオーディオ系製品の販売子会社という位置づけとなっているようです。実際にスマートフォンなど、最近の電子デバイスでホシデン製の部品は多く採用されていますね。
今回購入したtubomi DH298-A1は、そのSATOLEXブランドの中でもエントリーモデルに位置付けられている製品です。この製品の最大の特徴は、日本国内の工場で製造されていながら、実売価格3千円台にしてハイレゾ対応を明記しているということです。以前取り上げた低価格ハイレゾ対応製品となる、ELECOM EHP-CH1000GDや、茶楽音人 Co-Donguri雫以上に安いのですから、ある意味驚異的といえます。
もっとも、以前から何度かこの話はしていますが、ハイレゾ対応というのはヘッドフォン・イヤフォン・スピーカーの世界ではとにかく40,000Hz以上の音を再生できることだけが条件であり、直接的な音質の良さとは全く関係はありません。あくまで「40,000Hz以上を再生する能力を持つ」以上の意味はそこに無いということは気にとめておくべきでしょう。
ちなみに、このDH298-A1については再生周波数範囲20~45,000Hzとなっていて、高域方向のワイドレンジぶりはこの価格帯としてはずば抜けているといって良いでしょう。反面低域は20Hz未満は出ていませんので、少し高域寄りと解釈するべきなのかも知れません。
ローエンドモデルらしく、外観的な飾りは殆どなく、実用性重視のパッケージとなっています。
添付品もシンプルで、イヤーピースと説明書兼保証書だけが用意されています。イヤーピースはSENNHEISER IE80の添付品に材質や形状が似ています。
好みに合えば良いのかも
それではいつも通り試聴してみましょう。試聴環境はこちらの2つです。
ソースはこの辺りを適当に流してみました。
まず、大まかな傾向からいえばドンシャリです。ただ、低域は低い方が出ておらず、バスドラムの重量感などは全く出ません。しかしベースの帯域が極端に膨らみ、一聴すると低域が分厚いと感じられるようにチューニングされているようです。
高域は割とはっきりとして曖昧さがないという辺りは好印象なのですが、決して質感が良いわけではなく、ハイハットの金属感もあまりキチンとは表現されません。単純な周波数範囲は伸びているということはよく判るのですが…。
そして弦楽器やヴォーカルの質感という辺りで、より上のクラスとははっきりと差がついてしまいます。実はこの楽器やヴォーカルの質だけでいうのであれば、スポーツ特化型であるyurbuds VENTURE DUROの方が出ている音は魅力的に感じられてしまうのです。分厚い低域の影響もあるのか、中域は見通しが少々悪く、響きの部分もあまり美しくは感じられません。
近い価格帯にはPHILIPSの大ベストセラー、SHE97x0シリーズがありますが、どちらか一方を選ばなければいけないとするのであれば、私の好みからいえばSHE97x0の方を選ぶと思います。やはり経験値の差なのか、SHE97x0の方が音楽を素直に楽しめます。おそらく再生している周波数範囲はDH298-A1の方が遙かに広いのでしょうけれど…。普段聴くソースなどによって、DH298-A1の方が好みという方もいらっしゃるかもしれませんが。
この製品はSATOLEXブランドの中製品の中でも初期のものに属しますし、今後いろいろなフィードバックを受けることで次回作以降に反映されていくのでしょう。性能から考えればこの価格としては十分すぎるものがありますので、音質に磨きがかかってくるのは次世代からではないかという気がします。以前ELECOM EHP-CH1000GDのレビューでも書きましたが、低価格帯にも意欲的な製品を投入するメーカーであるだけに、何かを掴めば一気に名作を生み出すだけの力を付ける可能性もあり、今後が楽しみといえるでしょう。
-
購入金額
3,000円
-
購入日
2016年11月13日
-
購入場所
eイヤホン
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。