レビューメディア「ジグソー」

液晶保護フィルムを張るとタッチ性能が著しく落ちる前衛的なタッチパネルを搭載!日本でWindows 10 Mobile機が多数出そろった今となってはお勧めしません。きっとWin10M自体を嫌いになっちゃうから。

日本最初のWindows 10 Mobile搭載機だが…

2015年11月30日発売。日本では最初に投入されたMicrosoftのモバイルOSにしてWindows 10の1SKUに統合されたWindows Phone 8.1の次のバージョン「Windows 10 Mobile」を搭載した、LTE対応のローエンド向けスマートフォンになります。グローバルから見てもLumia 950/950XLの次に出たモデル・・・になるはずだったのですが、発売直前にヤマダ電機がミッドレンジモデル「EveryPhone」を突然投入したため、日本ローンチ第一弾という名はEveryPhoneに越されてしまう結果に。

スペック的にはQualcommのローエンド向けSoC、SnapDragon 210 クアッドコア 1.1Ghzに1GB RAM、480x854ドットのWVGA液晶を搭載したローエンドモデルです。筐体デザイン自体はすでに販売されていたAndroidスマートフォン、Priori2と共通のものを利用。そのため液晶フィルムやカバーなどはPriori2/Priori2 LTE用のものが使いまわせます。ただし後述する理由で液晶フィルムは貼らないほうがいいかもしれません。ローエンドながらLTEにもしっかり対応。ドコモとソフトバンクのプラチナバンドにも対応と抜かりはありません。2015年6月に製品が発表された当初は19800円で販売される予定でしたが、最終的には12800円に値下げして販売開始となりました。

動作自体は悪くはない。

「One Core」という開発思想の元、OSのカーネル部分やドライバなどの重要な部分はデスクトップ版のWindows 10やXBox向けWindows 10、IoT向けに提供されているWindows 10 IoT Coreと共通のものを採用しているものの、以前のWindows Phone同様ローエンドモデルでも軽快に動作するという美点は継承されているため、ローエンドSoCのSnapDragon 210でもさすがにもたつく部分はあるものの、そこまでイライラさせられる点は少ないかと思われます。少なくともMicrosoft EdgeでWEBブラウズを楽しんだり、Twitter(公式クライアントがAndroid/iOS向けのだいぶ前のバージョン相当のもので止まってたりサードパーティ製のクライアントが少ないのは難点かもしれませんが…)やLINE、Skypeでのメッセージングのやり取り、Office MobileでのOfficeドキュメントの作成や観覧といったタスクは十分こなしてくれる性能だと思います。ここまでであれば「Windows 10 Mobileのお試し用端末」として購入してもよさげな出来に思えるのですが…

液晶フィルムを張るとメニューキーが死ぬ前衛的すぎるタッチパネル

もともとハードウェア面で共通しているFreetel Priori2の液晶タッチパネルもそうらしいのですが、本機に搭載されている5ポイントマルチタッチ対応のタッチパネルはあまり精度がよろしくなく、QWERTYキーボードでの入力ですら取りこぼしが起きる・・・のは価格面も考えると仕方ないと思える点ではあるのですが、うちの個体はなんと液晶フィルムを張るとメニューキーの反応が鈍り、検索キーに至っては完全に沈黙するという前衛的な仕様で、液晶フィルムをはがすと何事もなかったかのようにメニューキーが動作するようになり、タッチパネルの反応に関してもだいぶましになりました。静電式タッチパネルが普及してから液晶フィルムを張るとタッチパネルの反応が鈍る機種は見たことがなかったために逆の意味で感心してしまいました。よくこんなタッチパネルを搭載して出荷できるなぁと。

初期Freetel端末の負の遺産を引き継いだ微妙なモデル。Windows 10 Mobile搭載機が出そろった今となってはお勧めしません。

Freetel Samurai MiyabiやKiwami、Priori3、KATANA02と、近年のFreetel端末は価格と端末性能、品質面でバランスのとれた良メーカーになってきましたが、初期のFreetelは2014年発売でありながらAndroidローンチ初期の2008年時代のハードウェアスペックで出してきて「いくら1万未満でもこれはねぇだろ…」という微妙な端末だった初代Priori、不具合が多かったnicoなど、「安かろう悪かろう」の良い見本みたいな微妙な端末が多く、本機もそのころのFreetel製品の「負の」遺産を継承してしまった一機種となってしまったようです。タッチパネルの問題さえなければローエンドモデルとしておすすめできるモデルだったのですが、あまりにハードウェア面での完成度が低すぎてこれを最初にWindows 10 Mobile入門機として使ってしまった場合Windows 10 Mobileというプラットフォーム自体を嫌いになってしまう可能性すらあります。

現在ではかつての不作時代が信じられないくらい日本でもWindows 10 Mobile搭載機が充実してきており、SnapDragon 210搭載ローエンドモデルもgeaneeのWPJ-10やドスパラのDG-W10Mが存在し、2万代になればマウスコンピュータのMADOSMAも存在する今となっては本機は全くお勧めできないモデルになっています。使い捨て端末として使うならそれはそれでありかもしれませんが、少なくともメイン機やメイン機の予備として買うと後悔するレベルのひどさです。

  • 購入金額

    13,824円

  • 購入日

    2015年12月02日

  • 購入場所

    ビッグカメラ 池袋本店パソコン館

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