GATEWAY SOLO 3400は2001年2月に発売されたサブノートと呼ばれたジャンルに属する12.1インチの液晶画面を装備したB5サイズの1スピンドルノートPCだ。
GATEWAYと言えば好事家の諸兄には改めて説明するまでもない、牛の柄をパッケージに用いたメーカーとして有名なPCメーカーである。
当時のPC関係の展示会等ではコンパニオンのお姉さんがカウガールの衣装に身を包み、およそPCメーカーとは思えない独特な色気を放っていた事を良く覚えている。
ここでひとつ言い訳というか、断り書きをしておきたいのだが、既に何度も自身のレビュー記事で書いている通り、筆者は筋金入りのAMD党員である訳だが、事ノートPCにおいては今も昔も選択肢の幅が極めて狭い。本当に狭い…なんとかして欲しいものだ…さておき、致し方なくの選択であった事を書き記しておく。
それはさておき、話を戻そう。
CPUがMobile PentiumIII-500MHz、チップセットは440ZXを採用する。メインメモリは標準で64MBのSDRAMをオンボードに搭載し、1基のSO-DIMMスロットを利用して最大384MBまで増設できる。筆者が本製品を入手した時点では、中古での入手だった事もあり256MBのSO-DIMMが装着された状態であった。
また、本製品は本体に光学ドライブを装備しない代わりに、標準で光学ドライブとFDDドライブ、各種インターフェイスが装備されたドッキングステーションが付属する。
明確にモバイルでの運用を前提として考えられた製品であると言える。
ストレージは10GBの2.5インチHDDが搭載され、OSは標準ではWindows MeとされているがカスタマイズによってWindows2000も選択出来、筆者の個体にはWindows2000がインストールされていた。
パーティション分けはされておらずCドライブ1つのみであるが、流石に10GBの容量は心許ない。今時の動画データなどを運用しようと思えば残り容量はあっという間に溶けてしまうだろう。
外付けドライブを利用したり、USBメモリを併用するなどしてやる必要がある。
もはや説明不要と言って良いレベルで悪い子扱いをされるMeではなく、2000が選択されているあたり、前オーナーはきちんとした情報を得ていた方なのであろう、その判断は正しかったと声を大にして言いたいと思う。
2000年代と言えば個人向けにもxDSLをはじめとした広帯域通信が普及しつつある時期であったが、今(2016年3月現在)ほどの通信帯域を必要とするコンテンツはそれほど多くなく、ネットの閲覧、テキストの作成、Office系アプリケーションによる書類の作成などはまずまずの快適度で作業をする事が出来た。
この時期のノートPCとしてもハードウェア構成はやや控えめな構成であると言えるが、特筆すべきはこの時期の製品としては極めて薄く、軽いと言う事である。
液晶面を閉じた状態でおよそ20mm、この薄さはキーボードのストロークに影響を与えており、ペタペタしたキータッチになってしまっているのだが、この薄さが実現されているという事実はこの欠点を覆い隠すのに十分である。
そしてドッキングステーションを含まない本体のみの重量はおよそ1.4kgとこれもまたこの時期のノートPCとしては極めて軽い部類に入る。
バッテリは本体に合わせた小型のもので、満充電状態で使用可能時間は59分。本格的に外出先で使用する目的であれば予備のバッテリ、AC電源アダプタを持ち運ぶ必要があった。
このACアダプタは本体用コネクタケーブルをアダプタに巻き付けておく事が出来るデザインとなっており、楕円形のデザインはスマートであったが、家庭用コンセント接続端子がいわゆるミッキープラグになっておりコンセント側ケーブルが大きくかさばるのが難点であった。
このPCは独立した機能として、本体に別途用意されたフラッシュメモリに音楽ファイルを保存しておく事が出来、PCの電源を切った状態でもフラッシュメモリに保存された音楽データを聴く事が出来る。
持ち歩く事を前提に可搬性を重視し、独立機能の工夫も相まって、これなら外に持ち出して使っても良いなと思わせるにふさわしいPCとなっている。
こうした可搬性に対する追求は現時点においても各社が創意工夫を懲らして追い求めているが、本製品は国内メーカーが得意としている薄型、軽量の分野を海外メーカー製PCとして積極的に狙ったものであり、筆者をはじめとしたユーザーに当時大きな衝撃を持って迎えられた。
残念ながらGATEWAYはその後日本市場から撤退し、再上陸を果たしたもののトレードマークであった牛柄のパッケージは採用されなくなってしまった。
願わくば、カウガール衣装に身を包んだコンパニオンが誇らしげに製品を掲げるあの姿をもう一度見たいものである。
海外メーカー製とは思えないスマートさ
シルバーを基調とした本体に控えめな装飾、ともすればゴツい印象が先行する海外製品とは思えない。登場時期を考えても洗練されたものであったように思う。
可搬性とオリジナリティを両立
可搬性を最重要視しスペックを絞り込み、独立した機能を持たせる事で差別化を図っている。
これならば本当に外でも使えるのではと初めて思えた製品であった。
所有欲を満たすツボを的確についた一台
飛び抜けた性能があるわけではないが、差別化要素、デザインなど、製品を所有する喜びを得られる一台。今となっては外出のお供に出来るPCは珍しくないが、10年以上前にPCを持ち出す事の面白さを体験できる要素を詰め込んだ製品として満足度は極めて高い。
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購入金額
0円
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購入日
2002年04月17日
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購入場所
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