レビューメディア「ジグソー」

ある意味安心する、SPEEDとしての定番展開

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストと制作陣、両者の関係はアーティストの力量や経験、事務所の意向やジャンルなどで異なりますが、アイドル系の場合はアーティスト<制作陣であることが多いようです。その結果、アーティストにとって制作陣のカラーが強く刷り込まれ、後年別の制作陣を起用して新味を出そうと思ってもしっくりとこず、結局元の制作陣に戻ったりすることがあります。初期の活動で制作陣のカラーが曲のヒットともに刷り込まれ、再活動時には制作陣を変えたものの、最終的に元に戻したアーティストの作品をご紹介します。

SPEED。20世紀末を疾風のように駆け抜けたアイドルグループ。このとき全員が小中学生で深夜帯の番組に生で出られないとかTVの音楽番組の最高視聴率を記録するとかイロイロな記録を打ちたて人々の記憶に鮮烈な刻印を残して4年足らずで去った。ちょうど彼女たちが中学を卒業するあたりのことで、女性が一番「変わる」時期の前に解散した形。ここまでの活動がSPEEDとしての一番コアな活動で、この時代は最初から最後まで伊秩弘将がプロデューサー兼作詞作曲。彼は他にもdeepsやアイドリングNEOを手掛けたが、売れ具合やイメージとのマッチングの高さで、伊秩カラー=SPEEDという印象。彼女たちは解散後、単発の再結成を挟んで、つい最近までまたグループとして活動していた。本作はその活動後期の半ばあたりに位置する17thシングル。

この活動後期は必ずしも伊秩が楽曲を手掛けず、BENNIE KのYUKIや島内大樹らが作曲したこともあったが、これはメンバーからのオファーでもあったという。

ただSPEEDらしさというか、刻印されたイメージと合っていたのはやはり伊秩の曲。後期にもいくつか伊秩が手掛けた曲があるけれど、他者が手掛けた曲と比較すると安心するというか、しっくりくるというか....

暗めのイントロにやや明るさを増したAメロが続き、ダンス主体のメンバーHITOEとTAKAKOのラップ調のBメロが来て、パァッと明けたサビを全員で歌うというSPEED王道の「ヒマワリ -Growing Sunflower-」。hiro(高域担当)とelly(中域担当)の役割分担も良く、ともに魅せ場があり、曲的にも最後にsus4(Suspended 4th)からの解決という王道コード進行が明るさを期待させて彼女たちらしい。

「Moonlight Honey」はヘヴィめの楽曲で唸るギターがガンガンのダンス曲。硬い打ち込みのバックにファットなシンセが埋める音場に切り込むハードなギターがいい(プレイはatushi。他の楽器がSiZKなのでDELTA THROBの篤志か?)。これはステージでダンスを魅せることに主眼を置いた曲。歌自体はほぼソロなしの合唱スタイル。

一転「My Street Life」は3連系のバラード。若い頃(というかこの時点でも十分若いので、幼い頃、というか)より深いellyの声で始まり、Bメロで上手くhiroに繋いで、サビは盛り上がりをhiroに渡すというSPEED王道構成。スローな曲だと以前にも増してellyの声の下の方のピークと、hiroの声の張りが際立っていい感じ。

DVDはクリアでヴィヴッドな色調とスロー再生を使った動きが印象的な「ヒマワリ -Growing Sunflower-」のPVとそのメイキング。メイキングは制作現場撮影に加えて、撮影現場で遊ぶ?メンバーの風景=ellyとhiroが他メンバーを撮影する風景が収められている。この中ではメイキングが興味深い。PVの中で花びらや葉っぱがメンバーに絡みながらゆっくりと舞い落ちる...というシーンがあるのだが、あれはスロー再生とそれを見越したメンバーの動きの制御の賜物..というのが判る。撮影時は一瞬で落下してるのでw
PVでは3~4秒ほどかけて舞い落ちる花びらは実際には1秒ほどのボタ落ちw
PVでは3~4秒ほどかけて舞い落ちる花びらは実際には1秒ほどのボタ落ちw
SPEEDはこの後1年半ほどの間何枚かCDをリリースするがその後活動停止する(解散が明示されたわけではないが、メンバーの一人=HITOEが契約更新しなかったらしい)。少女だった彼女たちが表現したSPEEDを、成熟した女性となった彼女たちが新たな視点で表現し直す、という点では活動後期はそれはそれで面白かったけれど、やっぱり一番印象深かった時期の「定番」で来ると安心できる。

この安心感を「グループカラーとのマッチングが良い」と取るべきなのか「過去の焼き直し、マンネリ」と表現すべきなのか。
蒼い空を写したディスクが美しい
蒼い空を写したディスクが美しい
グループカラーというのが明確である、というのはある意味そのアーティストにとって幸せなことでもあるのだけれど、あまりに一つのカラーで染め上げられたアーティストが違う面を見せることのむずかしさも感じさせてしまう作品です。

【収録曲】
<CD>
1. ヒマワリ -Growing Sunflower-
2. Moonlight Honey
3. My Street Life
4. ヒマワリ -Growing Sunflower- (Instrumental)
5. Moonlight Honey (Instrumental)
6. My Street Life (Instrumental)
<DVD>
1. ヒマワリ -Growing Sunflower-(Music Clip)
2. music clip making
3. カメラマン絵理子の「スタジオ探訪2」
4. 番外編「フォトグラファー絵理子」
5. カメラマン寛子「デビュー」

「ヒマワリ -Growing Sunflower-」(SPOT)

  • 購入金額

    1,800円

  • 購入日

    2010年頃

  • 購入場所

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