先に断っておきますが、実は私はYAMAHA製のスピーカーの代表作である、NS-10Mの音はあまり好みではありません。その辺りはかつてレビューで記載していますが…。
とはいえ、YAMAHAがインナーイヤーフォンを作ったらどんな音になるのだろうかという興味はありました。そこでau wallet marketでヘッドフォン・イヤフォンに使える割引クーポンがあるということで、試しに買ってみることにしました。
個人的にどうも解せないのは、音質重視のモデルであってMFI認証を取ったリモコンが付いていることが案外多いという点です。音質を追求するユーザーであれば、単体型DAPを使っていることの方が多いはずで、このリモコンがあっても役に立たないどころか音質的には明らかに劣化を招きます。音質を売りにするのであればリモコン自体不要ではないでしょうか。
ちょっと珍しいのが、6.3mm-3.5mmの変換プラグが付属しているという点です。オーバーヘッド型であれば当たり前の付属品ですが、インナーイヤーでは滅多に見ませんからね。そしてこれとMFI認証のリモコンが両方付いているというのがなお疑問な訳でして…。
イヤーピースは同一素材でサイズ違いのSS、S、M、Lの4タイプが付属しています。このモデル専用設計とのことですが、変に低域が膨らんでしまう傾向が見られました。この後の試聴の際には、バランスが良好だったSpinFitのSを装着しています。
とても良く整った音だが…
実は最初は上位のEPH-M200を買おうと思っていたのですが、各所の試聴レポートを読んでいるとM200では低音が分厚すぎてこもる傾向があるというものがあり、妙に低域方向が分厚いモデルがもてはやされることも少なくないこの分野でそう書かれているということは、かなりの低音過多である可能性が高いと思い、下位のEPH-M100を選択しました。
実際に標準添付のイヤーピースを使っている限りでは、EPH-M100でもそのような傾向がありましたので、これよりも更に分厚いとなると他のイヤーピースに替える程度では修正しきれない可能性が高かったでしょう。
前述の通りイヤーピースをSpinFitに替えた上で、iBasso Audio DX90jを中心に試聴してみました。
ソースは定番のこの辺りを中心にしています。
一聴した印象では、この組み合わせでは低域から高域まで突出する部分も無く、非常にバランスが整った音であるということです。以前同じように評した、ONKYO IE-HF300よりも整っていて、また低域方向も低いところまでよく出ています。
ただ、少し気になったのはどんな曲を聴いても何か淡泊な表現となるという点です。特に「Chicago XXXVI "NOW"/Chicago」の「Love Lives On」を聴いたときが顕著でした。アコースティック系の楽曲で弦楽器が妙に打ち込みのような音になってしまうのです。また、
こちらのグイグイ来るようなベースラインも何か地味に淡々と鳴っているような印象があります。
傾向自体決して同じという訳では無いのですが、この不満に感じる要素はNS-10Mで感じた不満に近いというのが面白いところでした。以前Technics試聴会の日記でも書きましたが、やはりどこかにそのメーカーならではの特徴が表れるということなのかもしれません。
恐らく楽曲や組み合わせるプレイヤーによってはこの弱点がカバーされ、価格以上にまとまった音を聴かせてくれるのではないかと思うのですが、少なくとも今回組み合わせたものや、後で試した
の組み合わせなどでは、この不満点は解消されないままでした。
もっとも、私が普段愛用しているSENNHEISER IE80もどきなどよりは遙かにフラットに近い音であり、オーディオ的には優秀であることは間違いありません。極端に苦手なジャンルなどもありませんので、万能ではあると思います。
個人的に気に入ったかと言われれば難しいところですが、決して出来の悪い製品ではないということでしょう。
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購入金額
6,800円
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購入日
2016年04月02日
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購入場所
au wallet market
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