最近では使う機会も随分減ってしまったFM/AMチューナーですが、その中では最も稼働率が高いのがこのチューナーです。
1968年発売で、当時の希望小売価格は61,000円というハイエンドモデルでした。
それ以前は本格オーディオの範疇には入らないと言われていた国産FMチューナーを、立派なオーディオ機器として認識させた立役者とも言われていたようです。もっとも、私が生まれるよりも遙かに前の話ですから、当然リアルタイムで知っているわけではありませんが…。
詳細につきましては、当時の評論記事を掲載しているサイトがありますので、こちらからご覧下さい。
製品名にわざわざ「SOLID STATE AM/FM STEREO TUNER」と銘打っているのは、当時としては最先端となる設計の、IF回路にICを採用していることによります。これ以前のチューナーでは増幅用途にトランジスターを採用していて、増幅率をあまり稼げなかったのですが、この機種の登場前後からはICが採用され始めていました。これが後述する高い感度の一つの理由となっているのかも知れません。
電波に恵まれない家に最適
実はFMチューナーにつきましては、他に1990年頃の比較的実力派と呼ばれたシンセサイザーチューナーを何台か所有しています。
そのうちレビューを改めて掲載したいと思っていますが、
・Pioneer F-717
・KENWOOD KT-7020
・Victor FX-711
辺りの当時比較的評価の高かった製品は押さえています。
しかし、私の家は立地の都合上FM電波に恵まれていません。元々が周囲よりも低い位置に開発された地区であり、その上西~南東までを工業団地に囲まれた位置であるため、高圧電流が流れる鉄塔に囲まれているなど、アナログTVの時代には電波障害で高所に地域の共同アンテナが立てられ、それで何とか受信していた程です。
そのため、家に普通のアンテナを用意した程度では、シンセサイザーチューナーの殆どは実用レベルの受信が出来ないのです。特に上記FX-711などは強い電波による歪みを追放するなどという趣旨の製品であり、首都圏でここまで電波に恵まれない場所があることなど想像もしていない設計ですからね。
その点、同じアンテナを使っていても、KT-7000を初めとするバリコンチューナー勢は何とか実用レベルの受信が可能となります。
そして、私が所有するバリコンチューナーの中でも、音質的に頭一つ抜けた存在となっているのがこのKT-7000です。高域方向の透明度などはやはり時代相応の部分はありますが、特に中低域方向の余裕は他のチューナーではなかなか得がたいものがあります。
声や楽器の質感も意外なほど生々しさを感じさせるものがあり、もちろんこれ以上に音質の良いチューナーは少なからずあるでしょうが、これ以上の必要性をあまり感じさせない程度の音質は確保してくれています。
中古で出てくれば大した価値は付かないものだとは思いますが、金をかけてきちんと設計されたオーディオ機器ならではの良さは確かにあります。
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購入金額
2,000円
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購入日
不明
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購入場所
やくりさん
2015/07/05
温かみのあるウッドキャビネットがいい感じですね(^^)。
jive9821さん
2015/07/05
コメント有難うございます。
特にアナログチューナーの時代はTRIOの基本性能の高さには定評がありましたね。
このKT-7000はHi-Fiオーディオ向けチューナーの礎となった製品だったそうで、昔KENWOODのチューナーのカタログに掲載されていたチューナー関連の年表にも最初に写真付きで掲載されていた製品でした。
私の環境では設置場所の関係で目立たない場所にひっそりと置かれていますが、きちんと設置してやるとレトロながら優美な佇まいで、さすがだと思わされます。
北のラブリエさん
2015/07/05
私もチューナーほしいです。
jive9821さん
2015/07/05
コメント有難うございます。
正直言って単に聴くだけならradikoを使うことが多くなっているのですが、たまに録音しようと思ったときなどにはまだまだチューナーが活躍してくれます。
長時間のエアチェックにDATのLPモードを使ったのも懐かしい思い出です…。