Larry Carlton。80年代にギターをはじめたヤツでジャズ~インスト系に興味があったヤツは識らないのはモグリ!ともいえるビッグネーム。当時はLee Ritenourと並んで人気と実力を兼ね備えた双璧!と言う感じだった(他にもAl Di MeolaやPat Metheny、少し上となるがLarry Coryellなどこの時代はスターフュージョンギタリストが多かった)。
Leeが時代の先端のテクニックやテクノロジーを積極的に取り入れていき、変化していくタイプのギタリストだったのに対して、Larryはギターシンセなどの新規性のあるものは使わず、よく言えば王道、悪く言えばローテク(ノロジー)。ただその分フレーズやプレイで語り、限られた音色での表現力の高さなど、よりエモーショナルな方向に寄ったプレイが特徴。
そんな彼が手がけた全編ブルースアルバム。結構ブルージィなものから「ブルース系統」というくらいの軽いものまでそろうが、意外なことにすべてがLarryの作で彼のルーツとなったブルースへの理解と消化が感じられる。
イントロの軽く吹くMark Douthitのサックスが期待感を抱かせつつLarryの歌うギターが楽しい本編に突入する、ブギー風の造りの「FRIDAY NIGHT SHUFFLE」。まるで“Back to the Future”
の「魅惑の深海パーティ」ででも演奏されていそうなハッピーチューン。曲のつくりとしては定番で、コード進行も定石も外していないのだが、音の選び方が粋。THE GADD GANG
のようなアメリカンな陽気さ。
「TAKE ME DOWN」は齢を経たLarryの表現力が堪能できる、「ハーモニカの魔術師」と呼ばれた故Terry McMillanとの一騎打ちのエモーショナルな曲。左chからはマイルドにオーバードライヴしたLarryのギター、右chからは表現力豊かで振幅が大きいTerryのハーモニカ。Larryのタッピングを使った静かなプレイ、Terryのタンギング...濃い酒を飲みながら静かに味わいたいプレイ。
ラストは日本盤のみのボーナストラック、名曲「ROOM 335」。なんと「あの」印象的なカッティングを封印。逆に生ブラスを大々的に入れてハッピーかつ南部チックに?リボーン。でも歌心あふれるLarryのプレイは健在。レスリービンビンのReese WynanのB-3とBilly Kilsonの8ビートが印象的←なんと16ビートじゃなくて!(ちょっとハネてるけど)印象としてはかなり違うんだけれど、ヤッパこの曲は名曲だわ。コード進行聴いてるだけでも気持ちよい。
このアルバム、レビュー書くのに引っ張り出してびっくり。もはや10年以上前の作品だった。でも数年前のものと言われても納得できる感じ。それは決して停滞ではなくて熟成、冒険ではなくて安心。すでに完成されたCarlton節が冴えわたる、時を超える名盤です。
【収録曲】
1. FRIDAY NIGHT SHUFFLE
2. A PAIR OF KINGS
3. NIGHT SWEATS
4. SAPPHIRE BLUE
5. 7 FOR YOU
6. SLIGHTLY DIRTY
7. JUST AN EXCUSE
8. TAKE ME DOWN
9. ROOM 335 (JAPAN BONUS TRACK)
“SAPPHIRE BLUE”-フルアルバム。ただし日本盤のみの「ROOM 335」除く。
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購入金額
2,520円
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購入日
2003年頃
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購入場所
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