追記:2016/01/23(HDDとの起動時間/ベンチマークスコア比較)
2016/01/24(スペック比較表追加)
今回Intelの最新型SSD、インテル(R) SSD 535 シリーズ 480GBをレビューする
機会がいただけましたので、早速見ていきたいと思います。
まず、今回は「ノートPC 20機種 復活劇」ということで今回のSSDを取り付ける
PCの紹介です。
・メーカー:NEC
・モデル:LaVie S LS150/LS6W
・インストールOS:Windows 8 64ビット
・CPU:インテル(R) Celeron プロセッサー 1000M 1.5GHz(2コア/2スレッド)
・メモリ:4GB(4GBx1、PC3-12800)
・HDD:750GB(Serial ATA、5,400回転/分)
・BD/DVD/CDドライブ:DVDスーパーマルチドライブ[DVD-R/+R 2層書込み]
・グラフィックアクセラレータ:インテル(R) HD グラフィックス(CPUに内蔵)
・内蔵ディスプレイ :15.6型ワイド スーパーシャインビューLED液晶
・11nテクノロジー対応ワイヤレスLAN本体内蔵(IEEE802.11b/g/n準拠、Wi-Fi Direct™準拠)
当時量販店では5~7万円程度で売られていた、スタンダードクラスのノートPCです。
NEC LaVieシリーズの中では、このSシリーズの下にEシリーズがあるのでそれより
上というものです。Windows 8が出て少し経った頃のモデルですが、Windows 7の
頃の同クラスのモデルだとメモリが2GBというものも多かった事を考えると標準でも
それなりに使える程度の性能は備わっていたように思います。しかしながら当方の
運営しておりますブログ「パソコン改造記の憂鬱」の名前のとおり、そのまま使おう
と思って購入しておらず(!)現時点で
・CPU:第3世代 インテル(R) Core i7-3630QM プロセッサー 2.4GHz(4コア/2スレッド)
・インストールOS:Windows 10 Home 64ビット
・メモリ:16GB(8GBx2、PC3-12800)
・HDD:Samsung SSD 840 Series MZ-7TD500B/IT 500GB(Serial ATA3)
・BD/DVD/CDドライブ: ブルーレイディスクドライブ(DVDスーパーマルチドライブ機能付き)(BDXL™ 対応)
・グラフィックアクセラレータ:インテル(R) HD グラフィックス 4000(CPUに内蔵)
・内蔵ディスプレイ :15.6型ワイド スーパーシャインビューLED液晶
・11ac対応ワイヤレスLAN本体内蔵(IEEE802.11ac/a/b/g/n準拠、Wi-Fi Direct™準拠)/Bluetooth® テクノロジー本体内蔵(Ver.4.0)
というように手を加えており、非常に快適に動作しています。これだと「復活」に
なりませんので、SSDをHDDに戻して各ベンチマークや使用感の比較をしていこう
と思います。標準のHDDがないので、世代的には同じHGSTの320GB HDDを使用
しています。
インテル(R) SSD 535 シリーズの商品構成ですが、
このようなお洒落な箱の中に
SSD本体のほか、SSDの厚みを7mm→9.5mmにする貼り付けタイプのスペーサーや
SATAケーブル・ネジ・インストレーションガイド等の説明が入ったCD-ROMが付属
しています。旧330 シリーズではこれに加えて3.5インチベイ用のマウンターも
入っていましたが、ノートPCなど2.5インチベイで使用する場合は不要なので付属
しなくなったようです。ノートPCではなく、3.5インチベイにHDDが搭載された
デスクトップPCに取り付ける場合は別途マウンターの購入が必要となります。
データ移行に使用できるツール「Intel(R) Data Migration Software」については
Webサイトからダウンロードする必要があります。CDに含めていただいてそれで
ブートできるようになっていれば、もっと柔軟な対応ができるかと思うので今後
CDに収録されるようになってくれると有難いですね。
SSD自体のデザインはこのようになっており、表面はIntelロゴが輝くヘアライン調
のシルバーです。
インテル(R) SSD 730 シリーズではここにスカルロゴが入っていましたので、
それに比べると一般ユーザー向けという印象が強いです。SSDを凝ったデザインに
しても、PCの中に入れると目に触れることもなくなるので勿体ないですね。
裏面は鋳物製で、製品名や容量・シリアルを示した銘板がついています。
早速SSDへの環境移行を行ってみます。環境を移行するためには別途USB-SATA
変換ケーブルが必要となりますので、2.5インチHDDケースを使用しました。
これ以外でも一般的なUSB-SATA変換ケーブルや、クローニング用のHDD
スタンド等でも同じように作業できるかと思います。3.5インチHDDケースも
固定できませんがインターフェースは同じなので、余っている人は利用できます。
ケースに入れてUSBでPCにつなぎ、Intel Data Migration Softwareをダウンロード
してインストールします。ダウンロード時は各国語版のソフトウェアが公開されて
いるので、使用言語に合わせて選択します。一般的には日本語で良いかと思います。
インストール時にはインテル(R) SSD 535 シリーズもしくは同メーカーのSSDが
PCに接続されていないと
インストールを続行できませんので、接続前にインストールすることはできません。
ちなみにここでTrue Image 2013の文字が出ているとおり、このツールは
Acronis True Image 2013をベースにしているものです。Windows 10の対応
は記載されていませんが大丈夫でしょうか・・・。ともあれインストールして、
メイン画面の大きな「開始」ボタンをクリックするとデータ移行もといクロー
ニングのスタートです。
モードはパーティションのサイズを微調整できる「手動」と、全部おまかせで
サイズ変更できないパーティション以外は良きに計らってくれる「自動」が
あります。今回、500GBのSSDを使用しており20GB程度の差ですし空きも
十分あるので、「自動」で行ってみます。もちろん、移行元の総容量が移行先
の容量に足りなければ作業は続行できませんので、使用しているデータを別の
ストレージに移動して総容量を減らす等の対応が必要です。操作を進めると
途中で再起動が要求されるので再起動します。
再起動後は移行作業が続行されます。接続しているインターフェースの転送速度
によって、作業時間が左右されます。今回の場合は空きが200GB程度あると
いうこともあり、USB2.0接続でも開始時の残り時間は30分を切っていました。
SATAで繋げられればもっと速く済むかと思います。作業を開始してから夕食
や入浴を済ませていたので、実際どれくらいかかったのか不明ですが30分以上
経っていたので戻ってくると作業が終わっていました。ダイアログのシャット
ダウンボタンを押すと、PCの電源が切れるのでSSDを交換します。
本体を裏返し、バッテリーを取り外します。写真手前側の細長いものが
バッテリーです。そのあと、写真右奥のふたを固定するネジ1本を抜き取って
ふたを開けるとHDDベイにアクセスできます。
金具についているタブをネジ穴側に引っ張り、HDDをスライドさせてSATA
コネクタからHDDを外してから、持ち上げて取り出します。金具とHDDは
ネジ2本で止まっていますので、金具とネジをインテル(R) SSD 535 シリーズ
に移植して元通り組み立てていけば完了です。
HDDベイにアクセスがしやすい機種ならものの数分程度ですが、Ultrabookなど
薄型の機種やその他一部でかなりばらさないとアクセスできない機種の場合は
慎重に作業する必要があります。また、厚みが薄すぎてうまく収まらない場合は
付属のスペーサーを貼り付けてかさ増しすると収めやすくなります。組み立て
終えたら電源を入れ、きちんとOSが起動して環境が移行できていることを
確認します。これで交換作業が終わりました。
交換の効果を確認するため、各種ベンチマークを実施してみます。まずは
HDDやSSDの転送速度を測るポピュラーなツール「CrystalDiskMark」です。
HDD時が
これくらいであまり奮っていませんが、SSD時は
HDD時の3~4倍程度の速度となっており、かなり高速化されていることが
分かります。ただしこのSSDのポテンシャルはフルに発揮できておらず、
原因はPC側のSATAポートの転送速度が3Gbps(SATA2)に制限されている
ためです。NECの場合、同型の筐体のLS150/HSやLS150/JSでは同様の制限
があることを確認しています。他にもSONYなどの製品でSATAポートの転送
速度制限が実施されているものがあるようです。ちなみに筐体が変わる前の
LS150/FSやLS550/ESでは転送速度制限はなく6Gbps(SATA3)で転送され
るため、ほぼSSDのポテンシャルをフルに発揮できます。また、筐体が変わる
LS350/SSでもSATAポートの転送速度制限は撤廃されており同様の状態です。
参考までに6Gbps(SATA3)で転送されるSONY VAIO F VPCF24AJに
搭載するとこのようになり、SSD本来のポテンシャルが発揮されています。
ただし制限を受けていてもHDDよりは遙かに高速なので、交換した効果は
十分に出ています。次が起動時間を計測するツール「BootRacer」です。
しばらくSSDで使っていたので、HDDは久々ですが
どうも今の使い方だと起動に7分もかかるようです。こっちのほうがびっくり
しました。PCが壊れているのではないかと感じるほどです。SSDの場合は
52秒程度で起動しており、1/8という大きな差が出ました。この結果だけでも
SSDに変える意義はあるのではないかと思います。時間が勿体ないです。
メーカー製PC故ということもあり、常駐ソフトが多いのでそれらを止めれば
もっと速くなるかもしれません。分かりやすく棒グラフにしたのがこちらです。
もちろん短いほど高速という形です。起動の様子を動画に撮ってみました。
HDD時は
動画が長すぎるのでよほど暇でなければ見る必要は無いかと思います(w
一方SSD時は非常に高速で、
Windows 10をお使いの方であればイメージが付きやすいかと思います。なお、
SSDのほうは無駄に4K解像度で撮影していますが他意はありません。HDDの
ほうは長すぎて4Kで撮るとスマホが録画を停止しそうだったのでやめました。
OSの起動のほか、実際のアプリケーションの起動も高速化しています。Office
スイート系は読み込みが多いこともあり体感速度は大幅に向上していますし、
特にメールが大量に保存されたOutlookの起動は非常に高速になりました。
読み書きの回数が多い大きなアプリケーションの場合にSSDは威力を発揮します。
タイトルの通り、PCのドーピング剤となるのがSSDです。過去数十台のノート
PCを弄ってきた経験上、Core i7のようなハイスペックなCPUを搭載した
PCでも、システムドライブがHDDだとレスポンスが悪くなり折角のCore i7の
パフォーマンスの足かせとなりますがSSDにすることで、その足かせが外れて
大幅に高速化できます。また、CeleronのようなローエンドクラスのCPUでも
システムドライブの高速化で体感速度が大きく向上するため、PCを買い替えた
かのような体験をすることができるかと思います。もちろん、PCのメモリが2GB
程度しかない場合はメモリのスワップが頻繁に発生するため、先にそちらを増設
しておいたほうが効果は高いですが、メモリに次いで交換することで効果を実感
しやすいのがSSDではないかと思います。SSDもだいぶ値がこなれてきていますし、
インテル(R) SSD 535 シリーズは5年間限定保証が付随していますのでサポート面
でも安心でき、万人にお勧めできるSSDだと思いました。
おまけなのかどうか微妙なところですが、今回のインテル(R) SSD 535 シリーズ
と手持ちの他のSSDとデータシート上でのスペックを比較してみました。
ハイエンドのインテル(R) SSD 730 シリーズに比べると、やはり大人しめの
スペックのようですが数年前低価格になって我が家でも3つ買ったインテル(R)
SSD 330 シリーズに比べると、ランダムライト以外は全域でスペックアップを
果たしています。初期のSSDを使っている人は入れ替えると差が分かりそうです。
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