レビューメディア「ジグソー」

聴いて損のない5人の落語家の話が面白い それは聞き手が上手だから

上方落語の復興に大きな功績を残した戦後の四天王最後の一人、三代目桂春団治師匠がお亡くなりになりました。 謹んでご冥福をお祈りします。

 

六代目笑福亭松鶴、五代目桂文枝、そして稀代の名人桂米朝から綿々と続く上方落語ですが、平成の現在、落語の中心は江戸落語だと思います。

 

その江戸落語の、「まさにこれからを担う、時代の5人」を相手に、広瀬和生が高座で行ったインタビューを元に纏めた本がこの「落語家」という生き方 です。

更新: 2016/01/14
機能性

広瀬和生という人

1960年生まれ・東京大学工学部卒 

現シンコー・ミュージックBURRN!編集長であるとともに

落語評論家としても確率した地位を持つお方でございます。

東京の寄席や各ホールで開催されている落語会では、最前列付近に陣取る「金髪の中年男性」として

良く知られているとか。

 

私は、春風亭一之輔師匠が毎日曜日早朝にJFN系列でDJを担当なされている「サンデーフリッカーズ」に声の出演をなさっていたのを何度か聴いています。

この著書も、昨年末の放送で紹介されております。

 

BURRN!は、「ハードロック・ヘビメタに特化した月刊誌」のようです。

私は未見ですが、情報によりますと、編集長たる広瀬和生氏は、歯に衣着せぬ実直なインタビューを持って良しとするスタンスながら、イングウェイ・マルムスティーンなどご自分がファンであるアーティストには甘口であるとか、、、。

良いじゃないですか。 人間らしくて。

 

広瀬和生氏は、落語が大好き。 

とりわけ、この著書で取り上げた5人が大好きなんだということが溢れるように判ります。 

この本を読むとね。

 

 

更新: 2016/01/14
実用性

落語ラブ

 

広瀬和生さんが、落語家さんに対して尊敬の念を持ちながら、下げ終わりの落語家さんに、

まさにその高座で展開されるインタビューが、335ページに渡って掲載されています。

 

 

橘蓮二さんのモノクローム写真もいい味を出しています。

更新: 2016/01/14
美味しさ

5人の生きざま

柳家三三

マクドナルドの「あんこパイのTVCM」をご記憶の方も多いでしょう。

まさに落語家らしい所作であんこパイをエア食していた老け顔の落語家さんです。

5人の中では最も伝統的な落語をなさる方だと認識していましたが、この書では意外な一面も暴かれています。 まさかミミちゃんと呼ばれる事もあるとは!

 

フェレンギがイチバン好きな落語家さんであります。 一之輔ラブでございます。

異例の21人抜き大抜擢の一人真打ち昇進も宜なるかなと思わせる証拠が、インタビューの端々から読み取れます。

栴檀は双葉より芳し。 ふたつ目時代から頭一つどころか2つも3つも抜けていた落語家さんですがこの先が本当に楽しみです。

 

何度か高座でも拝聴しておりますが、まず見た目で得をされています。

ビバンダムかベイマックスを髣髴とさせる高座姿と裏腹に毒のある噺。

著者との受け答えを見ていても「一筋縄ではいかない」「自分の世界観に巻き込む」姿勢が伺えました。

 

円楽党に属する落語家さんで、師匠は「笑点」でお馴染みの三遊亭好楽師匠です。

この5人の落語家さんの中で「師匠由来」の話題になると「損をしている」感は否めません。

また見出しを一瞥した時に、「後回し」にしようかな?(使用者の意見)と思いましたが

読み進めると、やはりとっても魅力的な落語家さんでありました。

読書前後で、私の評価が最も変わったのがこの師匠です。 もちろん良い方に。

 

adidasをイメージしたと思われる三本線。 色も水色。 胸には白鳥マークが染め抜かれた着物を着て高座に上がるのは 三遊亭白鳥師匠。

お囃子はもちろん白鳥の湖です。

彼ほど、面白い、後世に残る「新作落語」を生み出す落語家さんは居ません。

立川志の輔師匠の「改変古典」「新作落語」も相当素晴らしいですが、白鳥師匠のそれとは少し存在理由が異なります。

志の輔師匠は古典をそのまま演じられても当代一の素晴らしさですが、白鳥師匠の古典は、残念ながらそのレベルに達しません。

ご自分でも「落語が下手」だと仰っています。

聞くところによりますと現桂文枝師匠も、「口調が悪いことを指摘されての新作落語への傾倒」だとか。

失礼を承知で書きますが、新作落語自体の出来栄えに置いて桂文枝(三枝)師匠とは雲泥の差があります。

著作権の関係で決してDVD化されない古典「ねずみ」を改変した「銘菓萩の月の由来・ねずみ」本当に素晴らしい作品です。 出たり消えたりイタチごっこですが、ユーチューブでたまに出現する快作です。 古典の「ねずみ」を楽しまれた後で白鳥師匠の「ねずみ」もどうぞ楽しんでください。

更新: 2016/01/14
使用感

ユーチューブを併用

全く落語に興味が無かったという人。

この5人をまだ知らないという人にはオススメ出来ません。

 

ある程度の経験・知識をお持ちの方向けだと思います。

 

5人のうちのお一人でも知っている、興味があった、という方なら、文中に出てくる先達や、あまり一般的でない古典落語をご存じなくても、大丈夫。

 

 

きっと興味が湧きます。

そうなったら、ユーチューブ等を利用することで、「鰍沢」「陸奥間違い」「応挙の幽霊」「芝浜」

「勘定板」、、「柳田格之進」、、、、「任侠流山動物園」等を見つけてください。

 

実際の高座でなければ味わえない楽しみっていうものが確かにあります。

でも、まずはユーチューブからでも。

 

ポッドキャスト配信されている「サンデーフリッカーズ」でも短縮版落語を一之輔師匠が生熱演してくれます。 そこから入門するのもアリですよ。

  • 購入金額

    1,836円

  • 購入日

    2015年12月頃

  • 購入場所

    Amazon

13人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (0)

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ6MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが6MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから