2980円(税別)という日替わり特価販売されていたAntec製の簡易水冷。この値段は特価品の為で発売当初は8000円程度と12cmファン単発&通常サイズラジエータモデルとしては少し高めだった製品。終息品扱いとなり在庫処分となったらしく、日替わり特価でなくとも比較的廉価に入手可能。
付属品は取り付け金具一式に12cmファンサイズのシュラウド。ネジはそのシュラウドか追加ファンを装着するときに使う長ネジと使わない場合の短ネジが両方付属。ソケット対応はLGA2011含め現行品は一通り対応している。
先に結論を言っておけば物理干渉等を許せれば一般的な他社製簡易水冷と似たような性能を発揮してくれるので、今の値段ならかなりお得感のあるクーラー。
ちなみに当初販売されていてサイト等で紹介されているものと今回購入したものでは見た目に変更点がある。
http://www.links.co.jp/item/kuhler-h2o-650/
「2014年9月末出荷分より順次、ファンの枚数(7枚から11枚)とシュラウド加工の仕様変更となります。」
となっており、確かに現品は11枚モデル。ただこの1文にはないあからさまな変更点がもう1つ。ホースの取り回しが変わっている。初期型ではラジエータ上部から2本のホースが出ていたのだが、現品では水冷ヘッドからのホースが1本ポンプを経由してラジエータ下部へ接続されるカタチに変化している。
いつ変わったのかは知らないが、この変更でラジエータ上部のホース接続部が無くなり、若干見た目はおとなしくなり、恐らくラジエータの寸法も若干小さくなっているので物理干渉に関しては扱いやすくなっているかもしれない。
この変更が2014年9月のファン変更と同時なのかは不明だが、2015年2月現在既に終息品扱いになっている辺り妙に短命だ。そのわりに箱の画像はしっかり現在のものに差し替えられている。
他の簡易水冷には無い独特な雰囲気
なんといっても特徴は水冷ヘッドではなくラジエータユニット側にポンプを位置させた点が特徴的。これにより一般的な簡易水冷よりホースが多く、ラジエータ側は迫力のある雰囲気になっている。初期型は更にホースが多くてマッシブな雰囲気だったが、今回は左右非対称の取り回しの3本というのもそれはそれでメカメカしくて好き。
ファンは結構な部分が剥き出しになっているので巻き込み等に注意。もちろんファン交換は不可。
但し反対側に一般的な12cmファンを搭載する事が可能なので冷却力の強化や光物分追加は可能だ。
逆にヘッド部は非常に薄い。ヘッド側には温度によって色が変化するLEDを搭載しておりこちらは光物分も完備。上位モデルだとLEDカラーを調節できたりできるらしいがこちらは勝手に温度可変するだけ。ホースは柔らかいゴム製で、以前使用したCORSAIR製の樹脂チューブより取り回しはしやすい。
黒で統一された本体に白いファンブレードとLED内蔵の水冷ヘッドがいいアクセントになり、内部が見えるケースに搭載してもビジュアルは良好だ。似たり寄ったりのデザインが多い簡易水冷の中ではこの特殊ポンプ配置が存在感を出している。
まあ個性的なデザイン以外でこの特殊配置ポンプのメリット思いつかないんですけどね。ポンプ内蔵型の水冷ヘッドも十分薄くて小さいし、ホースが出るから極端に薄いヘッドもスペース面でのメリットは少ないし、そのせいでラジエーターの前後がでっかくなってるし、ポンプがケースの排気部に近いから音や振動伝わり易そうだし。
パッケージには大型のポンプが使用できるとあるので実際ポンプが大きいのだろう。
取り付けは意外と手間取る
予想した通りラジエータ部にポンプがあるので、他の簡易水冷よりラジエーターの奥行や前後、ホース干渉がシビア。ホースがゴム製で柔らかいのが救いだが。一方水冷ヘッド側の薄さは取り付け面では特にメリットにならない。
ヘッド側はすんなりつくだろうと思ったら予想外に苦労するはめに。
まず付属のAMD・Intel共用のマウントリング。一つで両方に対応させるのはいいのだが、位置調節しても取り付け作業中にズレる。
そして個体差もありそうだが、LGA2011用の固定ネジにあるバネがすんげえ固い。なんかもうマザー壊さないか心配になるくらい固い。固いせいで力を入れるとマウントリングがAMD側に位置ズレして、一度外してもう一度しめなおすのループ。
【追記】後から気づいたのだが、位置固定用ゴムをしっかりはめていなかったのかゴムが脱落していたことが判明。しっかりはめていれば取り付け中に位置がずれるのは無さそうです。
バネが慣れてきたのか3度目でやっとついた。その間に何度かヘッドをあてがいなおしたのでせっかく塗ってあったグリスがCPUとヘッドでグチャグチャになったがもう面倒なのでそのままいく。
ここまでテンションかける必要あるんだろうか。ここまでクーラーの取り付けで力使ったの何年ぶりだろう。
なおこの後LGA1150(バックパネル使用)への取り付けも試したが…もっと手間取る。バネの硬さは少しマシだったのだが、受け手側の金具が落ちまくる。結局マスキングテープで金具を止めて作業するハメに。
で、ラジエータ側。ケースとの相性が悪くネジが届かない。特に直付タイプのネジがシビアで早々にサンドイッチ装着に変更したがそれでも全然届かないのだ。
今回使用したのはLianLi製のケースで、標準状態でファンガード・防振ゴムを挟んだ上で背面ファンを固定するタイプ。最初ファンガードを外したがそれでも届かない。だからといってゴムを外すとネジ穴自体が大きくなってしまい装着できなくなる。
結局ゴムを外した状態で、ファンガードを無理やり抑え込むというカタチになってしまった。ゴムがないのでポンプやファンの振動が思いっきり背面にきてれぅ。
そしてネジの頭が小さいのでファンガードも固定しきってない感が。ただでさえファンより重たいラジエータにポンプが付属しているのでネジの頭が小さいのはちょっと怖い。ワッシャーとか挟みたいがそしたらネジが届かない。
まあ形になったからよしとしよう。今度なんかあうネジ探してきます。
CORSAIRの簡易水冷はラジエータ固定ネジが大きくしっかりしたものだったのだが、そのせいでAntecのP183ではネジの皿がサイドパネルの折り返しに干渉して装着不能という相性があった。さすがに自社製ケースで相性を出すわけにいかないので恐らくネジの頭が小さいものを付属したのだろう。
と、ケースとの相性も大きいが、予想以上に取り付けには苦労させられた。
オートコントロールをメリットと見るかデメリットと見るか
ポンプもファンもまとめて小3pinで給電する。また完全に水冷ユニット側でファンをコントロールするようにできているので、マザーのCPUファンに接続する場合は事前にファンコントロールを切っておかないと出力不足になってしまう点に注意(マニュアルにも表記してあるが小さい)。
その点にさえ気をつければ配線は1本ですむし余計な操作はしないですむ。低温状態なら700rpm程度とかなりファン回転数は低くなる。耳を近づけるとポンプの音すらわかる程度だ。
今のところ冬場かつ使用しているのが低クロックのXeon E5-2620なので回転数変化やLEDの変化は未確認。サンドイッチファンにしたせいもあるか、アイドル24度、ゲームをしても30度程度だ(元々負荷時発熱が小さいCPUなので、大型空冷と大差ない)。というわけで負荷時の騒音は未知数。
以前CORSAIRのCWCH60を同じCPUに使った事があるが、やはり過剰冷却だったくらいなので。
完全に水冷ユニット側で制御してしまうので意図的に回転数を上げたり下げたりできないのが環境によってはデメリットになってしまう。まあ自分の使用方法ではファン交換不能な点もあわせて、このオートコントロールに特に問題は起きていないので、あとはどれくらいの耐久性があるかどうかだ。
今回のような特価なら圧倒的なコストパフォーマンスでデメリットを無視できる。
ただ通常の価格の場合、特異レイアウトによる物理干渉とフルオートコントロールは好みが判れるので、同じ値段で別の一般的な簡易水冷が手に入るなら、あえてこれを選ぶ必要はないかなというのが正直な感想。
あとこのクラスの簡易水冷全般に言える事だが、大型空冷クーラーでも似たような冷却力や静音性を実現できるものは多く、ラジエータが収まるケースなら大抵大型空冷も入るのでライバルは更に増える。
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購入金額
3,218円
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購入日
2015年02月01日
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購入場所
TSUKUMO
パッチコさん
2015/02/05
でも、めちゃ安です!
ryo157さん
2015/02/05
退会したユーザーさん
2015/02/05
下小川さん
2015/02/05
そうなんですよ、ファンの向きも変えられないんですよね。自分もCWCH60は吸気で設置してて、そのスペアにはできないしどうするかなーと思ったんですが、値段につられて…LGA2011用のクーラーが不足していたので、安い空冷買うくらいならこっちのが面白いかな的ノリですw
harmankardonさん
2015/02/05
バックプレートを使用する場合には,さらにバックプレートを固定する手が必要なので,さらに大変でした.
下小川さん
2015/02/05
2011はまだガッチリ純正マウンタがあるのでラクなんだとおもいますが、バネが硬くて全然マウンタまで届かないんですよね…危うくドライバーでマザーぶっ壊すとこでした。
Antecのケースはツールレスとかよくできてるだけにラジエータはともかくヘッドに手間取るのは予想外でした…