村松健。フュージョンピアニスト/キーボーディストとしてデビューしたが、その後よりニューエイジ系にシフトした。中期以降は鍵盤以外に三線なども弾き、もともと持っていた日本的フレーズまわしとあいまって、どこか懐かしいような、寂しくなるようなリリカルなラインが特徴の曲を生み出している。
そのフュージョン⇒ニューエイジ系の転換点とも言えるのがこの作品。バンドがバックが入った構成だったりリズムマシンやシーケンサーを使った人工的な感じのアブローチだったりした前作までと比べるとナチュラルで、音色的にもダンパーを踏んだ響く音が特徴だった最初期に比べてややソリッドになった「お化粧してない」音が、季節を綴る。
「ぶどう色のときめき~1月」。緩やかに流れるどこか懐かしいような、新しき年の息吹のような、聖なる調べのような音がたゆたう。村松の♪LaLaLa♪で歌われるかすれめの声でのメロディラインと強めの左手のベース音が癒やしの音色。
夏を感じる「光のイリュージョン~7月」。ただ「激しい夏」ではなく遠い記憶の中の夏。子供の頃、田舎の家の日陰になっている縁側に座って吹き抜ける風を感じながら、外の道(未舗装、砂利なし)から立ち上る陽炎をぼんやりと眺めている(←造りすぎ)感じ。
少し哀しげな「喜びは悲しみとともに~12月」。年の終わりと冬という季節の寂しさが感じられる。でも展開部は少し明るさを増して...それは来る年に対する希望か、聖なる季節に対する期待か...
12ヶ月の刻の流れを緩やかに綴ったピアノ曲集。既に1世紀以上を経たピアノ(1911年製GROTRIAN STEINWEG)から紡がれる音はとても優しい。時の流れを振り返るような、懐かしい音が閉じ込められた作品です。
【収録曲】
1. ぶどう色のときめき~1月
2. 野こぶしの木~2月
3. れんげ草~3月
4. 花まつり~4月
5. 海につづく小径~5月
6. ジャコウアゲハの動揺~6月
7. 光のイリュージョン~7月
8. ひまわり~8月
9. 待宵草~9月
10. 柿の葉あつめ~10月
11. 大きなとちの木~11月
12. 喜びは悲しみとともに~12月
「アルバム前半」
「アルバム後半」
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購入金額
3,200円
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購入日
1987年頃
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購入場所
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