ざっくりした性能の説明はここでは書きません。他でも読めるのと同じ文章を書く意味も読む意味も余りないと思います。
http://surface.viva-m-tablet.info/entry/2014/07/31/234858
ここの評価はシンプルながら要点をおさえていて、私自身も参考にさせていただきました。
あったらいいな、こんな機能
とりあえず、ここでは、「~が欲しい!」という要素を列挙していきます。全てを満たすアプリは(多分)ありません。あったら欲しいです。TrueNote試してみたいなぁ。
- 手書きしていて快適に文字が書ける
- 何らかの材料(officeファイル、PDF、JPG画像等)に、手で要素を書き足した上で快適に閲覧できる
- 文字認識により、書いた内容を後々検索できる(EvernoteはここがNG,PDF内の手書きは検索対象でない。このため、pdfを読んで手でメモ書きをして、後に「あれ?こんなメモしたんだけどどれだっけ……」と検索しようと思った時に不可能)
- クラウド経由で様々な媒体から快適に閲覧できる、細かい編集追加もできるとなお良し
先に結論に進んでしまうと、Metamoji Noteは私にとっては、
- 筆圧非対応、同時に表示できるペンの数が少ないなど不満点は正直多いがそれなりに使える、ただし低スペック端末で実験した所、MS謹製だからなのかOneNoteの方が明確に軽いことを体感できた
- ページめくりがスクロールで出来ない時点でかなりストレスフルなのに加え、元の材料が画像の場合、ページめくり時にいちいちワンテンポ描画のロードが入るので積極的に使いたくはない
- 思っていたものと違う、使えないとは言わないが
- 独自クラウドの性能が同期頻度、最大容量、速度、といったクラウドに求める全ての面で微妙。(Windows10なら多分pdfで出力できるが)Windows8系ではpdf出力できず、汎用性も低かった
という感じでした。
なお、私が所持しているのはWindowsストアのMetamoji Note Premium(Mazecでの文字認識の対応言語が大量に詰め合わせパックになったもの。4ヶ国語以上文字認識したい場合以外特に買う意味はない)です。
購入動機ですが、iOS版に遅れること数か月、Win版もアップデートしてタブでノートが切り替え可能になったり音声記録が可能になったりしたので、「Win版を待ち望んでるユーザーもいるんだぜ!」ということを示すためにせっかくだからとプレミアム版を買ってみました。日英は必須だったので、個別購入から差額 1000円ほど。一応ドイツ語の手書きをする可能性がほんの少々あったので、まぁいいかくらいな。
文字認識(英語)は素晴らしい
とりあえずポジティブな面から入りますと、本ソフトの英語の文字認識能力は素晴らしいと言う他ありません。
英語で手書きノートを取る必要がある、しかし素早く書くため字が汚く、後に見返した際に読みづらい。こんな人にはその素晴らしい性能を遺憾なく発揮してくれます。それだけのために買うのも有りかもしれないと思うレベルです。
他の対応言語は、独仏伊西露葡蘭波に加えて中国語(簡体字、繁体字)、韓国語です。Windowsの言語パックが必要なので試していません。
能書きはこの位にして、実力は以下の画像でご確認ください。書いている文章はまず間違いなく著作権フリーな(はずなので)新約聖書からの引用で、
"And the light shines in the darkness, and the darkness did not comprehend it.
There was man sent form God, whose name was John. " です。
殴り書きとしか言いようがないレベルの字ですが、誤認識は僅かに一単語、それもshinesがshinerになっているだけ。修正時に見落としても気づけるレベルです。
これを、
こんな風に予測候補を選択しまして……
結果がこれ。一番下が最終的な出来栄えです。クリックで拡大して見てください。
comprehendとかホント汚いのによく一発認識してますね。
綴りがあやふやな単語でもそれっぽく書いておけば割と補正してくれたりします。
最大の特長、文字認識機能(日本語)はこんな感じ
まぁ、これに関しては説明書きをよく読まないこちら側の責任な点も大いにありますが、Evernoteの文字認識のような、アップロードして放っておけばそのうち文字データとして検索できるようになるんじゃないか!あのATOKの流れを汲んでるわけだし、認識精度は大いに期待できるはず!
と、夢見て購入したはいいものの、残念ながらそういうことは不可能です。ここでまず一つガクッと来ました。
まぁでも、手書きの汚い字がワンクリックできちんとタイプした字に変身してくれる、ってもう一つの夢は実現可能なんだろ?そう謳ってたし、と実験した結果がこちらです。
先ほどの英文に対応する、「光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。神から使わされた一人の人が居た。その名はヨハネである。」という箇所なんですが……うーん。
「た」をこんな風に書いといて誤認識呼ばわりするな、それはお前の字が酷いせいだろう、と思われるでしょうが、手は普通に動いているので、紙への手書きもしくはOneNoteであればそれなりにまともに「た」に見えます。これを書いているのはSurface Pro 3 i5なので、タブレットのスペック不足を疑うと、じゃあどんなタブレットなら足りてるんですか?という話になってしまいます。
こういう崩れはちょこちょこ発生するんですが、英文では単語の形が決まっているおかげか、かなりの精度で認識してくれます。文字認識のmazec(英語)の部分は非常に頑張っています、本当に。
ゆっくり書けば済む話かもしれないですが、そもそもゆっくり書く時間があるのなら、わざわざ手書きから補正なんて面倒な手間を踏まずとも、タッチキーボードを使うのでも別に問題なくなってしまいますよね?短文だから書くのも修正もすぐ終わっていますが……実際タッチキーボードよりスピード的に優っているかは疑問です。
まぁ、使い込んでいけばこれでも持ち主の字の癖に合わせてどんどん学習していくらしいので、変換時のストレスは減少してゆくはずなのですが。それを阻む難点が次項。ここの評価が星2になった理由はそちらです。
「文字認識をさせる前提での手書き」はダメダメ
レイアウトが自由にできるのがタイプと比較した手書きの利点なのに、それをほとんど捨てるか余程の手間をかけるかしないとまともに手書き→文字変換できないって、意味あるんですか?それ。
と、いうわけで難点を箇条書きにしていきます。
- 縦書きはNG
- 予めテキストボックス内に書いておかないと、変換が大層手間なのに加えて精度も低い
- 元の手書き文字を赤で大きく書いていたとしても、変換後は文字入力時のフォント(=普通は黒の小さい文字)に自動的に変換されてしまう
- では、と文字への変換時に一々色やフォントサイズを変えて変換するのは手間を考えると非現実的
- 「文字認識させる前提で書くテキストボックス」の中では消しゴムが使用不能
1.はまぁしょうがないかもしれません。高望みです。最初は気づかず愕然としました。
2.について。ちょっと上のノートを御覧ください。サンプルのノートです。緻密に作られていて、それでいて尚且つ読みやすい。手書きのノートって言ったらこういうのを連想しますよね?
余談ながら、こういう凝ったノートを作ってしまうと、表示する都度毎回ワンテンポロード時間が入ります。
さて、2.の問題点の一番分かりやすい例として、吹き出しの中の電球と共に書かれた、「中央値は外れ値の影響を受けない」という文章ですが……これはまずまともに変換できません。斜めだからです。斜めに書かれた文字を変換しようとすると、強引に紙と平行なテキストボックスを想定して字形を認識してしまい、元の文章からは大きくかけ離れたものになってしまいます。これと3.の理由とが相まって、「普通に全て手書きでノートを作成した後、それを文字認識させる」という使い方はお勧めできません。
3.について。OneNoteはきちんと元の色やフォントサイズをそれなりに保ったまま変換しようとします。まぁ、OneNoteの文字認識の精度は大変低いので使い物にはなりませんから、引き足に出すのはちょっとおかしいんですが、Metamoji Noteのそこってどうなの?というポイントではあります。
4.文字入力時のフォントサイズ&色は候補は1つしか表示されていないので、変更したい場合は一々何回も細かい所をタップして切り替える必要があります。確かに、普通はそんなに文字入力時のフォントを切り替えたりはしませんけど、手書きをデジタルに反映させるなら必須なポイントかと。
5.について。テキストボックスとは、上でAnd~とか書いている場所のことです。この中では消しゴムが反応しません。修正したい場合は、Undoっぽい挙動のBackspaceを使わざるを得ません。これができるのは最後尾の最後の一画を順番に消していくことのみ。真ん中当たりの文字が誤認識されたから修正したい、という時は×でその文字全体を消すよりなく、文字の二画が繋がってしまったから消しゴムで真ん中を消してきちんとした文字にしたい、というのはできません。書き順も認識率に影響するから、というのは分かりますが、正直非直感的でストレスのたまる挙動です。
使えるペンの種類等は良好、でも筆圧が効かない
以下は純粋な手書きアプリとしての話。要するに、Metamoji Noteでなくともいくらでも他に代替アプリが存在する箇所についての話です。
利点としては、マーカーの透明度を細かく調整できたりするのはいいですね。また、筆ペンチックなペンや、色にグラデーションを選べたのはちょっと楽しかったです。これが必要かはともかく。
筆圧が効かないことで私の環境では減点になってしまいます。ちょっとしたイラストを描いていて太い線が欲しいがペン変更は手間、漢字を書いていて、筆運び中にうっかりペン先がかすった時に他の線と変わらない太さなのでイラッとする、等が筆圧非対応の難点でしょうか。
ペンの移動が高速になった時の追従性は悪いと思います。他のノートアプリがこなせるレベルより明らかに低いです。iOSやAndroid版でどのような調整になっているのかは知りませんが……
それと、折角ペンの種類も色も太さも豊富に選べるのに、同時に表示できるのが全部合計で5種類はちょっと少ないと思います。OneNoteは8種+マーカー4種。ただし、OneNoteと違ってマーカーを縦向きにもきちんと引けるのは、国産ってやっぱいいな、と思わされました。できないOneNoteがおかしいだけですけどね。
mazec(手書き認識システム)だけ別売にして欲しい
mazecは頑張ってると思います。特に英語は。それなのにMetamoji Noteの残念な部分に引っ張られて使いづらい代物になってしまっているのは残念でなりません。
OneNoteに比べると劣っている点が多いのは、元はといえばOneNoteは単体販売価格1万円を超える高額アプリであったことを考えればしょうがないことであろうとは思いますが、今は無料なのでむしろそちらの方が安いですし……
個人ユーザーへのIMEとしてのmazecの販売がされれば、そして他アプリへのアドオンとして使えるようになれば(早い話、OneNoteの存在するだけで実用性が全くない手書き認識部分をこれで補えれば素晴らしいノートアプリになると思います)いいのになぁ……と実現しそうにないことを願って本レビューは終わりとさせて頂きます。
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購入金額
3,000円
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購入日
2014年12月11日
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購入場所
Windows Store
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