実はシカゴのアルバムは、Chicago 17以前のものしかこれまで公式にリマスターされたことがありませんでした。日本の独自企画盤で18、19、TWENTY 1のリマスター盤が用意されたのですが、これは日本側が手持ちの音源をそのまま音質調整して出していたのではないかと考えられます。

今回のボックスに含まれるアルバムを既存のものと聴き比べてみたところ、Night & Day以降の作品は音質・音量共に全く変化無しでしたが、それ以前は一応リマスターされているようです。

もっとも旧作のリマスターとは異なり、主に録音レベルを現代的な水準に合わせ、主に低域方向の増強を図ったのではないかと考えられるような音質傾向であり、それほど劇的に改善したという印象はありません。

以前LP盤の「Chicago 18」のレビューで触れたのですが、この作品はCDとそれ以外のメディアとで左右の音が逆になるという問題を抱えているのですが、今回のリマスターでも左右は従来のCDと変わっていませんでした。

今回収録されているボーナストラックを一覧にしてみました。

Chicago 13

・Closer To You

・Street Player（Dance Mix）

Chicago XIV

・Doin' Business

・Live It Up

・Soldier Of Fortune

Chicago 16

・Daddy's Favorite Fool

Chicago 17

・Where We Begin

Chicago 18

・25 Or 6 To 4（Single Version）

・Will You Still Love Me? （Single Version）

Chicago 19

・Look Away （Single Version）

・We Can Last Forever （Single Version）

・What Kind Of Man Would I Be? （Singel Version、20作目のベスト盤に収録されたもの）

TWENTY 1

・Explain' It To My Heart （Promo Single Version）

実は日本の独自企画盤以外では初CD化となる貴重なトラックが少なからずあるのですが、この辺りは一部のマニア以外にはあまり興味の無い話でしょう。

先程触れたChicago 18の左右の音ですが、ボーナストラックで収録されている2曲のシングルバージョンはLP等と同じとなっていて、この辺りも妙な感じです。

リマスターの傾向自体は最近のDAP等で再生したときにしっくりとくるような、音圧が大きく派手なもので、必ずしも褒められたものではありませんが、一般的にはこちらの方が受けは良いのかもしれません。

シカゴの良く知られたシングル曲の多くはここに含まれていますので、入門用に最適なボックスとなっていますし、従来盤を何枚か持っているという方もボーナストラックやリマスター目当てに入手して損はないものとなっています。

1つめのボックスも含めて、単品のアルバムを買うよりは大幅に安く済むようになっていますので、シカゴに興味はあってもCDを持っていないという方は是非。