この製品の最大の特徴は、ハーフ中心部が球状に膨らむ「SUONO フォーマット」の採用でした。これは著名工業デザイナーのG・ジウジアーロ氏の手によるもので、コロシアムからヒントを得てデザインしたものとされています。SUONOではハーフ自体の素材もAVPRと呼ばれる特殊複合素材を使っていましたが、下位のCD-xSシリーズでは通常素材でSUONOフォーマットを用いたハーフを採用していました。
当時の他社製高級製品であったTDK MA-XGやSONY MetalMasterは、磁気テープ部自体は下位のMA-XやMetal-ESと同一のもので、ハーフなどによって差別化していたのですが、このSUONOでは磁気テープ部も新たに専用設計されたものとなっていました。
それに加えハブの真円度を高めたり、バインダーを見直すことで平滑化・高密度化を達成したほか、磁性体自体も大きさの均一化と粒子方向の統一化を達成した「ナノ・ダイナミック・タクトイド」を採用していて、出力特性も含めて素晴らしい完成度を誇っていました。
ただ、これだけこだわり抜いた設計であるが故に利用環境を選ぶ製品でもありました。まず、「SUONOフォーマット」であったことの弊害ですが、フロントローディング形式のデッキ(カーオーディオなど)では、正常にイジェクト出来ないという事例が多発し、後にSUONOフォーマットの製品のパッケージにはその旨の注意書きが記載されるようになりました。
また、SUONOはテープの巻き上げトルクが強いデッキでの利用を想定していたため、安価なオートリバース機などではテープエンドに到達する前にリバース動作をしてしまうなどということもあったようです。
音質自体は当時のトップレベルの水準であったことは間違いありません。個人的な感覚では密度感などでTDK MA-XG Fermo辺りには僅かに及ばないかと思っているのですが、それに次ぐ水準の音質ではあったと思います。
なお、写真は一時期格安で販売されていた並行輸入品となっています。パッケージの記載が日本語でないほか、使いこなしのワンポイントアドバイスが書かれた紙が同封されていない辺りに差がありますが、中身のカセットテープに特に違いはありません。
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購入金額
180円
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購入日
不明
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購入場所
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