レビューメディア「ジグソー」

赤く染まった鮮やかな静音CPUクーラー

Designed in Europeの文字もまぶしいPHANTEKSブランドのCPUクーラー。
クーラー自体は12cmファンのサイドフローという定番スタイルで、中央で分割されているのも特徴だが、なんといっても目を引くのが赤いヒートシンク。


実はこのPH-TC12DXは4色展開されており、青・赤・白/銀・黒という4パターン。それぞれヒートシンクのカラーと付属ファンの色が異なる。


塗装やコーティングというより染め上げたような発色のヒートシンク。中から外まで隙無くムラ無く赤く美しい。今回黒は既に手持ちのXIGMATEK SD1283NHEDと被る、白・青は自分のケースに合わせ難いという理由で赤を選んだが、恐らくこれなら他のカラーの品質も期待できる。

XIGMATEK SD1283NHEDと並べると色だけでなくデザインの方向性も異なり面白い。

 


CPU密着面は綺麗な鏡面仕上げ。ヒートパイプもメッキ処理済みでやはり美しい。
最近はダイレクトヒートパイプの製品も多いが効果的には諸説あるので、どうせ性能が同じようなものだったらグリスを塗りやすい平面タイプのほうが個人的にはラク。
またマウンタとの固定に使うバネ付きネジが本体にくっついているのでしっかりしめられるし装着中の部品紛失の心配も少ない。

 


 同等クラス品となるENERMAX ETS-T40-VDとXIGMATEK SD1283NHEDはクーラーをマウンタに抑えるための部品をよくマザーボードに落っことしていたのでこれは何気にありがたい。


 ファンは残念ながら光らないが、専用品だけあって色とデザインはピッタリ。ケーブルはホワイトスリーブ。もちろんリブ無しなら汎用ファンへの換装が可能だが、あまりにこのファンの収まりがいいので光物大好きな私でさえコレは交換予定が無い。コイツはむしろLEDテープなんかで外から照らしてやるのがいい。


また最初からデュアルファン構成なのもありがたい。デザイン的にやはり両側にファンがあったほうがカッコイイし、もちろん性能も期待できる。


 付属品も多く芸が細かい。

最近はCPU用ファンコネクタを2つ備えたマザーも多くなってきているが、そうでないマザーのためにきっちり4pin対応の分岐ケーブル…やはり白いスリーブ版のものが付属している。


今回はLGA2011環境での使用なので使っていないがバックパネルはX字型かつ中央が浮く形状なので背面チップとの干渉も少なめだろう。そして接触面はしっかりゴム部品。

 

むしろ懲りすぎなんじゃねえかと思うのがファンの固定方法。


まずヒートシンクとの接触部には振動吸収の為のシリコンテープが付属。ヒートシンク側にペタっと貼り付ける。同じようなものはENERMAX ETS-T40-VDのクーラーにもあったがあちらは小さいものが4点、こちらは長いものが片側2本でもちろんファン2個分だ。


そしてファンの外側ネジ穴に専用の小さな部品を通し、そこにクリップを挟むという2段階。この専用部品とクリップを組み合わせるのはちょっと時間がかかるが一度つければクリップがファンから外れる事はまず無い。これによりゴム固定タイプ並の振動吸収とクリップ固定タイプのケース内での取り回しのしやすさを両立している。
XIGMATEK SD1283NHEDはゴム部品を直接クーラーに取り付けるタイプだったので、狭いケースだと取り付けに苦労したのだがこれはその心配が無いわけだ。

 


またENERMAX ETS-T40-VDはクーラー自体の幅が大きくその上クリップも大きく張り出す形状だったので最上段の拡張カードと干渉してしまうという難点があった(一応クリップを自分で曲げれば固定は難しくなるが回避可能)。こちらのクリップは小さく張り出しも少ないので干渉の心配は少なく、デザインも損ねない。
またクリップ位置をずらせばメモリとの干渉が起きた場合少しファン位置を上げることも可能。

 


ヒートパイプは4本、デュアルファンとカラーヒートシンクのおかげで存在感があるが、実はヒートシンク自体は薄めなので最近のマザーでもCPUに一番近いソケットに干渉するかしないか程度。これはXIGMATEK SD1283NHEDでも気に入っていたサイズなのでちょうどいい。


また天面はヒートパイプの張り出しが無くロゴ入り天板でフラットになっている。デザイン的な配慮だろうが実はこのおかげでこのクラスのクーラーとしては僅かに全高が低い。


XIGMATEK SD1283NHEDは159mm、ENRMAX ETS-T40-VDは160mm、そしてPANTEKS PH-TC12DX RDは157mmだ。僅か2mmの差なのだがこの2mmのせいで私の古いATXケースはサイドパネルにXIGMATEK SD1283NHEDのヒートパイプがぶつかってむりやりパネルを閉めていたので今回購入のきっかけになった。

また全高は僅かに低いが逆にCPU側のマージンは大きめにとられている。


そして冷却性能はもちろん期待通りなのだが、静音性が優秀なのだ。付属のデュアルファンは最低回転数が600rpmと12cmとしてはかなり低めの部類。もちろん最大回転数は1800rpmと十分なので、最近のアイドル消費・発熱が少ないCPUとの相性は抜群。ヒートシンク自体の風切音も少なく、アイドル時の静かさ、そして負荷時の冷却性能共に文句無し。ファン交換の必要はまずない。

 という訳でレビュー公開タイミングの関係で出せなかった実測です。

TDP140Wを誇る超弩級CPU Core i7 5960X…それも3.9GHzOC状態でPrime95を5分程動作。5分と短いのは10分でも安定温度に大差なかったせい。但しPrimeより動画エンコの方が温度が上がる傾向があったので、そちらを長時間ぶっぱした場合さらに温度は上乗せされる。

またこの環境だとアイドル温度が室温以下とかいう物理法則を超越した温度なので全体的に温度は+で考えた方がよさそう。計測時の室温は26度。

赤線がPhanteks PH-TC12DX RD、グレー線がXIGMATEK SD1283NHED。

 

と、一見両者に差異は無いように見えるが、実はファン回転数が大きく異なり、Phanteks PH-TC12DX RDはこの計測中の最大が1300rpmと静か。一方XIGMATEK SD1283NHEDは最大1800rpmと結構な回転数。搭載ファンの特性もあるだろうが、価格差分の冷却力がこの辺で出てきたのだろう。SD1283NHED自体値段の割に良好な冷却力だったので回転数に余裕を持ってこの値を出せるPH-TC12DX RDは12cm薄型サイドフローとしてはかなり優秀。

先述の通りエンコードだとさらに温度が上がり、1800rpmで唸りだすが、しっかり冷却をしてくれる。但しヒートシンクが熱を溜め込むのではなくガンガン放出するタイプなのでケース内の温度が一定を越えると一気に温度が上がる現象があったのでケース自体の冷却も当然しっかりやる必要がある。

 


 品質・デザイン・冷却・静音性・全て文句なしとベタ褒め。強いて難点を挙げるとすればファン固定方法がくどくて時間がかかる点とアジアはアウトオブ眼中でヨーロッパ圏言語の解説書しか無いくらい…とはいえフルカラーで図が載っているのでレゴブロックばりの判りやすさなのだが。


最大の問題は価格だ。初出時より少し安くなったとはいえ8600円。他社の14cmファン搭載ド級空冷や、水冷が買えるお値段だ。確かに12cmかつ干渉の少ないサイズのクーラーとして見れば冷却性は高いが同価格帯のクーラーから比べるとクラスが一つ落ちるのは明白。

ヒートシンクのサイズ的にはライバルになるScytheの阿修羅ならラウンドの14cmファンを搭載して半額以下の値段で買えるし恐らく性能は大差ない。デュアルファンと分岐ケーブルを考慮しても余裕でおつりが来る。
現に今回比較に出したXIGMATEKのSD1283NHEDは3980円、ENERMAXのETS-T40-VDはド派手に光るファンがついて4980円だった。

ちなみにPANTEKSの14cmファン搭載型トップフロー「PH-TC14CS」シリーズは11000円、14cmサイドフロー&デュアルヒートシンクの「PH-TC14PE」シリーズは12000円の大台を超えるお値段だ。
まあそれらは14cm級のハイエンドという肩書きもあるから許せないでもないが、これは12cmのサイドフローでいくらでも安く同等クラスの他社クーラーが買える訳で。他に類を見ないカラーバリエーションヒートシンクとデザインにどの程度の価値を見出せるかでこのクーラーの評価は大きく変わるだろう。

更新: 2017/03/27

2017年3月追記 AM4対応キットについて

発売から暫くたったモデルだが、購入証明があれば代理店のITCよりAM4対応のリテンションキットを送料のみの負担で送ってもらえる。なんと親切。ありがとうITC!!

…自分の個体はOCWORKSで買ったから代理店通してるかわからなかったんだけど送ってくれました ホントありがとう。

元々AM系純正のバックプレートを使うタイプなので表側の金具のみ。

元のAM3用金具に穴が追加されただけと思いきや…

しっかりネジの長さも長いものに変更されている。純正のバックパネルを使う場合AM3時より深い位置にネジ穴がある場合がありうまく絞められないクーラー・マザーの組み合わせがあったらしいがPhanteksはきっちり対策しているようだ。

恐らく今後AM4に最初から対応しているモデルもPhanteksから出るだろうがその辺は安心できそう。高いだけある。

  • 購入金額

    8,640円

  • 購入日

    2014年08月28日

  • 購入場所

    OVERCLOCK WORKS

コメント (6)

  • パッチコさん

    2014/09/02

    いいですねー!
    全部赤だったら魅力半減です。
    コレは白枠がポイントなんですよ。でも確かに高い。
    水冷も気になりますが、14センチ級は無骨なのも多いし。
    ZALMANの丸いサイドフローも興味有り。
  • cybercatさん

    2014/09/02

    持ってるのが全部中身が見えないケースなので、自分としては内側のおしゃれには興味がないけど、これはイキですねー。
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