これはテキサスインスツルメンツ(バーブラウン)の2回路入り高精度オペアンプです。1回路入りのOPA277、4回路入りのOPA4277もあります。メーカーによれば、他に国防・航空宇宙・医療グレードのOPA2277-EPもあるそうです。
高精度オペアンプとは一般的にバイアス電流やオフセットドリフトなどが少ないなどの特徴を持ったオペアンプのことをいいます。OPA2277の場合は、一般的に高精度オペアンプとして各社で作られたOP-07(これは1回路品ですが)を置き換え可能であることを謳っています。
なお、この石は電子工作で扱いやすいDIPパッケージですが、他に量産で使いやすい表面実装のSOICパッケージもあります。
おとなしめでクリアな音質
OPA2134と比べるとややまったりしていながら、クリアな音質です。LME49720HAと似た傾向に聞こえますが、OPA2277のほうが高域の見通しにやや劣るようです。
スルーレートがNJM4558よりも遅く(それでもOP-07よりは速いのですが)、過渡応答では波形が鈍って見えます。おとなしめの音質に聞こえるのはこれが大きいのかもしれません。
過渡応答(A=11 Vin=200mVp-p f=100kHz Rfb=10kΩ 位相補償なし 10:1プローブのみ接続 ガラエポユニバーサル基板)
過渡応答(A=11 Vin=200mVp-p f=20kHz Rfb=10kΩ 位相補償なし 10:1プローブのみ接続 ガラエポユニバーサル基板)
(12/30追記)15Ω負荷(セメント抵抗)時の過渡波形を以下に掲載します。
過渡応答(A=1 Vin=200mVp-p f=100kHz Rfb=0 位相補償なし Rl=15Ω ガラエポユニバーサル基板)
これをポタアンに使うのもありかと
DIPの2回路入りなのでアンプの自作でユニバーサル基板に実装する場合にも使いやすく、他の2回路入りオペアンプとピン互換なのでそのまま挿し替えたりできます。
出力電流は公称35mAあります。32Ω負荷なら計算上1.12Vまでは出せるのでcMoyのような直接イヤホンを駆動する使い方をしてもおそらく大丈夫でしょう。
電源は±2V~±18Vまで対応しています。グラフによれば、±3V(電池2+2本)で使うとして32Ω負荷で200mV程度であれば大丈夫そうです。
充分選択肢に入る
高域の見通しがイマイチであることを踏まえると、コストパフォーマンスはそれほど高いとはいえないかもしれません。電池駆動のポタアンに使うなら、OPA2350やAD8656などがおすすめですが、OPA2277もまだクリアな音質なので充分選択肢に入ります。
全く発熱なし
24V駆動のcMoy回路では、外気温30.1℃に対してパッケージの表面温度が31.3℃までしか上昇しません。バイポーラICでありながら消費電力が少ないようです(自己消費電流(quiescent current)から計算すると30V時49.5mWです。ちなみにOPA2134は300mW、THS4631だと2個で690mW)。
ほぼ聞こえない
AD00031の場合、アンプ妨害の音が聞こえるには聞こえますが、AD00031のシャーシを開けた上で手帳型ケース越しにiPhone 5cを密着させた時に小さく聞こえる程度です。
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購入金額
570円
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購入日
2016年07月08日
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購入場所
シリコンハウス共立
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