ここ最近、AMDのGPUは余り元気がない。
選択肢が非常に判りにくくなっているのと、Fury以外は全部リネームであるってのも大きいが、要するに価格とスペックが「GeForce系と比較して微妙」ってのが一番デカい。
これは、上位製品に限った話ではなく、ミドルからローエンドに至るまでその傾向がある。
というのも、”GeForce-750Ti”が余りにも出来が良かったせいで、他の選択肢が皆無だからだ。
格帯は税込12000円台からスタート、消費電力と性能のバランスが良く、同価格帯の商品は「自社製品も含めて」完全掃討状態。
「後継となるカードを、当のNVIDIA自身が出せていない」という現状が、750Tiの優秀性と代替製品開発の困難さを如実に示している。
なお、AMDも対抗馬としていくつか製品を出したが、結局「価格と性能のバランス」で対抗できるような製品はついぞ登場せず、中位製品買うなら750Tiという風潮は未だに健在だ。
そういう訳で、この状況でミドル~ローエンド帯に新製品を投入するほど、AMDも馬鹿じゃない。
素直に現時点での対抗馬開発は捨て置いて、全部リネームで済ませることにした。
R7-360以下の製品は、数字を下げることもなく全部リネーム。看板の掛け替えしただけ。
お蔭でR7-350以下の製品は「250系の不良在庫がまだ残ってるのに、誰がそんなもん発注するか!」というお店側の心の声を聴いたのか、未だに製品自体が世に出て来ない有様である。
そんなAMDのミドル~ローエンド製品の中でも、最大級に微妙な存在として発売当時から「存在価値が良くわからない」とされてきたのが、”R7-250”だ。
・「260との性能差がデカ過ぎて、価格差を考慮しても買う意味が判らない」
・「240との性能差が小さすぎて、これなら240買っても大差ない」
・「260との間に登場した、250XEと価格差が無いのに性能はボロ負け」
・「つーか、消費電力が上位の250XEよか多いって何それ」
ちょっと思いつくだけでも、これである。
正直、その「存在価値を全面否定されても仕方ない」レベルの微妙な製品であり、リネーム品が登場しないのも当然と思わせる。
あらゆる意味で、【救いようがない】代物なのである。
そこまで理解していながら、敢えてこれに手を出す私は完全に大馬鹿野郎であろう。
しかも、巷じゃDDR3”地雷”とまで評されるVRAM2GB版である。
何でここまで微妙な製品を買ってくるかといえば、目的はただ一つ。
AMDの誇るネタ機能「DualGraphics」の検証のためだ。
AMD製APUに搭載されるオンボードGPUと、ビデオカード搭載GPUをCrossFireX化することで、260相当の性能まで引き上げるという、聞いた感じそれほど悪くない機能がそれだが、実際には登場当初よりボロカスの評価がなされている。
曰く、
・「使い物にならないレベルで、動作不安定」
・「260との価格差考えたら、260挿す方が賢い。安定性でも悩まずに済む」
・「中古の7770、250の半値で買える。しかも、性能は7770のほうが上」
・「非対応アプリのほうが圧倒的に多い。汎用性が皆無」
まあ、この時点でネタ機能と言われるのも頷ける。
ただ、A10で”RainbowSix Siege”が遊べるようになればOKだし、同機能の動作実験自体が目的の購入だから、私の中では何ら問題とは思っていない。
・・・・まぁ、余りにも酷い結果が出たら、即座に上位製品突撃できるよう交換保障付けたけど。
こちらが、製品の全景。
クーラーのファン直径は100㎜あり、最大TDP65Wという点を考慮すりゃ十分以上だろう。
ただし、この設計の結果としてカード自体が中途半端な厚みとなっており、装着は2スロット必要。
この微妙な厚みを見た時点で、地雷臭が半端ない。
この通り、何とも厚みが微妙。
クーラーの飾り的なプラスチックフレームのせいで、直下のスロットに短めのx1カードを押し込むことも出来ない。
これなら、2スロ全てクーラーに使っちゃったほうがマシだったんじゃ無かろうか。
付属品はマニュアルとドライバCDのみと、非常に寂しい。
多分、付いて無くても大差ない。
正直、思ってたよりずっと良かった。
製品の微妙さについては、既にたっぷりと語り終えたので、早速だが性能をチェックしてみる。
テスト環境は以下の通り。
なお、ドライババージョンはCrimson(15.300.1250.0)、Windows10のTLは1511。
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CPU:AMD A10-7870K(Steamroller 2Unit/4Core 3.9/4.1GHz L2-4MB)
MEM:Panram W3U2133HPS(DDR3 2133 CL10 4GBx2)
M/B:MSI A88XM-E45 V2(AMD A88X MicroATX)
VID:GIGABYTE GV-R725OC-2GI(AMD R7-250 OC/DDR3-VRAM2GB)
SSD:WD Black2(128GB SSD + 1TB HDD)
OS :Windows10 Pro 64Bit
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まず、こちらがR7-250単体での取得結果となる。
APUでの利用ということで、全体的に速度が伸び悩んでいる傾向。
ちなみに、i7環境で取ると2000前後まで伸びるらしい。
んで、こちらがR7-250とA10-7870KによるDualGraphicsでの結果。
スコアの伸び自体は非常に素晴らしく、およそ60%弱の性能向上が確認出来た。
実験目的では非常に面白かった。実用性は及第点。
検証結果から言うと、DualGraphics自体の効果は確かに大きかった。
問題は、この性能ですら「750Tiと比べたら駄目駄目」ということだが・・・・。
何とも締まらないオチとなっているが、ここで一応擁護させてもらうと、DualGraphics自体の動作安定性については、初期のネタっぷりからすると格段に向上している。
この結果の後、RainbowSix SiegeをDualGraphicsをONにしてプレイしてみたが、設定はノーマル状態でも問題無くプレイ可能であり、290Xとの比較で厳しいと感じたのは遠距離射撃時だけであった。
現行のFPSを快適に遊びたい場合、玄人には物足りない性能と言えるが、カジュアルに遊ぶ程度なら十分な性能を確保出来るし、上位GPU搭載の場合は 250XEを除いて軒並み30W前後の電力消費増が待っているので、AMD-GPUをAPUで使う場合に限って言えば、値段次第ではアリである。
そりゃまあ、750Tiと比較したら霞むレベルの「小手先の工夫」に過ぎないのであるが、映像補正機能であるFluedMotionVideoを併用する場合にお いて、A10-7870KにR7-250の追加で「あともうちょっと、上位のゲームが遊びたい」という目的を満たせるわけで、少なくともR7-250登場 当時のコスパで考えたら、巷で言われているほど悪いとは思わない。
無論、今の価格帯で考えると「微妙過ぎて、実験目的以外の購入はお勧めできない」し、登場初期の不安定っぷりを考慮すると、とても他人にお勧めできるものじゃないのは確かなのだが、少なくとも
「自作PCでなけりゃ、こういうネタっぽい機能使えないよね」
という自己満足を満たす意味では、非常に面白かったと断言できる。
・・・・まあ、実験目的でないガチ利用で購入したら、全力で涙目の製品なのは確かだけどさ。
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購入金額
10,370円
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購入日
2015年12月12日
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購入場所
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