高級カセットテープは磁気テープの磁性体だけでは無く、ハーフなどのあらゆる構造体にこだわりを見せたものが多かったのですが、この製品もその流れで作られています。
まずハーフの素材は基本的に柔らかめのものですが、中央部に金属製のプレートが使われていて、この硬軟の組み合わせにより振動を効率的に吸収するという理屈だったように思います。
ベースフィルムやハブの平滑度までに気を配ったことに加え、カセットテープとしては極めて珍しいバックコート(ベースフィルムの裏面に滑り止めのコーティングを塗布すること。回転ヘッドで利用するビデオテープ等ではよく用いられる)を採用することで、徹底して走行安定性にもこだわっていました。
また所有欲を刺激する仕掛けとして、ハーフ中央部の金属プレートにはシリアルナンバーが刻印されていました。ここまでの徹底ぶりは他社製の同クラス製品にも見られなかったものです。
演出もこだわり抜かれたものでしたが、音質の方もさすがに最高級クラスというべきものでした。音の密度はカセットテープということを忘れさせるものでしたし、カセットではなかなか難しい透明感も素晴らしい水準を保っていました。
私は最初に買ったMetal Vertexに、ピアノ・ソロのアルバム「SUMMER / George Winston」を録ったのですが、EXCELIA (AIWA) XK-009との組み合わせでは素晴らしく澄み切った音になってくれました。
カセットテープはその構造上回転ムラがあるため、ピアノ・ソロの楽曲を苦手とすることが多いのですが、この組み合わせではそんなことは全く感じられない素晴らしい音になってくれます。
今では最高級クラスのカセットテープはほぼ入手不能となってしまいましたが、カセットの音を味わうためには、このMetal VertexやTDK MA-XG Fermoなどは、1本は持っておきたい逸品です。
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購入金額
0円
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購入日
不明
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購入場所
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