TOKMA(トクマ)。20世紀末から活動をはじめ、現在も歌っているロックシンガー。
そんな彼がインディーズ盤で出したデビュー盤をそのままメジャー発売したものが本作。ゴリっとした粗い、でも熱いロックが聴ける。
「Oh! Angelina」。ハイハット4つ打ちのドラムスと比較的良く動くベースで作られたザクっとしたリズムの上で、2本のエレキギターで分け合うリフに乗せてヴォイスモジュレーションで潰したような声でTOKMAが歌う。音もやや「狭い」感じでアングラ感ぷんぷん。歌の部分は結構ハードなのに間奏がスパニッシュテイストの生ギターというのがかなり意外で面白い。ラストが♪Oh! Angelina♪と歌われると同時にプツンと切れて終わるのも印象深い。
「Body Talk」も同様な雰囲気で始まるが、「サビ前」の曲であるこの曲はBメロになるとかなり音が絞られ生ギターのみになる。スネアの喰いフレーズなどが入っていてリズムはノリノリなんだけれど、ちょっと乗り切れないのは調が不安定なこと。♪Body Talk♪という部分だけは明確に長調なんだけれど、他のサビの部分はちょっと調が不安定。そして他のBメロ部分などは短調系。音造り的には短調の曲ナンだけれどなー...と聴いていると突然♪Body Talk♪の部分だけあっけらかーんとしてるのがちょっと。ただ混沌とした「押し切る」エネルギーが感じられる。
...と曲の方は(このメジャーデビュー盤の数年前に出たインディーズ盤焼き直しなのもあって)インディーズ系の熱気が感じられる作品なのだが。
現在このTOKMAなる人物、別の面で有名になっている。椙杜徳馬(すぎのもりとくま)という本名を明かして活動をしているのが政治の世界。幸福実現党の青年局長を務める(2015年7月現在)。そしてその領有権で他国と見解の相違がある尖閣魚釣島に強行上陸、そこで歌を歌うという行為に出る。
最近の作品は「TAX HEAVEN〜増税反対!!〜」や「格差社会はなくせない!」といった主張の強い曲調だったり、作品の発行が幸福実現党レーベルだったりとかなり政治寄りの立ち位置。そもそも彼のHPを見ても政治系のアピールばかりで音楽活動の証跡を追うのは難しく、ディスコグラフィーや曲サンプルなどはない(Youtubeのチャンネルには新しめのものはある)。
近頃の活動としては音楽<政治となっているようで、それは人の価値観の変遷ということなんだろうけれど、ライヴと称して政党後援の会も催されているようで....
歌はその人の心の発露だし、魂の叫びでもある。それは否定しないし、その感情や考え方に賛同すること自体はむしろ芸術としてはアリ。ただそれが政治や宗教と結びついていくと途端にキナ臭くなる。そのあたりの線引きは難しいな、と彼がまだ音楽中心に生きていた時代の作品を聴きながら感じた次第。ぜひ「政楽分離」でお願いしたい。
【収録曲】
1. Oh! Angelina
2. Body Talk
3. Oh! Angelina - instrumental
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購入金額
1,000円
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購入日
1996年頃
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購入場所
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