つい先日、税別で1万円を割り込んだことで話題となったWindows 10採用のスティック型PC、Diginnos Stick DG-STK1B。どの程度の実用性があるのか興味がありましたので、とりあえず買ってみました。
外箱です。この面ではありませんが、外箱にも本体にも無造作にシリアルナンバーが刻印されていて、レビューする側としてはちょっと面倒な仕様です。
同梱物です。
・本体
・マニュアル
・USB-ACアダプター
・USBケーブル(標準Aオス-microAオス、給電用)
・USBケーブル(microAオス-標準Aメス)
・HDMI延長ケーブル
という中身です。要は使い始めの段階で必要となるケーブル一式は含まれているということでしょう。
無線LANの出来は論外
元々無線LANの出来は悪いという評判ではありましたが、それにしても想像を超えるレベルでの出来の悪さでした。
確かに液晶TVの背面側に設置されることになりますので、無線LANにとっては劣悪な環境となることは理解できるのですが、同じスティック型端末であるGoogle Chromecastと全く同じ条件で使って、感度が悪すぎて繋がらないのですから話になりません。
厳密に言えば全く繋がらないというわけではなく、セットアップの段階では感度は低いながら一応繋がっていました。しかし、EdgeのブラウジングやLAN内部でのファイル共有など、実際に利用するタイミングではほぼ確実に切断されてしまい、接続だけされても意味がない状態でした。
実際他のユーザーのレビュー等を読んでいても、Edgeの先読みなどがあるとすぐに切断されてしまう症例や、数m先に無線APが見えている環境で使っても感度が弱すぎてまともに繋がらないという事例などが見られていますので、この個体の固有の問題ではなく、製品自体の問題であるようです。前述のEdgeの先読みで切断される症例はサポートでも認めているらしいですが、改善はされない模様ですし、あまりに完成度が低すぎます。
この類の端末は無線LANが繋がって初めて機能するものですから、この時点で使用感を論じることは不可能ということになります。後でUSB接続の無線LANアダプターで使ってはみますが、これではこの端末の存在意義がありませんからね。
負荷にも弱いので、強制空冷は必須
実は購入時に店員の方にもいわれたのですが、実際に使う際には多少なりともエアフローがある環境で使って欲しいということでした。
無風の状態で使うとすぐに発熱がひどくなり、動作クロックがどんどん落ちてきてしまいます。簡単にWebの表示をする程度や、Word/Excelファイルの閲覧程度であれば何とかなると思いますが、HD解像度以上の動画を長時間再生するには冷却は必須という水準です。
はっきり言ってしまえば、冷却ファンの内蔵が必須である設計からファンを抜いたため、熱設計に無理が生じているということですから、そもそも製品企画の段階から間違っているというべきでしょう。Diginnosブランドでは、同等仕様で冷却ファンを内蔵したモデル(DG-STK2F)も用意していますが、これだと一気に5千円上がってしまいますので、もう少し安く売られている他社製を最初から買う方が正解のような気がします。
なお、この端末に限った話ではないのですが、SHARP製のTVのHDMI端子で使う場合には注意が必要です。
少しわかりにくいかも知れませんが、画面端が全て欠けてしまうのです。特にWindows 10のスタートボタンが表示範囲外に行ってしまうのは結構不便です。「大体この辺かな」という感覚で一応クリックは出来るのですが、お世辞にも便利ではありません。
仕方ないので、実際の操作は解像度を1,600×900として行っていました。この状態では画面に縦横とも黒帯は出来てしまいますが、デスクトップ全体が表示されています。
Windows 10 Homeのライセンス込みで約1万円という価格は大きな魅力ではありますが、ハードウェアとしての完成度があまりに低すぎて、使い勝手を詳しく論じるというレベルにすら達していません。まさに「安物買いの銭失い」を地で行く製品ですから、この類のPCに興味のある方は他の製品を購入されることを強くお薦めしておきます。もっとも、これを何とか使いこなすということに興味のある方であれば、敢えて買ってみるのもありかも知れませんが。
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購入金額
10,770円
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購入日
2015年10月24日
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購入場所
ドスパラ
Schrödingers Katzeさん
2015/10/25
うちのテレビにはオーバースキャンとか、色々変な表示モードがあったような気がするのですが…。
熱設計は、ファンレスにするなら、大きさに妥協するべきだったかもしれませんね。
強制冷却をしている機種もあの穴の大きさだと、リビングやキッチン、寝室で、油煙や、埃が立つ場所の場合は、結局経年で目詰まりして同じような状況になりそうな気がします。実際デスクトップPCなどでも、夏場埃の毛皮を着込んだCPUクーラーがあちこちでCPUのストライキを引き起こしてますし。
意外と使えるという評価は、新品でまだ使い続けている人が限りなく少ないからという気がしなくもありません。
筐体もヒートシンクとしてつかって、無理に体積を小さくしない形にすればファンのノイズやメンテナンス性という別の側面での売り文句にできたかもしれませんね。あんまり直接熱をにがすと触りたくない温度になりそうな気はしますが。
DDoSの影響か、今見られなかったのですが、
http://ascii.jp/elem/000/001/063/1063383/index-3.html
使い物にならなくてどうしようもなければ殻を割って油没なんていう無茶も選択肢としてはなくもないかもしれないです。
無線ももしかすると今の筐体よりは、遮蔽物になるものが減ることでマシになるかもしれませんし。
一寸だけ興味はあったのですが、良くも悪くもWindowsPCなので、大きさ違うだけだよな…と、財布を開ける手を止めた記憶があります。
この形状を生かした何かが確立できたらこのタイプの製品の評価も化けるかもしれないのですけどね。
jive9821さん
2015/10/25
このTV(LC-37GX50)自体が結構古い製品なのですが、HDMI周りは殆ど何もいじれないんですよね。この世代のSHARPのHDMIは結構出来が微妙です。
DG-STK1Bについては、こんなものとしか言い様がないですね。せめて活用を考えられるレベルの使い勝手は持っていて欲しかったところです。
Schrödingers Katzeさん
2015/10/25
何か工夫すれば安定する程度の設計になってりゃ随分と違うんですが、説明書どおりだと、ちゃんと動きませんはちょっときついですわな…。
熱だけの問題なら、バラして、どうにかすればよさそうではありますが、実はそうじゃないとか、そういうこともありそうで…。
jive9821さん
2015/10/25
先程USBの無線LAN子機を組み合わせてみましたが、投げ捨ててあった安物でも内蔵の無線LANとは雲泥の差というほどの安定感です。
Schrödingers Katzeさん
2015/10/26
普通アンテナの部分だけは透過するパーツのところに配置するんですが、見当たらないので、もしかすると外に出るべきものがシールドされてしまっていて、ちょっと方向を選ぶのではないかということと、Bluetooth4.0も付いてるので、場合によっては、それと喧嘩してたりしないかということは思ったんですが、そういう問題とかレベルでもなく、電波捕まえられないのでしょうかね…。
USBが2系統引っ張れるところは、辛うじて良いところ…だとは思いますが、物理的な工夫は必要なのは、ちょっとこの程度の値下げだと厳しい商品かもしれませんね。
他も熱設計以外は大差無さそうなんですけど、どうなんでしょうねぇ。
jive9821さん
2015/10/26
APから近いところ(2m以内など)で使えば一応繋がっていますので、単純に自分自身の筐体に遮られて電波が弱くなっているだけではないかと思われます。試していませんが、そうなるとBluetoothの感度も怪しいかも知れません。
Schrödingers Katzeさん
2015/10/26
送料考えたら実店舗かなぁ。
最後に行ったのは、随分前だがまだあの場所にあるだろうかw
都合がいいヒートシンクはどっかにあっただろうか…。
ガワ外したら素直になったりしたらそれはそれで面白みは無いんだけども。
…USBのNICとか、マルチドッキングなんてのを持ってたりするし…。
旧機種と同じなら、左右にビスで、BIOSにはバーストモード有効化の設定が有ったと思うんですが、現行製品はどうなんでしょう。
jive9821さん
2015/10/26
ただ、旧機種とはWindowsのバージョン以外は変わっていないはずですので、多分その辺りも変わっていないのではないかと思います。
アラクレさん
2015/11/03
実は2時間でスイッチ周りをぶっ壊して以来、さっぱり触っていないんで
その異常さに気づいてないんですよね私(笑)
jive9821さん
2015/11/03
最初から期待はしていなかったのですが、その予想すら大幅に下回るというひどさでした…。
今は取り敢えず貸し出しているのですが、戻ってきたらなんとか出来ないか、少し考えてみたいと思います。
特にアラクレさんの分解レポートを参考に、筐体自体を改造するというのも視野に入れるべきかもしれません…。