ごく一部の販売店で、極めて安価なSSDとして販売されている製品です。今は安売りが終わってしまっていますが、安売り対象期間には240GBモデルで5,780円という最廉価製品でした。
もっとも、素性が謎に包まれているというところが若干の不安要素です。公称データでは、最大リード560MB/s、最大ライト510MB/s、Hynix製TLC NAND搭載というところまでしか明らかになっていません。そこで、買って確認してみようということで、早速入手してみました。
パッケージはいつも通りのCFD販売ですが、記載されている情報はいつも以上に乏しくなっています。3年保証で付属品無しという事ぐらいしか追加情報はありません。
筐体も至ってシンプルです。片面にCFDのラベルが貼られている以外には、何の手がかりもありません。ラベルが貼られていない側にはネジが1本見えています。このネジと填め込みで組み立てられています。
なお、側面には「WARRANTY VOID IF BROKEN」シールが貼られていますので、分解するとその時点で保証は失効します。良い子の皆様は分解しないようにして下さい。
速度は今時の標準をキープ。コストパフォーマンスは良好
それでは、まずはいつも通りのベンチマークテストです。Xeon E5-2670を搭載したASUS P9X79のSATA 6Gbpsポートに接続しています。
▲Crystal Disk Mark Nano Pico Edition
最近のTLC NAND搭載SSDとしては、ごく標準的な水準です。ランダム(特にシングルスレッド)は高速型のMLCモデルに及びませんが、それでも一昔前の製品よりは総じて優秀な結果でしょう。寿命の点では若干の不安要素はあるものの、この価格でこの程度の速度であれば気軽に使えるのではないでしょうか。
さて、ここで素性を探るべくCrystal Disk Infoの情報も確認してみましたが…。
手がかりになるようなデータは得られませんでした。こうなってくると分解して基板を見てみるしかありません。
まず、コントローラーはSMI SM2256Kでした。最近のTLC NAND搭載SSDでは比較的広く採用されているコントローラーですね。また、キャッシュメモリーはNANYA製のDDR3Lです。
そして注目のNANDですが、どうやら公称のHynix製ではないようです。ノーブランドで、パッケージ番号からもデータが拾えません。恐らくSKHynix、SAMSUNG、Intel-Micron、東芝等のメジャーブランドではなさそうです。型番の命名規則やプリントの書体がいずれのメーカーのものにも一致しません。強いていえばBGAではなくTSOPのTLC NANDという辺りからして、東芝の買収先辺りから横流しされたものの可能性はありますが…。他社のSSD向けTLC NANDはいずれも実際の製品レベルではBGAばかりのような気がしますので。
そして基板上に手がかりとなる型番が記載されていて、「65MATZA5」というシルク印刷があります。この型番はADATA Premier SP550で使われている基板と同一なのです。基板デザインも基本的にはほぼ同一です。
ただ、このSP550もレビューサイトの写真で確認する限りではNANDはBGAのものであり、TSOPの基板は確認出来ませんでした。そしてBGAのSP550では、搭載NANDはSKHynix製なのです。
恐らくADATAからSP550をOEMで調達したため、Hynix NANDと発表していたのでしょうが、実際にはロットの違い等で別仕様のものが来てしまったというのが正解ではないでしょうか。元々安価な製品で多くを期待していませんので特に文句もありませんが、公称データが不正確というのはあまりいただけません。
もちろんSSDとしては何といっても安価ですし、速度も及第点ですからコストパフォーマンスは良好で、買って損は無い製品といえるかと思います。
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購入金額
5,780円
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購入日
2016年06月12日
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購入場所
NTT-Xストア
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