テキサスインスツルメンツ(旧ナショナルセミコンダクタ)のオペアンプです。プラスチックDIPのLME49720NAに対して、こちらはメタル缶のパッケージ(TO-99)です。
DIP版より透明感がある
DIP版のLME49720NAと比べて音に透明感が増します。メタル缶のパッケージはPDIPと違って中身たるシリコンダイが圧迫されておらず、それが音にも影響しています。ただ、MUSES02と比べるとやや繊細さに欠けるきらいがあります。ハイエンド品と比べるほうが悪いのですが。
なお、過渡応答はLME49720NAと同様です。シリコンダイが同じなので当然といえば当然ですが。
LME49720の過渡応答。これはDIP版のものだが、メタル缶版でも同様だった
(12/30追記)参考までに、15Ω負荷(セメント抵抗)時の過渡波形を以下に掲載します。
変換基板でさらに使いやすく
2回路入りですがDIPのパッケージではないので、そのままでは使いづらいです。無理やりDIPのソケットに実装する手もあるでしょうが、変換基板が市販されています。
電気的な特性はLME49720NAと同様で、±2.5~±17Vで駆動し、ユニティゲイン安定で、32Ωイヤホンもおそらく駆動できます。なお、600Ωラインは「余裕でドライブ」と明記されており、ラインドライバの回路が応用例として記載されています。
なお、缶の外装は電気的にどこにも接続されておらず、浮いているようです。
メタル缶のオペアンプの中では良い方
メタル缶のオペアンプはDIP品と比べ高価で、OPA627、OP42などごく一部しかありません。しかも、その多くは1回路品です。
しかし、このオペアンプはメタル缶パッケージでは珍しい2回路品です。メタル缶の2回路入りでは他にモトローラのMC4558CGが知られています(4558といえば新日本無線、というイメージが有りますが)。メタル缶のオペアンプの中ではコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。
なお、LME49720の1回路品であるLME49710にも、缶パッケージがあります。
本来的に放熱性に優れる
24V cMoy回路では、外気温29.8℃に対して39.9℃まで上昇します。触ると熱く感じます。メタル缶のパッケージは放熱性が良いため、DIP版より表面温度が高くなっても不思議ではありません。TO-99パッケージには専用のヒートシンクがあるので必要なら使いましょう。
なぜシャーシに負電源を流さない
AD00031の基板をむき出しにした状態で実験したところ、40cm程度離れたところからでも電磁ノイズ(iPhone 5c)がまだかすかに聞こえます。中身が同じなのである意味当然ですが。他のオペアンプならすぐ減衰するのでこの辺りまで離すと影響しないはずですが……
メタル缶のICの場合、筐体をGNDや負電源に短絡させることが良くあります。オペアンプにはGNDの端子がないのでこの場合は負電源ということになります。しかし、この石はどことも短絡されている様子がありません。ただ、テスターで測ってみると負電源に近い電圧になる様子があるのでよく調べたところ、4番ピンと缶の間の抵抗が約15.5MΩありました。デジタル回路でいうプルダウン抵抗みたいなものでしょうか……? そうであれば、ヒートシンクをシャーシアースに接触させても問題はないはずです。
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購入金額
1,450円
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購入日
2015年頃
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購入場所
デジット
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