これは旧ソ連の関数電卓です。但し、私が入手したものはソ連崩壊後のロットで、デッドストックでした。
電源は単3電池3本か、ACアダプタを使います。但し、ACアダプタはもちろんソ連規格であり、220V・50Hzが必要です。東日本では昇圧トランスと変換プラグがあれば使えそうな気がしますが、西日本では周波数も異なるためややこしいことになります。
ケースがついていますが柔らかいです。
東側の工業力が知れる一例
全体的に計算が遅い上、精度も悪いです。関数電卓マニアの間では有名な tan(355/226) を計算させると、-10000000 と出てきます(正しい値は8桁精度では-7497258.2)。しかも1秒くらいかかります。西側ではもっと古い時代のHP35でさえ上2桁は正確だそうです。
これはプログラム電卓であるにもかかわらず、メモリが保存されません。電源を切るとプログラムも消えてしまいます。
16進数の演算ができますが非常に限定的な上(16進同士の加減乗除もできないようです)、上1桁が潰れます。また、0xA~0xFに当たる文字が英字ではなく「-」「L」「С」「Г」「Е」「空白」と特殊な上に空白が含まれわかりづらいです。
ちなみにエラーは ЕГГОГ と表示されます。
その他東側らしい特徴
東側らしい特徴として、「定価85ルーブル」という刻印があります(参考までに黒パンが1斤16カペイカだったそうです)。西側ではこんな刻印は普通しません。西側の国では「定価」とは「希望小売価格」であり、値引き販売されることがよくあるからです。
説明書はすべてロシア語ですが、なんと回路図が添付されています。といっても、オープンソースハードウェアなどではありません。共産主義国のことですから、特許などを「腐敗したブルジョアどもの概念」とでも思っていたのでしょう(世界の紛争地でカラシニコフが使われるのも似たような理由です)。
シフトキーの取り消しが効かない
入力は逆ポーランド式ですが、全体的に動作がもっさりしています。Enterキーに当たるものは「В↑」キーです。シフトキーが2種ありますが、押し直しても取り消しができません。ボタンの数が少ないためか、2乗や平方根といったよく使う関数も裏に来てしまっています。
また、ボタンを押すときの感触がぺチッといいます。しかも振るとカシャカシャいいます。HP35sは振ってもカシャカシャいいません。付け加えるとMK-61にはボタンの色にばらつきがあります。
VFDを使っている模様
前述のとおり16進計算の時表示がわかりづらいです。
評価点は、VFDを使っていることです。VFD作ったのは日本のはずですが、何故東側で採用されていたのでしょうか。
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購入金額
9,800円
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購入日
2015年05月11日
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購入場所
ヤフオク
kaerkiさん
2016/07/03
なんでだ。
MihailJPさん
2016/07/05
ブレジネフ政権時代は停滞の時代だったと言われ、20年ほどの間進歩がなかったからかもしれません。ソ連は社会主義国である以上競争がなかったからですね。当時から日本の製品は人気だったそうです。