COUGAR HEC-GX-S 600は、hec社製COUGARブランドに属し、2012年12月に発売された高効率認証80PLUS GOLDを取得したATX電源だ。

ラインナップは400W、500W、600Wの三種類で展開されているが、国内販売されているものは500W、600Wの2種のみの様である。

80PLUS認証と言えば近年のPC用電源のトレンドとして定着した感があるが、80PLUS GOLDを取得しつつ独自の機能を備えてお手頃な価格帯に投入された製品は少ない。

筆者は本製品を6000円前後で入手したと記憶しているが、この価格帯で600Wの出力を持ちつつ独自の機能で武装した製品は購入当時見当たらなかったと記憶している。

本製品の概要に触れておこう、最大出力は600W、12Vのラインを2系統持ちそれぞれ36Aの容量を確保している。また、過電圧保護（OVP）、過電力保護（OPP）、短絡保護（SCP）、過電流保護（OCP）、低電圧保護（UVP）の各種保護回路を装備する。

本製品に使用されるコンデンサは全て日本製105℃の電解コンデンサとされ、安定性、信頼性を確保。独自に開発された「COUGAR VORTEX FAN」を装備し、低回転ながら渦を発生させる事により風量を最適化し冷却性能と静音性を両立させたとしている。

各コネクタは全て本体に直付けされている、フルモジュラーやハーフモジュラー式で無いのは配線の整理に不利だが本製品の価格を考えると妥当なところだろう。

用意されるコネクタは、SATAが3系統6口、ATAHDDが2系統3口、FDDが1系統1口、PCI-Eが1系統2口(6pin+2Pin)、メイン電源、補助電源(4Pin+4Pin)となっており、ケーブル長も余裕を持った長さがあるので余程の大型ケースでなければ問題無く配線する事ができる。

筆者はFractal DesignのDefine R4に本製品を使用したが、裏面配線も問題無く行えた。これより大型のケースになるとマザーの補助電源コネクタの位置によってはケーブル長が足りなくなる可能性がある。

実際の使用感だが、使用時の騒音はほぼ無く、ケースに収めてしまえば気になる事は無いだろう。

ハイエンドビデオカードの二枚刺し運用でもなければ電源容量的にも全く不安は無く、ごくごく一般的なミドルレンジの範囲までならばHDD等の拡張も含め余裕を持ってまかなってくれる。

IntelのHaswell世代から導入された低電力時の出力0.5W出力維持にも対応している為、現行の最新世代製品とも問題無く組み合わせて使用する事が可能だ。

以上の様に、本製品は価格を抑えながらも独自設計のファンを装備したり、各種保護回路を用意しつつ、高効率電源認証プログラムである所の、80PLUS GOLDという上位の認証を得ているというなかなかに他では見られない製品に仕上がっている。

残念なことに筆者が入手した製品はいわゆるハズレ個体を引き当ててしまった様で、購入から丁度一年ぐらいの時期に電源が入らなくなるというトラブルに見舞われたが、使用条件さえ満たしていれば3年のメーカー保証もあるため安心して使う事が出来るだろう。

筆者の個体は製品保証の3年間に余裕で収まっているため、現在は手元を離れているが、修理にせよ交換にせよ戻ってきた折には再びメインのPC電源として使用したいと考えている。

保証関連やその後の顛末などは、実際に製品が戻ってきてから時期を改めて追記していきたいと思う。