所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。記録に残る曲と、記憶に残る曲。「売れた」曲にはこの2種類があります。我々の記憶に残る曲も、そのリリースのタイミングや初期インパクトなどの問題で、必ずしもチャート的には頂点を極めていない場合もあります。それは音楽史上に残るスーパースターでも、また。20世紀に、歌声、曲、ダンスで我々を魅了したスターの記録<<記憶な曲をご紹介します。
Michael Jackson。不世出のスーパーエンターテイナー。1980年代のダンスミュージックは彼なくして語れない。初めて自分で曲を書いた1970年代末の“Off The Wall”から予兆はあったが、1980年代の二つのアルバム“Thriller”
と“Bad”
のスーパーノヴァ級の爆売れで音楽史に深い足跡を残した。
“Smooth Criminal”は大ヒットアルバム“Bad”からのラストシングル。実に7枚目のシングルで、もうシングルを切る曲がないといわれた、「優先度が低い」曲だった。また前アルバムの「Billie Jean」や「Beat It」、“Bad”からも表題曲「Bad」や「I Just Can't Stop Loving You」など多数のNo.1ヒットが出たが、この曲はチャート7位にとどまり(←いやそれでも十分すごいんだけれど、他の曲がもの凄すぎる)、他の曲に比べればセールス側は当初力を入れていなかった。しかし後に当時隆盛だった音楽ビデオ専門チャンネルMTVでの完成度の高いPV放映や、Michaelの手がけた映画(Michael Jackson Moonwalker)の劇中で取り入れられたりしてジワジワと人気曲となった曲。そういう意味では「ゾンビダンス」の「Thriller」がチャート的には実はトップを獲っていないのに、繰り返しMVが流されたおかげで「誰でも識っている」のに似ている。
この曲はマシンガンのようにキレの良いMichaelのヴォーカルと、David Williamsのカッティングギターソロ&ミュートリズムギターがキモ。構成としては展開もさほどないのにもかかわらず、機械のようなカッティングと堅いリズムがCOOLに絡み合って印象的な曲。
本作は、その「Smooth Criminal」ばかり5ヴァージョン入っているが、それぞれメチャクチャ大胆に変えているわけではないのに結構特徴がある。
「Smooth Criminal (Extended Dance Mix)」は、導入のビームサーベルのような「シュワァァン」というSEとDavidのリズムギターが強調されてるクリスピーな感じのもの。打ち込みなんだけれど、ハイハットオープンの入るところが絶妙で、すごく練られている(歌の切れ目、ブレスの位置などに“シュポッ”と入っている)。Michaelのボイパのキレが素晴らしい!
ボイパが目立ち、スネアのゲートも深く、ベースもブリッとしたスラップ調であの特徴的なベースラインが少し改変されているリズム隊が強調された「Smooth Criminal (“Annie” Mix) 」はサビの所の女声コーラス(♪Annie, are you ok? / So, Annie are you ok / Are you ok, Annie♪)の部分にMichaelのフェイクラインが入りフレーズが良く聞こえる形になっているので、「“Annie” Mix」なのかな。
「Smooth Criminal (Dance Mix - Dub Version) 」はMichaelのヴォーカルレスのインストヴァージョン。ので、かえって印象深い。メロディも取っ払われ、Am⇒Gmaj7⇒C⇒Gmaj7という循環コードのAメロ、ほとんどがFとGの繰り返しのBメロと単調なつくりなのに、この躍動感はどうだ!
「Smooth Criminal (A Cappella) 」は逆に若干音量を下げられたドラムス以外の楽器を取り去った、Michaelの声の表情やブレスが良くわかるヴォーカル「のみ」ヴァージョン。単なるMix違いでとくにこのために歌い直したりはしていないようだが、Michaelの声だけでぐんぐん前に進むドライヴ力がある。
この「Smooth Criminal」、出たタイミング的に世の人が食傷気味だったのかヒットチャート的には華々しくないけれど、Michaelの楽曲のファン投票などでは十本の指に入る支持。
人間の五感って実はどれも同じだけのインプットではなくて、「視覚」が最も情報量が多いとか。音楽を印象付けるのにも目からの刺激が効果があって、当時繰り返し流されたMVのストーリー性、キレッキレのMichaelのダンスで、もう四半世紀以上の時が流れたにもかかわらず強く印象に残っている曲です。
【収録曲】
1. Smooth Criminal (Extended Dance Mix)
2. Smooth Criminal (Extended Dance Mix Radio Edit)
3. Smooth Criminal (“Annie” Mix)
4. Smooth Criminal (Dance Mix - Dub Version)
5. Smooth Criminal (A Cappella)
「Smooth Criminal」本作Mixの音源は見当たらないので、8分付近のMichaelのダンスと全体を通したストーリー性が超絶カッコ良い10分のフルサイズMVを。
“Smooth Criminal”そのものは絶対に聴くべき。ただオリジナルの完成度が高すぎる。
このリミックスが悪いわけではないが、オリジナルが「良すぎる」。
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購入金額
2,000円
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購入日
1989年頃
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購入場所
北のラブリエさん
2016/08/10
ダウンロード販売で買ったバージョンがなんか期待していたものと違っていてかなーりがっっかりしたものですたい。
cybercatさん
2016/08/10
特にゼロ・グラビティはどうやっているのか当時話題になりましたね!