レビューメディア「ジグソー」

A・M・D!!のホンキ、見せてもらおう!

ここ数年、数多くのパソコンを自作してきたがAMDで組むことは一度もなかった。

 

自作では長らくRadeonを使っていたが、GeforceがMaxwell世代になってから

その省電力と性能の高さにすっかり傾倒してしまった。

巷でも、Intel+Geforceの組み合わせが、ゲーミングパソコンのスタンダードとなっている。

 

こんな状況を見て叫ばずにはいられない。

 

「…ポン酢、イライラする!!」

 

ああ、なんて私は天邪鬼な性格なんだろうか。たぶん何かの病気なんだろう。

この前、Intel+Geforce(ナンチャッテ)なマシンを組んだばかりだというのに。

(これはこれで、ネット配信用パソコンとして日々活躍してくれているのだが)

 

 

そんな私の目に飛び込んできたのは、APU「A10-7890K」に付属の「Wraith Cooler」だった。

 

「APUにじゃないのかよ!」

 

と思うかもしれないけど、リテールクーラーでここまでカッチョイイの、今まであっただろうか。

冷却性能としてはTDP 125Wまで対応しているからOCにも耐えられる。

ファンはリテールにあるまじき低ノイズとのこと。

しかもファンカバーの部分に「AMDロゴ」が光るというギミックまで付いている。

 

 

私を虜にする要素たっぷりで、この時点でもうお腹いっぱい。

これ使いたさに、APUを購入して1台パソコンを組んでみたいと思った。

 

んで、製品買ったら、CPUだけ見たらパッケージこんなに小さい。

CPUクーラーのおまけで付いてくる方がAPUって感じするよね。

 

 

 

とはいえ「A10-7890K」はクロック4.1GHzで動く、現行のAPUでは最速のもの。

この「Wraith Cooler」を装着するには相応しい性能のはずだ。

 

今回、クーポンで付いてきた「”ダライアスバーストCS”を動かす事」を目標とするが、

ほかにも多くのゲームも動かしてみてsteamゲームパソコンとしての実力を確認する。

 

steamゲームパソコンとして使えるかどうかは以前にプレミアムレビューしたNUC、

 

この時と同じように、ベンチマークやゲームを実際に動かした様子を見て検証していく。 

 

■検証用パソコン構成

ケース: オーバークロックワークス MANAITAN-X

M/B:エイスース A68HM-E

CPU:AMD A10-7890K(定格4.1GHz)

CPUクーラー:AMD Wraith Cooler

メモリ:AMD Radeon Memory R9 Gamer Series 16GB(DDR3-2400, 8GB*2枚)

電源:コルセア RM850(サブマシンから引っこ抜いた)

SSD:システム用1台(サンディスク 240GB)

光学ドライブ:外付けUSB DVDマルチ

OS:Windows10 Enterprise 64bit Technical Preview

 

検証用なのでいろいろツッコミどころのある内容となっている。要は動きゃいいのよ!

 

 

組んではじめて立ち上げた時の様子。APUはきちんと認識している。

 

さあ、準備が整ったのでベンチマークをしてみよう。

 

<FF14ベンチマーク比較> 1920x1080 高品質(デスクトップ)DX11

 

おお、すごいじゃないか。どれもスコアが低くてドングリの背比べとはいえど、

価格が倍以上もする「i7-6700K」より「A10-7890K」がベンチ結果で勝っている。

 

APUのGPUは、メインメモリの速度で性能が変わるというがその通りのようだ。

ベンチマークで勝てたのは「AMD謹製 DDR3-2400 OCメモリ」のおかげといってもいいだろう。

上の結果からするとDDR3-2133よりも遅いメモリを使うと同じか、負けてしまうかもしれない。

 

<3DMark Fire Strike ベンチマーク比較>

 

上から、「NUC(i7-5557U)」「i7-6700K」「A10-7890K」の結果なわけだが、

 

「Graphics Score」・・・「A10-7890K」>「i7-6700K」>「NUC」

「Physics Score」・・・「i7-6700K」>>「NUC」>「A10-7890K」

「Combined Score」・・・「A10-7890K」>「i7-6700K」>「NUC」

 

結果的に、Graphics Scoreの高い「A10-7890K」が一番高いスコアとなった。

※3DMarkの採点基準では「Graphics Score」の割合が高くなるようだ

 

CPU能力を測る「Physics Score」で「i7-6700K」との差が激しく3倍も開きがあった。

この中では「i7-6700K」のCPU能力がズバ抜けて高いのだろう。

 

3DMarkの結果からは、AMDのAPUがIntelのCPUに勝てない部分があること、

それを見せつけられる事となった。

 

では、実際に様々なゲームを動作検証させてみよう。

 

<ゲーム動作・CPUファンノイズ評価>

・評価1・・・動作:ゲームの動作について
    ◎・・・フルHDで快適に遊べる
    ○・・・フルHDで遊べる
    △・・・設定次第で遊べる ←ここまでが遊べる範囲
    ●・・・ゲームにならない
    ×・・・ゲーム動作せず

 

・評価2・・・ノイズ:ゲーム中のファンの動作について
    ◎・・・ほとんど回らず無音に近い状態
    ○・・・多少回る程度で音が気にならないレベル
    △・・・ゲーム音が無いと回転音を意識する程度 ←ここまでが我慢できる範囲
    ●・・・ほぼ全回転の勢いでファンが回り、うるさい
    ×・・・ゲームが動作せず測定不能

 

<ゲーム評価一覧>

 

Intel NUCで評価が両方◎のものは極力省き、新たにいくつかのゲームを追加して検証した。

結果、動かないソフトを除いて、「Battlefield Hardline」と「Street Fighter V」以外では

設定次第で快適なゲーム環境となった。

 

傾向としては軽いゲーム以外はAPUのファンが結構回転していた。

「Wraith Cooler」の動作音はそこまでうるさくないので、静音ケースを使えば軽減できそうだ。

今回はバラックで動作させているのでダイレクトに音が聴こえたのでこのような結果となった。

 

最後に、実際にゲームを起動させている様子を、「AMD Gaming Evoled Raptr」を使って

低負荷で録画したので、内蔵GPUの実力を見ていただければ幸いだ。

録画しながらゲームは普通にできているが、Battlefield Hardlineは45fpsまで落ち込んだ。

万全の状態で録画するなら、PC画面をHDMIキャプチャで録画したほうがいいだろう。

 

■「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」 ~ DLCモード「オパオパ」~

(c)TAITO (C)SEGA

 

■「ストリートファイターV」 ~ Low Spec Mode ~

(c)CAPCOM U.S.A.

 

■「Battlefield Hardline」

(c)ELECTRONIC ARTS INC.

更新: 2016/04/09
総評

外付けGPU無しでもゲームがよく動く!

久しぶりのAMDで組んでみて、そして使ってみて思ったのが

 

「APUの内蔵GPUはけっこう使える!」

 

  1. 付いてきた「ダライアスバーストCS」をフルHDでサクサク動かせたこと
  2. 重量級ゲームの「Battlefield Hardline」が720pの中設定で50fps以上を叩き出したこと
  3. その他ゲームもAPUの性能と「Wraith Cooler」の静音性とで支障なく遊べたこと

これらの結果に満足している。

特に3番の、ゲーム中は静音性と性能をバランスよく兼ね備えている点が気に入った。

 

APU・メモリ・マザーボードというシンプルな構成にもかかわらず、

ライトなゲーム・ブラウジング・動画視聴といったホビー用途として、

バランスの取れたパソコンに安価で仕上げられたのではないだろうか。

 

現状、IntelだとこれのライバルとなるのはBroadwellの「i7-5775C」になるだろう。

GPUなしで「A10-7890K」と同等かそれ以上の性能のようなのだが、CPUの価格が全然違う。

「A10-7890K」の方が安くあげられてお得である。

 

だが、Radeonの元気がよくない。地元のパソコンショップにはGEFORCEばかり並んでいて、

これだ!という製品に巡り合えていない。AMDのこれからの頑張りに期待して待つことにしよう。

更新: 2016/04/09
コストパフォーマンス

お得感たっぷりだった(過去形)

付属のリテールクーラー「Wraith Cooler」は、Intelだと見たことないくらいリッチなもので、

冷却性能や静音性だけでなく外見も凝ってて、このまま使っても全然問題のないレベルだ。

 

リテールクーラーはおまけ程度に捉えて、別にクーラーを買う人も多くいる。

そこを考えると軽く数千円分は元が取れる。CPU+ヒートシンクでこの値段だとかなりお得だ。

更に私はマザーボードとセット割引がきいて思った以上に安い値段で購入できた。

(CPU単体の脳内価格:13,000円くらい)

 

私が買った時はキャンペーン期間中で「ダライアスバーストCS」のクーポンがついてきた。

(不幸なことに私は既にこのゲームを持っている…)

 

実際の性能として、Intelの同価格帯のスペックには追い付けない点もある。

しかし、ゲームや動画再生など優位を保っている点もあり、外付けGPUのない構成を考えている

ライトユーザーには、Intelで組むよりAMDで組んだ方が安く仕上げられると思った。

更新: 2016/04/06
導入難度

Wraith Coolerの寸法を確認せよ

別のクーラーを使うならともかく、せっかく付属しているのが優秀なクーラーなので

これを使わない手はない。

 

しかしながら、今までのリテールクーラーと違い、かなりサイズが大きめとなっている。

PCIeスロットに挿すGPUの大きさにも注意が必要だが、特に気を付けないといけないのはメモリだ。

 

 

この、ヒートシンクのでっぱりが厄介で、メモリと干渉する恐れがある。

マザーボード上のCPUソケットとメモリスロットの位置関係は必ずチェックしよう。

私の環境では、メモリとは紙1枚入るか程度のギリギリの隙間だった。

microATXやmini-ITXのような各パーツ隙間の狭い配置になっていると、背の高いメモリだとあたってしまったり、

そもそもどんなメモリも挿すことができない状態だった、なんて事になりかねない。

 

そこを念頭に置いたケース・パーツ選びや組込みを考えないといけない。

通常の自作と比べると、素直に導入しにくいと言わざるを得ない。 

 

リテールがあっても気に入ったクーラーしか使わない、という人も少なからず居るだろうが、

今回は”特別”な感じのものなので、せっかくなら使えるようにパーツを組み合わせたい。

更新: 2016/04/09
性能

CPUの性能は価格分相応

「A10-7890K」はCPUZでハード情報見ると、CPUは2C4Tとみなされるが、

これはIntelでいうCore i3シリーズと同じスペックだ。

Skylakeで言えば「Core i3-6320」と値段が近い。

 

ニコニコ動画・生放送を多重で視聴するといった、GPU以外の処理をさせると

すぐにCPU使用率が上がっていく。実際に比較はしていないが、Core i3のCPUを

載せたパソコンと似た挙動をしている感じはした。

 

APUだけにCPUに極端なリソースを割かずにGPUとのバランスを取った感じなのが印象だ。

更新: 2016/05/04
消費電力

OCメモリの影響か、アイドル・ピークは結構高め

あまり最初は気にしてなかったのだが、消費電力を測ってみた。

 

■消費電力(DDR3-2400メモリ使用時)

アイドル時 35~40W

PowerDVD再生時 50~70W ※Fluid Motion支援有効

World of Warshipsプレイ時 120W~140W ※720P 中品質

3DMark Firestrike動作時 120W(ピーク150W)

 

上記、i7-6700+GTX970構成のマシンとアイドリングがほぼ同じであった。

更には「World of Warships」プレイ時でもほぼ同じであったことに驚いた。

2台が並べておいてあるなら、推奨PCで最高品質の状態でプレイする方を選ぶであろう。

 

やはり、消費電力が高い要因の一つはメモリのOCのせいだろう。

ゲーム時においてパフォーマンスを発揮する反面、消費電力を底上げしてしまう。

OCしなければ多少は下げることができるだろう。

 

あとはdGPUのGTX970がワットパフォーマンスが優秀である結果も見せつけられてしまった。

悔しいが、APUひとつでCPUとGPUをまかなうのは大変なのだろう。

メリットもあるがデメリットもある。APUにはそういう一面があるようだ。

更新: 2016/05/04
機能性

動画再生支援能力は高い!

 

このAPUには、AMDご自慢の動画再生支援機能である「Fluid Motion」が備わっている。

対応するアプリで効果を発揮し、普段ならカクカクしてしまう動画をヌルヌル動かすことができる。

PowerDVD16でBlu-rayのアニメを再生したら見事に効果を発揮してくれた。

CPU負荷率や消費電力にもあまり影響されていないようで、軽快な動作であった。

 

ただ、私の環境では何故か、ドライバの方のオプションをオフにしたままで

PowerDVD16側で「Fluid Motion」を有効にすることで効果が出るようになっている。

(アプリのせいなのかドライバのせいなのかわからない)

 

この点はAPU一つで実現できるのが嬉しい。”PCで動画再生をアリ”に変える機能だ。

 

様々なアプリに対応してくれると嬉しいのだが

今のところ限られた条件でしかできないので今後の展開に期待したい。

  • 購入金額

    19,980円

  • 購入日

    2016年03月26日

  • 購入場所

    パソコン工房 大阪日本橋店

28人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (6)

  • Takahiroさん

    2016/04/09

    〈訂正〉
    やっぱコルセア製品に代表されるデカいヒートシンク付きメモリは100%アウトだな・・・
    CenturyMicroやサンマックス等のヒートシンクなしモデルが良さそう。
    定格DDR3-2133以上のものは・・・諦めるしかねーな

    あと新型クーラーをIntelCPUに使えそうですか?
  • ポン酢レッサさん

    2016/04/09

    >Takahiroさん
    私もコルセアのは一瞬考えたんですが、2スロタイプのマザーでは
    絶対つっかえると思ってあきらめました。



    これを選んだ理由もDDR3-2133以上で薄いからでした。
    別マザーだとこれすら難しいかもしれません。
    ITXにすると更に厳しくて1つ塞がるのもあるみたいですし。

    同じタイプのIntel用クーラーの金具があれば行けそうだとは思います。
    昔クラマスので同じ留め方してるクーラーあったので流用するとかできるかなぁ。
  • Takahiroさん

    2016/04/09

    国内だとメモリの選択肢が絞られそう・・・どころか殆どないですね。

    使えそうですか! 金具をAMDが出したら面白ネタ間違い無しですねw
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