MSI A88X-G45 GAMING はMSI COMPUTERが2014年3月に発売したA88Xチップセットを搭載したソケットFM2/FM2+に対応した同社GAMINGシリーズに属するマザーボードだ。
ハイエンドに属するソケットAM3の刷新が行われていない現状、AMDプラットフォームの最新テクノロジを楽しむ事が出来る選択肢の一つで、MSIが展開するGAMINGシリーズに特有の機能である、広帯域を有するQualcomm Atheros Killer E2205、基板上に独立した高音質音楽回路Audio Boost、このところ注目されるUSBDACの安定動作を可能にする電源出力安定化ポートUSB Audio Power、ゲーミングデバイスの実力をいかんなく発揮させるゲーミングデバイスポート、などなどの装備を有している。
MSIが独自に規定する軍事規格準拠ミリタリークラス4コンポーネントで固められた実装部品は固体電解コンデンサをはじめとした高品質部品で構成され、CPU周り、チップセットには意匠にも気を遣う同社らしくGAMINGシリーズに共通の龍をモチーフにしたヒートシンクで冷却にもぬかりが無い。
基板上にはゲーミングユースやオーバークロックユースにとってありがたい各種調整用機能を装備、電源ボタン、リセットボタンはもちろん、プリセットされたオーバークロック状態を2段階で切り替えられるスイッチ、初期起動状況を知らせるLED、CMOSクリアボタンなどを備えている。
バラック状態で各種の機能で遊ぶも良し、ケースに収めて重装備のゲーミング環境を構築するも良しの豪華な作りとなっている。
筆者は長らく使い込んできた環境から新規に環境を作り直すに当たり基幹部品として本マザーを選択した。
理由は、メインPCには仕事もこなせて、遊びにも問題なく仕えるオールラウンドな機体が理想だと考えているからだ。
本レビューでは、筆者が考えるメインPCを組むに当たり、重要だと考えている事をどのようにクリアしたか、構築上つまづいた事などを書きたい。
Intel環境に関する情報は多くの方が書かれているが、AMD環境に関する情報は少ないので、自身の備忘録として、同様の構成を考えておられる方へのヒントとなればと考えている。
読者諸氏には以上の事を踏まえて読み進めていただければ幸いだ。
■RAID設定、ノーヒントなのは相変わらず
現在のPCにおいて、一番のボトルネックになっているのはHDDの転送速度の遅さだろう。
HDDは大容量化は進んでいるが高速化については劇的な進化はしていない。
これを解決する手段として近年浸透しているのはSSDの導入だ、SSDはHDDと比べた時に容量単価の点で劣るが、ストレージとしての性能はHDDよりも格段に早い。
これをRAID0設定として使い更なる高速化を図り、HDDは大容量を生かしてデータを保存する領域として使用する事で速度と容量の両立を図る事とした。
そのRAID設定であるが、基本的にノーヒントなのは一昔前から変わっていない。
ここ数年で使用する人は増えたと考えられるが、それでも一般的とは言いがたく、様々なメーカーが用いる用語が統一されていない状態もあって、お世辞にもわかりやすいとは言えない状況になっている。
ここではwindows8.1をRAID0設定でUEFIインストールする場合について書いていく。
既に構築済みの環境から画面を呼び出しているため、クリーンインストールの状態とは違う状態である事を明記しておく。
説明に関しても既に構築済みの筆者のメインPCの環境から行う為、順序の前後はあると思うが、気をつけるべきポイントは押さえてあるはずだ。
まず最初にした事は、RAIDボリュームの作成だ。
Ctrl + RキーでRAIDBIOS画面に入る。スクリーンショットは既に構築済みの状態。
Initialize Disk(s)でRAIDに設定するディスクをそれぞれ初期化 → Create Array(s)で初期化済みのディスクをRAID0ボリュームとして設定する。
当たり前の様に全てが英語なので、初心者にはかなりのハードルであろうと思われるが、ここで使われる単語の多くはネットを介して調べる事が容易な単語ばかりなので、セットアップするPC以外に稼働する別PCがあれば便利だ。
次にマザーのBIOSセッティングを行う。
本マザーのBIOS画面(MSI Click BIOS4)、SETTINGから基本的な設定を行う。 所謂UEFI BIOSであるので、キーボードでの操作以外にもマウスでの操作も可能だ。
主に設定する上で変更する項目は「Advanced」→「Integrated Peripherals」「Windows 8/8.1 Configurations」、「Boot」の中の各項目だ。
「Integrated Peripherals」の項目、SATA Configurationを変更する。
SATA Modeを[RAID Mode]に「Board SATA RAID ROM」を[UEFI]に設定する。
ここで「Board SATA RAID ROM」を[UEFI]に設定すると、再起動した時にRAIDBIOSが表示されなくなるが、前もってドライブの初期化とRAIDボリュームの構築が終わっていればUEFI BIOSからは正常に認識される。
初見時には表示されなくなった事でびっくりしたが、Windows8/8.1がインストールされ、高速ブートが機能すると、ここでRAID BIOSが表示されないことが大幅に起動時間短縮につながる。
これ以降の他の項目でも同様なのだが、UEFIとしてハードウェアが認識されると、一部の項目が「消える(見えなくなる)」ないしはグレーアウトして「変更できなくなる」ので注意されたい。
この動作は本マザーに限った事で、その他のマザーでは挙動が異なる可能性があるが応用が利くと思われるので明記しておく。
「Windows 8/8.1 Configuration」の項目、ここを設定することでUEFI BIOSの利点であるWindows8/8.1の高速起動が有効になる。
この項目は便宜上ここに表記しているが、Windows8ないしは8.1のインストールが正常に完了し、動作を確認してから変更する様にすると良いだろう。
「Boot」の項目、この項目が筆者が設定する上で一番混乱した(詳細は後述する)ここでの設定は一度設定後、リセットをしてからでないと画面上で反映されないのだ。
ここでBoot mode selectをUEFIに設定する。
この時先の「Windows 8/8.1 Configuration」の「Windows 8/8.1 Feature」が[Enable]になっているとBoot mode selectが[UEFI]で固定されグレーアウトしてしまう。
クリーンインストールの時、「Boot mode select」を[UEFI]に変更すると対応したハードウェアがUEFIの環境下に置かれるのだが、設定を保存し再起動をかけるまでこの項目内はドライブを認識した状態にならない。
よくよく考えればわかる事柄ではあるのだが、変更した設定を確認する為に再起動が必要な状況は極めてわかりにくい。
UEFI BIOSになり見た目や操作性は改善されたのだから、次はユーザビリティの向上を期待したい所だ。
この「設定を変更し保存後 → 再起動」でないと設定が反映されない。
に気付くまで、光学ドライブをUEFI認識させられずWindows8をUEFIインストール出来ずに数回リトライを繰り返す事になった。
筆者の環境では「Windows 8/8.1 Feature」が[Disable]、「Fast Boot」が[Disable]の状態で光学ドライブにWindows8のインストールディスクを入れた状態で起動し、BIOSの「Boot」から光学ドライブがUEFI認識されている事を確認して、インストーラーを起動させた(光学ドライブからの起動)。
この後はスムーズにインストール作業を進める事が出来た訳だが、何にしてもヒントとなる情報が少なく、難儀した事には違いが無い。
高速起動やRAID0での運用は快適性を高める上で大変有用なのだが、そこにたどり着く為には超えなければならないハードルが多く、そして高い。
こうした問題は解決に際して多大な労力を要すると思われるが、自作PCをより多くのユーザーに受け入れてもらい、盛り上げていく為にも是非ともクリアしていただきたい問題でもある。
こうして構築したRAID0環境はすこぶる快適であり、OSの起動、終了、アプリケーションの起動、終了もきびきびとしている。苦労した甲斐もあろうというものだ。
■OCも手軽に
本マザーには物理的なスイッチによるオーバークロック(OC Genue)があるが、BIOSからもOCを施す事が出来る。
筆者の環境ではマザーにプリセットされているGear1、Gear2共にあっさりとOCに成功し、Windows8.1も問題なく動作した。
ちなみにGear2によるOCでは4.7GHzまでのオーバークロックが可能であったが、この時のマザーボードの温度は、BIOS読みで42℃前後であった。
さらに細かく項目を煮詰めるOCも出来るので、上級者のオーバークロックにも耐えうるだろう。
この部分は一般的な使用よりもマニアックな部分であるので、設定の難しさ、煩雑さ等は理解した上で(もちろんOCに伴うリスクも理解した上で)手を出すべきだろう。
定格運用とはまた違った、自作PCならではの楽しみでもあるので、自己責任の範囲で楽しんでもらいたい。
■全部入りの欲張り環境
RAID設定時の注意点を軸に本マザーを語ってきたが、設定時の説明不足や情報不足、UEFI BIOSに変更された事によるUIの変更、配慮不足など改善すべき点は多い。
だが、そのハードルを越えて正しく設定され、動作する状況を作り出せれば、それまでに得られなかった快適さを得る事が出来る。
この快適さは一度使うと元に戻す事が困難なほどのものだ。
かくして筆者は無事環境のリプレースを完了し、本マザーを中心に全部入りの環境を構築している。
Skypeやネットブラウズといった日常的な作業にも、仕事でPhotoShopを使い、休憩時にはBDを閲覧したり、Steam経由でPCゲームを遊ぶといった使い方にも問題なく使用できている。
今後の拡張も含め全ての中心になれるポテンシャルを持った本製品は、AMD製品ユーザーに是非一度所有してもらいたい一枚である。
およそ必要な物は全て揃っている
SATA Express やM.2スロットなど、一部のストレージインターフェイスを除けば全部入りと言って良い。
オンボード実装された各種ボタン、ステータスLED、SATAインターフェイスなど、ケーブルの取り回しも考えられて配置されている。
ソケットFM2/FM2+のマザーでは高レベルにまとめられた一枚だと言えよう。
値段以上の価値あり
AMDプラットフォームの中では、価格的に見てやや高いと言える。
だが、品質の高い実装部品や、細部まで作り込まれた配置は使うほどに良さが際立つ。
OCも視野に入れた設計であるため、定格で動作させる場合は相当なマージンを持っているとみられ、長期安定稼働にも心配は無い。
コストパフォーマンス面でも優れていると言えるだろう。
BIOSには癖ありだが、それ以上に快適
BIOS項目のまとめ方、項目をまたいで変更結果が適応されるなど、主にソフトウェア的な部分で癖がある。
だがハードウェアに関しては隙が無く、飼い慣らしてしまえば強力な相棒となってくれるだろう事は想像に難くない。
是非ともこの癖を克服して、このマザーが持つ機能を存分に楽しんでもらいたいと思う。
-
購入金額
14,000円
-
購入日
2014年10月28日
-
購入場所
ツクモパソコン本店
温泉屋さん
2018/01/09
海外のサイトをいくつか回ってレガシーのRAIDシステムを呼び出し2つのディスクをRSID0にcreate array する所までは行き着いているのですが、
ブートモードはUEFI+レガシー
Windows 8/8.1 Featureは無効
SATAモードはRAID MODEのレガシーROM
の状態でWindowsのDVDから起動してインストールする所で起動したDVDドライブを認識しない所でつまずいています。
HP主様は参考にされたサイトなどはございますでしょうか?