オギノメちゃんこと荻野目洋子。1980年代にソロデビューしたアイドルで、ちょうどその時代は中森明菜
をはじめ「顔だけじゃない歌唱力を持つアイドル」というのが出てきていた時期。本田美奈子や河合奈保子のあたりのわかりやすいうまさとは違うが、音をビートに乗っけるのが上手く、当時はやっていたユーロビート系の楽曲
で押して一定の勢力を築く。
ユーロビートが下火になった後はより洋楽に傾倒し、
ブラコン系に行くが、ちょっと時代的にはまだアイドルがクロっぽい洋楽テイストの曲を歌う...というのには早く、大きなヒットにはならなかった。
その滑舌の良さと上手い英語の発音でその後も洋楽テイストのJ-POPを出していたが、さすがに20世紀末となって「アイドル」というのも難しい年齢になり、結婚出産したこともあって現在はかなり活動のペースを落としている。
しかし、現在も散発的に作品は発表しており、完全に活動停止しているわけではない。ただその発表はアルバム中心になっており、シングルは2001発売の本作を持って最後となる。
よりオトナっぽくなったオギノメちゃんが、スタンダードに挑戦!というテイ。
「LOVE」。ポップス界でも名を馳せたジャズピアニストNat King Coleの最大のヒット作「L-O-V-E」。ティンパレスの音でカラっと始まるのが「L-O-V-E」っぽくないが、明るいオギノメちゃんの声には合ってる。アキオチャンこと鈴木明男のサックスがイイ感じ。せわしないトライアングルは打ち込みっぽいケド、ひょっとしたら三沢またろうのプレイ。川村ゆみのバックグラウンドヴォーカルの寄り添い方がよいな。
「LOVE(sweet swing track)」は「スウィング」と言いながらも、4ビートではなく、どちらかといえばウゴウゴルーガ
系のワクワクするよなジャズテイストアレンジ。こちらはクレジット的には「Background Vocals」となっているが、デュエット並みに存在感の大きい高尾直樹の低域が魅力的な声による♪ダバダダバタ~♪と、梅村仁の小粋なジャズギターがハッピー。
「Candy」はチョイとクリスマスチックな感じの粋な曲。ウッベとキーボード以外(といっても他はほとんどパーカッションと効果音だけだが)は打ち込みだが、ローズ風の音が美しい。ベル風の音と鈴の音がこれからの季節によいかな。
いまもママさんタレントとしてカバー曲を手掛けたり、懐メロ系のTV番組などに出演することも多いオギノメちゃん。アイドルがアイドルらしかった最後の世代、といわれる彼女たちの世代、多くのアイドルがデビューしては消えていったけれど、大きくはないけれど独特のポジションを保っているのはさすが。それはアイドルからシンガーへうまく脱皮できたから。そんな彼女の「アイドルオギノメちゃん」とバイバイする、最後のシングルです。
【収録曲】
1. LOVE
2. LOVE(sweet swing track)
3. Candy
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購入金額
1,155円
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購入日
2001年頃
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購入場所
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