今年1月に肝細胞癌により62歳で死去した、TOTO等で活躍したヴォーカリスト、ファーギー・フレデリクセンが昨年発表したソロアルバムです。
発売元は伊FROTIER RECORDSであり、このレーベルにありがちなメロディック・ロック系のアルバムとなっていますが、比較的メロディーをきちんと活かした、手堅い曲でまとめられた作品です。
実は本作の発表と前後して、かつて在籍したTOTOのスティーブ・ルカサーなどがネット上でファーギーのための寄付を呼びかけるなどしていました。本作制作時点で、既にある程度病状は悪化していたのかもしれません。本作収録曲の「Last Battle Of My War」のPVがYouTube上にありますが、やはり随分やつれているように見えますからね。
TOTOではアルバム「ISOLATION」一作のみの参加となってしまいましたが、彼はハードロック系の楽曲では申し分ない実力なのですが、柔軟性に欠けカバー出来るジャンルが狭いという点が問題視されたといわれています。
私が彼の生歌を聴いた唯一の機会であった一昨年の「Voice of AOR」では、TOTOで彼自身が歌っていた楽曲以外に、元シカゴのビル・チャンプリンと「Hard Habit To Break（邦題は「忘れ得ぬ君に」、Chicago 17に収録されたヒット曲）」をデュエットするという場面がありましたが、確かにバラード系の歌をじっくり聴かせるのは苦手なのかな、と感じたものです。
しかし、ハード系の楽曲でメタリックなハイトーンヴォイスを活かして歌い上げたときの格好良さは格別であり、前述の「Voice of AOR」でも「ISOLATION」収録曲である「CARMEN」（高音部のキーが凄まじく高い楽曲）をオリジナルキーのまま完全に歌いきってみせ、会場からは驚きのような反応すら上がったほどです。
長くなりましたが、ここで本作の収録曲です。
1. Last Battle Of My War
2. Let Go
3. Price For Loving You
4. I'll Be The One
5. Time Will Change
6. How Many Roads
7. Candles In The Dark
8. Any Given Moment
9. Not Alone (Feat. Issa)
10. When The Battle Is Over
11. Angel Don't Cry (ToTo cover)
12. How Many Roads(acoustic version)
12曲目となっている「How Many Roads」のアコースティックバージョンは日本盤向けのボーナストラックですが、これが素晴らしいパフォーマンスとなっています。原盤では「ISOLATION」の収録曲である「Angel Don't Cry」のリメイクが最終トラックとなっているのですが、これでアルバムが終わるのと、「How Many Roads」で終わるのとではアルバムの余韻がまるで変わってきます。
私は発売直後ではなくファーギーの死後にこの作品を手にしていますので、「Last Battle Of My War」「Any Given Moment」というタイトルやその詞を見ると何ともいえないものがあります。発表時点ではあまり気付かれていなかったようですが、これらの楽曲は彼自身の覚悟を表明するものだったとしか思えないのです。「When The Battle Is Over」は明らかに「Last Battle Of My War」の対となる楽曲であり、その内容はまさにささやかな希望だったのでしょう。
本作で最も話題を呼んだのはTOTO時代の「Angel Don't Cry」のリメイクでしたが、ここでも原曲のキーのまま歌いきっている辺りはさすがです。
先の述べた通り、本作は傾向としてはメロディック・ロックとなっていて、その点で好き嫌いは分かれるかもしれません。しかし、「ISOLATION」時代のTOTOが好きな方や、80年代のFOREIGNER辺りが好きな方であれば抵抗なく受け容れられるサウンドではないかと思います。なにより聴いているだけで並々ならぬ気合いが伝わってくる、まさに「渾身の一作」です。
ジャケット裏にはメッセージが
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購入金額
2,314円
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購入日
2014年11月13日
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購入場所
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