レビューメディア「ジグソー」

シングルなのにTOTOの歴代ヴォーカリストの声が聴けるめずらしい盤(ただし“Summer edition”に限る)

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。シングルは発売後もテコ入れされることがあります。ジャケットの変更やCFとのタイアップなどでのTVサイズヴァージョンの追加などがよく見られますが、後からライヴテイクが付け加えられた作品はあまり多くないかも知れません。しかしそれによってベスト盤でもないのにバンドの歴代ヴォーカリストの声を聴くことができる面白い立ち位置になった作品があります。そんな作品をご紹介します。

TOTO。職人集団であるスタジオミュージシャンにスポットライトを当てたアメリカンロックバンド。日本では1st

から高い人気を博したが、本国ではグラミー賞を総なめした傑作アルバム“TOTO Ⅳ”

でやっと火がつく。

ただこの後からがメンバー的にはむしろ安定しなくなる。まずベーシストのDavid Hungateが離脱、後任にバンド内に兄弟がいたMike Porcaroが加わる。Mikeは他のメンバーとTOTOデビュー前にセッションしていた仲だったのでここまでは穏やかだったが、その後メインヴォーカリストがBobby KimballからFergie Frederiksenに代わり、さらにJoseph Williams、Jean-Michel Byronと1~2作ごとにバンドの「顔」であるヴォーカリストが入れ替わるという状態に。そのさなか、オリジナルメンバーでバンドの音色的特徴だったツインキーボードの片割れSteve Porcaroが離脱、そしてバンドの大黒柱=Jeff Porcaroの急死とバンド存続の危機を迎える。結局彼等はバンドを継続することにして、スーパーテクニシャンSimon Phillipsをドラマーに迎えて再出発。ただその後もオリジナルメンバーであるDavid Paichのツアー不帯同によってキーボーディスト兼ヴォーカリストとしてGreg Phillinganesが加わったりとメンツが一定しなかった。このあと一時的な休養を挟んで、Joseph WilliamsやDavid Hungate、Steve Porcaro等が出戻り現在また活動をしているが、その休養前の最後の作品“Falling in Between”からのシングルカット。

当初表題曲のみで発売されたが、その後“Summer edition(邦題“サマー・06・ツアー・エディション”)”として過去のヒット曲のライヴ音源を加えて再発された。カップリング2曲が収録時期の異なるライヴ音源でもあり、シングルではあるものの1枚で複数のTOTOのヴォーカリストが味わえる盤になっている。

まずタイトル曲「Bottom Of Your Soul」。メインヴォーカリストとしてはBobby Kimballが復帰していた時代の“Falling in Between”からのシングルカット曲なのではあるが、元ヴォーカリストのJoseph Williamsをゲストに迎え、Steve Lukather(Luke)と二人で歌い分けた曲で、Bobby時代のアフリカンビートの名曲「Africa」と対を成すような曲。Josephは様々な音楽性を内包するTOTOというバンドに取って一番「合っていた」といわれるヴォーカリストでこの曲でも表現力豊かなところを見せる。リズムオリエンテッドで緩やかに大きなグルーヴが感じられ明るめだったJeffのリズムと異なり、(詞の内容的にも)昏く熱情的で弾けるようなSimonのドラムスが印象的。このシングルでは明確にクレジットされていないが、Jason Scheffがコーラスで参加しているようだ。

つづく「Gypsy Train」はJeffの最後の作品となった“Kingdom of Desire”からのハードチューン。リリース時期が専任ヴォーカリストがいなかった時期なのでメインヴォーカルはLukeが取っているのだが、サビでは復活していた初代ヴォーカリストBobby Kimballの声が聞こえる。バンドが最もギターバンド寄り、ハード寄りに行ってた時期のナンバーで、ラストのLukeのソロもアツい!

次はいわゆるヒット曲メドレーでヒットアルバム“TOTO Ⅳ”から全米トップを獲った「Africa」とアルバムリードチューンでこれも全米一桁の「Rosanna」そして当時最新シングルの表題曲「Bottom Of Your Soul」となっているが、このライヴにはDavid Paichが参加しなかったため、元々DavidとBobbyで歌われた「Africa」はGreg Phillinganesとのコンビになっているし、「Bottom Of Your Soul」もJoseph不在のため、BobbyとLukeの組み合わせ。でも面白いのが唯一のオリジナルヴォーカリストの組み合わせの「Rosanna」(LukeとBobby)が一番出来がイマイチのような気がするのは気のせい?w

この作品の後彼等は休養に入り、復活時にはまたヴォーカリストが変更(Joseph復帰)となるけれど、2016年現在最新の作品“Toto XIV”をリリースした時点では今度はリズム隊が総取っ替えとなる(Mikeが鬼籍に入り、Simonが離脱)ため、また様相が違ってしまっている。
一時活動休止前ラストシングルは装丁簡素だけど中身は濃い
一時活動休止前ラストシングルは装丁簡素だけど中身は濃い
その観点では、TOTOの歴代ヴォーカリストの声が聴けるシングルであるともに、ファンの中で最高傑作の呼び声高い“The Seventh One”

の当時望むべく最大の状態での再現盤とも言え、実は聴き逃せない作品です。

【収録曲】
1. Bottom Of Your Soul (radio edit)
2. Gypsy Train (recorded live at Gampel Festival in Switzerland, 22 August 2004)
3. Africa/Rosanna/Bottom of your Soul
  (TV mix medley/recorded live in Bordeaux, France, March 2006)
4. Bottom Of Your Soul (album version)

「Bottom Of Your Soul」

  • 購入金額

    1,500円

  • 購入日

    2006年頃

  • 購入場所

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