(2017/5/14修正)年代はもっと後だそうです(コメントより)。
FN-20は12桁・加算器式の事務用電卓です。デスクトップサイズですが、A4サイズの手提げ鞄に入るくらいの大きさです。下位の機種としてFN-10というものがあり、こちらは10桁です。これは1975年(→1985年~86年だそうです)に発売された機種だそうで、販売終息品であり、入手したものは中古品です。裏は取れていませんが当時の値段は16800円(FN-10は13800円)だったという情報があります。
最近は加算式の電卓が少なくなってきましたが、慣れているとこちらのほうが使いやすいです。電算会計が普及したからでしょう。伝票会計では、伝票を1枚1枚めくりながら電卓を叩く、という作業があり、そのための電卓として加算器式が広く使われていました。
単1電池を使う
電源は単1電池2本か、ACアダプタです。但し、ACアダプタは入手できなかったので電池でしか動かしていません。
最近は単1電池で動く機器自体がまれになっています。単1電池は大きいからです(但しその分電荷が多く、50~60kC(キロクーロン)です。ちなみに単3は7~10kC、CR2032(コイン電池)は720C程度です)。
電源スイッチは本体右側面の波動スイッチです。
ACアダプタはセンターマイナス
「ACアダプタは汎用品が使えないのか」という疑問については、「極 性が逆なので使えません」が答えです。一般的ACアダプタは2次側がセンタープラスになっていますが、カシオの電卓ではセンターマイナスになっています。 日本橋に行けばDC極性変換ケーブルがあるようですが、やったことがないのでわかりません。ACアダプタの型番は AD-4160 です。それにしても、電池では3VのはずですがACアダプタはなぜか6Vです。何が起きているのでしょうか。
事務用電卓に必要な要素は揃っている
事務用電卓の特徴である「丸めセレクタ」「定数乗除算機能」(加算器式なので下限さんの定数計算はない)「桁区切り表示」「百分率・マークアップ計算」「2桁アドモード」を完備しています。また、増減率計算が「当月実績」「÷」「前年同月実績」「%」「-=」でできます。加算器式ではこの機能が搭載されている機種とそうでない機種があります。
また、総計(GT)機能があり、通常のメモリと独立しています。算式電卓であっても、通常のメモリと独立した総計メモリがあると便利ですが、加算器式でも同じです。加算と乗算が混在する計算で役に立つからです。
丸めセレクタは切り上げ・切り捨て・四捨五入・浮動小数点表示、桁数も0桁・2桁の他、1桁、3桁、4桁、6桁が選べます。私の場合は小数点以下1桁で計算することが多いので便利です(機種によっては1桁が選べない)。
また、2桁のみですがアドモードを搭載しています。アドモードは「円と銭」「ドルとセント」といった単位の計算で入力しやすくする機能です(多くの国の通貨では、補助単位が基本単位の1/100です)。
その他、加算器式電卓の特徴としてアイテムカウント機能があります。「+=」キーまたは「-」(機能としては-=キーに相当します)キーでカウントアップしますが、オフにもできます。
事務用の作り
事務用電卓の特徴である「長い0キー」「大型+=キー」(この電卓は加算器式なので+キーではなく+=キーです)「バックスペースキー」を完備しています。
しかし、「00」キーを搭載しておらず、代わりに「000」キーがあります。私の環境では「000」の入力が滅多にない(取り扱う数値にほぼ常時端数がある)のであまり役に立っていません。
ボタンは現行品と比べ押し応えがあります。昔のキーボード、あるいはRealForceのハイプロ仕様を彷彿とさせるキートップです。経年劣化なのか私が持っているものは一部チャタリングが見られましたが、軽く押した場合は起きにくいようです。
私の環境では増減率計算が多いので、増減率計算の操作がやや煩雑だと感じます。こればかりは算式電卓に分があります。
カシオの電卓の特徴として、除算の定数計算の場合除数と被除数の入力順が入れ替わります。最初混乱しました。
VFDは見やすい!
表示は蛍光管(VFD)で明るく見やすいです。単1電池を使う分電流に余裕が出るのでしょう。
カシオの電卓の特徴として「+」や「×」が画面に表示されるというのがありますが、この製品でも「×」「÷」の表示が出ます(加算器式なので加算や減算では出ません)。
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購入金額
500円
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購入日
2015年03月21日
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購入場所
ヤフオク
DentakuManiaさん
2017/05/14
FN-20は私も持っています。VFD表示で乾電池で動作する電卓としては、トップクラスに位置する製品だと思います。今回はレビューの内容について、幾つか補足したいと思います。
1.FN-20を1975年の製品と言われていますが、FN-20の発売は1985~1986年です。1975年の実務加算器電卓と言うと、カシオでは121-F,122-F,162-Fといった製品の時代です。その後1979~80年にF-1/F-2/F-3の「Fシリーズ」、1981~82年にFD-20/FD-30の「FDシリーズ」、そして1985~86年にFN-10/FN-20の「FNシリーズ」という発売順になっています。
自分は1975年のカシオのカタログを持っていますし、1982年のカシオのカタログ画像も見ましたが、どちらにもFN-20は載っていません。1987年のカタログには載っていますので、発売時期については間違いないと思います。
2.ACアダプタがセンターマイナスの件ですが、極性統一型ACアダプタが主流になる前は、ソニーや松下を始めとする電機メーカー、カシオやシャープもACアダプタはセンターマイナスがほとんどでした。当時はそれが主流だったのです。
また電池駆動が3VなのにACアダプタが6Vの件については、当時の3V用カシオACアダプタ(AD-2S)は消費電力0.*Wの小型電卓用で、消費電力2WのFN-20では出力電流が足りない事が大きいと思います(AD-2Sは150mA。4.5VのAD-4145や6VのAD-4160は300mA)。またAD-2Sに比べればAD-4145やAD-4160の販売数はずっと多かったので、FN-20用に新たにACアダプタを作ったり買わせたりすることなく、ユーザーが手持ちの物をそのまま使えるようにした、という販売上の考えがあったと思います。
ちなみにFN-20は、AD-4160でなくても4.5VのAD-4145で使えます。おそらく3Vでも出力300mA以上、プラグが5.5mm径のセンターマイナス型ACアダプタなら、動くでしょう。表示が若干暗くなるかもしれませんが・・・なおAD-2Sはプラグ径が違うので、FN-20には接続できません。
光る加算器式電卓の部屋