先日同じiriver×finalのコラボイヤフォン、ICP-AT1000のレビューを掲載しましたが、こちらは同じコラボの上位モデルということになります。
実は個人的にfinalの比較的安価なイヤフォンというと、とにかく低域の量ばかりで質の良い音が出てこないという印象が強くあります。特にひどかったのがfinalの自社ブランド品であるAdagio IIIでした。
そこで今までよりは若干価格帯が上がるこの製品ではどうなるかという辺りが気になって買ってみました。finalは超高級機まで手がけるメーカーですから、さすがに上位まで質の低い音とというのは考えにくいと思う訳です。
パッケージの構造などはICP-AT1000とほぼ同じですが、ハウジングの構造などで明らかにクラスの違いがあることは見て取れます。
デザイン的には特に良いとは思いませんが、5千円以下クラスよりは高そうに見えるというところでしょうか。
初めて鑑賞に堪える音質
これまで使ったAdagio III、ICP-AT1000は、はっきり言ってしまえば音楽を楽しめる水準の音とは言い難いものでした。低音さえ出ていれば高音質という主義の人であれば高く評価するのでしょうが、個人的には低音が出すぎる音は気持ち悪いとしか感じませんので…。
標準添付のイヤーピースだと、低域方向の分厚さはいかにもfinalの音なのですが、今までとは違い他の帯域の音もきちんと耳に届きます。ICP-AT1000のイヤーピースと交換すると低域方向の分厚さが増しますので、このイヤーピースは比較的ニュートラルなバランスということなのかも知れません。
ただ少し気になるのが中高域に妙に硬さを感じさせるピークが出来ることです。手持ちのイヤーピースを色々試した結果、困ったときのSpinFitが最も聴きやすかったので、以降はこれを使っての試聴となります。
なお、今回は試聴用のプレイヤーは相性が良いと評判のSONY WALKMAN NW-A16だけに絞っています。
まず、私が試聴の際に最初に聴く「CHICAGO XXXIV "NOW" / CHICAGO」を聴くと、ホーンの音が痩せて安っぽく聞こえる辺りが気になります。やはり低域方向の妙な分厚さはあるのですが、辛うじて我慢出来る範囲というところでしょうか。
ヴォーカルの質感はまずまず良好ですし、今まで使った他のfinal製品と比べるとハイハットやスネアドラムの音も割合自然ですが、ホーンの音が気になってしまうとどうしてもシカゴの音楽はしっくりきません。
一方でLPから起こした「Change The World / Eric Clapton」などはなかなか良い雰囲気で鳴ります。ただ、これも良く聴くとアコースティックギターの弦のアタック感が弱いのが気になります。結構弦の音がきっちりと入った録音の筈なのですが、妙にソフトタッチな演奏に感じてしまうのです。また、ベースの音が妙に平坦であまり手で弾いているというイメージは出ません。ヴォーカルはなかなか味があるのですが…。
価格帯の割に「Vivaldi Vs. Vertigo / David Garrett」は良いバランスで鳴ってくれますが、さすがにヴァイオリンの質感がきちんと出るというところまではいきません。割合良く鳴っているという程度です。
購入価格を考えれば比較的良好な水準ではあるのですが、より高価格帯の製品と同列で比較出来るというところまでは達していません。5千円以下なら悪くはないという音です。
-
購入金額
3,500円
-
購入日
2016年06月07日
-
購入場所
フジヤAVIC
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。