もともとVOCALOIDは「無味無臭」のものだったが、クリプトン・フューチャー・メディアがキャラクターをイメージとして導入し、VOCALOIDのエンジンが新世代のVOCALOID2となった時に採用した初音ミクがその容貌からくるイメージと、製品自体の性能とが合致してヴァーチャルな「イメージ」が出てきた。そんな「実体」を持ってきた「ボカロ」を使いこなした作品がじん=自然の敵Pの初期のこの作品。
彼は自分の創った仮想世界、「メカクシティ」を中心とする「カゲロウプロジェクト」で熱狂的ファンを持つが、本作はもう少しVOCALOIDにフォーカスした作品。使われたVOCALOIDはIA。VOCALOID第3世代に当たるエンジンでとてもなめらかで明瞭な発声が特徴。そんなIAを「バンドメンバー」としてフィーチャリングしたものが本作。
「ワールド・コーリング」は左右に散らされたギターのアルペジオ風フレーズとバックビートが明確でないドラムスのプレイのみのバッキングで始まるが、新世代VOCALOID=IAのかなり「自然な」声で嫌みがない。ベースやキーボードの他楽器が入った状態のサビの部分は、まさに「じん節」。キャッチーでVOCALOIDの「よいところ」を上手く使う節回し。
「LIVEDRIVE」はカーレースSuper GT500でLEXUSチームのサポーターソングになっただけあって、ギターのリフが力強い前へ、前への曲。VOCALOIDの中では滑舌よさめのIAの声が曲を「減速」させておらず、ハイスピードなこの曲を盛り上げる。
どちらの曲もバンド仕立てで、じんらしいアピール度が高い楽曲。そこに乗るIAの声が(さすがに人工臭さがないというと言い過ぎだが)きちんと「ヴォーカル」していて、サンプラーで造った♪Ah~♪というコーラスのような「楽器の発音が人の声」というような印象が少ない曲。これがIA発売の2012年の作品というのも意味があって、以降IAをつかうPが多くなったのもの彼の影響か(というかVOCALIODの使い手であるじんによるプロモーション的な意味合いもあった曲だと思う)。DVDは両曲のMVだが、雰囲気はまるで違う。やわらかでパステル調のタッチの「ワールド・コーリング」の軽やかで華やかなMVに対して、基本モノクロでレースシーンをカットインしながらプレイヤーの全体を写さず逆光気味のプレイのアップで構成された「LIVEDRIVE」。後者には歌うIAの姿もある、という構成。まさにメンバーしてる。VOCALOID。以前は音楽のジャンルとしてはキワモノ扱いされていた時期もあるが、今ではすっかり日本を代表する楽曲の一ジャンル。それはこのあたりから潮目が変わった..と思える作品です。
【収録曲】
<CD>
1. ワールド・コーリング
2. LIVEDRIVE
3. ワールド・コーリング(Instrmental)
4. LIVEDRIVE(Instrmental)
【DVD】
1. ワールド・コーリング(MV)
2. LIVEDRIVE(MV)
「LIVEDRIVE」
-
購入金額
1,728円
-
購入日
2016年02月14日
-
購入場所
TOWER RECORDS
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。