レビューメディア「ジグソー」

液晶ペンタブレット、ノートPCの両方の利点に満ちた富士通TH90/p

1.開梱

本当にピザが入っているではないかという大きさの箱に入っている。

箱から出してみるとモノが非常に少ない。とてもいい感じである。

2. 2-in-1(Ultrabook⇔液晶ペンタブレット)

Ultrabookというカテゴリのこの装置なのだが意外に大きい。後でも触れるがディスプレイのサイズと解像度を収めるためには必要なものだ。

ノートパソコンとしてのスタイルだとこんな感じ。思ったよりもでかいというのが第一印象である。とはいえ、薄いのでボリューム感はない。キーボードもゆったりしていて実に打ちやすい。

この装置の素晴らしいところはこの薄さ。以前使っていた、Lenovo ThinkPad X200 Tabletは厚ぼったくて机からかなり離れてしまう。また、これだけディスプレイが大きければ作業も捗るというもの。

こんなかんじで回してトランスフォームします。

3. ディスプレイのサイズと解像度

これが購入直後の画面サイズである。実は、一般のものに比べて2倍に拡大してあるのである。

Google Chromeをインストールしてみるとドットがそのまま2倍サイズに引き伸ばされているだけで非常に見難い。ネットでイロイロと調べて見てその設定を試しても結局直らなかった。結局上記の設定で「中- 125%」を選ぶことで解決した。

これがその「中」にした後の画面である。しかし今度は解像度が高すぎて文字が読めないという問題が発生してしまう。Google Chromeの表示を125〜150%にすることで解消した。ちょっとした問題としては、機能拡張のアイコンサイズは小さいままなので押しにくい。

4. モバイル(バッテリーのもち)

某コーヒーショップに行って、バッテリの持ちをチェックしてみる。結論から言うと満足がいく結果となった。

これは愛用のビジネス・リュック「マンハッタンパッセージ #9050」である。A4書類を折らずに入れられ、PCを頑丈に守るということで購入したもの。もちろん、TH90/Pはぴったり収まった。ちなみに、雨傘もしくは弁当箱を入れるサイド・ポケットが便利である。

8人がけのテーブルの上に置いてみた。このテーブルには、某メーカーの銀色のノートブックを使ってドヤ顔をしている人が既にいた。あと一人は最近分社した国産の白いノートブックだった。TH90/Pのこの色は逆に「仕事するぞ」と目立ってしまう印象である。

ディスプレイを開けてみた。13.3インチのディスプレイはやはり迫力がある。しかし、筐体がコンパクトに作ってあるためか、それほどの圧迫感は無い。

早速Wi-Fiに接続してみる。事前登録が必要だが以前から使っているものなので問題はない。無線LANアクセスポイントを選んで接続したら、ブラウザでID/パスワードを入れるというよくあるタイプである。これも難なくつながった。

店でかかっている音楽も悪くはないのだが、途中から飽きてきたのでいつも聴いている「soundcloud.com」に接続した。このサービスでは、世界中のリミキサーのオリジナルミックスを無料で聴くことができるというものである。最近流行りのEDMだけでなく、R&Bやソウルのリミックスなどもある。

13:00頃に店に入り17:00頃までバッテリのみで使うことができた。スリープはさせていない。Wi-Fiは繋ぎっぱなしであり、あまりにも電池が減らないので、途中からは soundcloud.com の音楽を聞きっぱなしという結構酷なテストだったが全く問題がない。

あと、もうひとつ感動したのは、無線LANの接続の切れにくさである。このコーヒーショップでは、スマートフォン、タブレットを持ち込むことが多いのだが、どれも5分ぐらいで無線LANが切断されてしまうという症状が出ていた。TH90/Pの場合、そういう現象に合わなかったという点でも「本当に使える」という印象を得た。

 

c.f.

 

値段は高いが「LIFEBOOK TH90/P」はビジネス向け万能ウルトラブックの優等生 - オーソドックスな液晶回転型の2in1 日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20140328/1056240/?P=2
タブレットスタイルにして横から見たところ。液晶上部にはアンテナがあるが、こうしてキーボード部分とぴったり重ならずズレることで、電波の感度が低下するのを防いでいる

 

5. 液晶ペンタブレット(液タブ)として使う(CLIP STUDIO PAINT EX/PRO)

結論から言えば、画面の解像度、ペンの性能の点で大変満足できた。今まであまり使っていなかったペイントソフト(CLIP STUDIO PAINT EX/PRO)の稼働率が一挙に高まった。

こちらは今まで使っていた Mac mini の表示画面である。。フルHD(1,920×1,080)の汎用の24インチディスプレイを使っている。ツールもそこそこ表示されているのだが、キャンバスがちょっと狭くなってしまっている。

こちらが、TH90/pでの表示画面である。同じイラストのデータを同じ縮尺で表示している。キャンバスが広くとれるのは本当にありがたい。

細かい点では、右上のナビゲータの表示が大きくできることである。Macの方では、用紙全体に対して赤い枠で表示しているということがなんとなく分かるだけになってしまうが、こちらだと直感的に分かる。

さらに良いのは、左側のツール類の表示領域が広くとれることである。ペンの種類が多く登録されていることに注意してもらいたい。このツールの特徴は、他のユーザが作ったペンなどの素材をダウンロードして使うというところであり、画面が広いことはこういうツールを並べられるという意味でも便利である。

画面に直接ペンを使って描けるというのは直感的であり本当に書きやすい。ペンタブレットを机の上に置いた上で目の前のディスプレイを見ながら描くのとは全く次元が違う。液晶タブレット(液タブ)が流行るのも納得がいく。

実際の作画例としては、画面解像度の比較で使ったものを参考にして欲しい。ここでは「リアル鉛筆」というブラシ素材をダウンロードして使っている。何と言ってもおどろきなのは、「手ぶれ補正」機能である。私は結構手が震えてしまうため、紙にかなりの力でペンを押し付けて描く。しかし、この手ぶれ補正のおかげでリラックスして描けることに気がついた。なお、この手ぶれ補正を行うためには結構な計算をしているようである。遅いマシンでは追従性が落ちるようである。そういう意味でも、TH90/pに搭載している Intel Core i5 はいい仕事をしているようだ。

次はペンの比較である。左上から、(1) 純正、(2) Lenovo ThinkPad X200 Tabletに付属していたもの、(3) Bambooブランド時代のペンタブレットCTH-661用のものである。

(3) は方式が異なるため、TH90/pでは使えない。(2) は、保証対象外ではあるが、比較対象はあった方がいいので試してみた。

結果としてわかったのは、(3) > (2) > (1)の順番で書きやすいということだ。単純に、太さと重さがある程度あった方がフィードバックが大きくなる分分かりやすいということにあると思う。(1) は本体に収納できるというメリットがあるし、仮に(2) を無くしても最後の一本として必須だと思う。

(2) が良いのは、適当な太さと後ろについている消しゴムが使えることである。線画を描く場合には消しゴム機能は必須だと感じた。また、カスタマイズをしてサイドボタンには、Undo(CTRL+Z) を設定した。

(2) のタイプはほとんど売っておらず、方式的に使えるはずの"Wacom Bamboo Stylus feel"もイラスト描きという用途についてはいまいちなので、Wacom社の別方式であるIntuos/Cintiq用のグリップペン・タイプのものを付属品として準備するか、ワコム社に要請して欲しい。

ちなみに、Microsoft OneNote で描いたものがこちらになる。ペンの粘りがなくて、滑りやすくて描きにくい印象を受ける。物理的な違いはないので、アプリケーションの問題である。もっとも、こちらは文字をどんどん書くということが求められているため、線の美しさよりも、レスポンスの早さを求めているからだと思われる。

6. 番外編(Windowsでも、どこでもMy Mac)

コーヒーショップに来たもう一つの理由は、Apple の「どこでもMy Mac」サービスを、モバイル側をTH90/PつまりWindows 8.1でもやってみることである。結論から言えばこれもかなり良い出来だった。

正直言うと、ここからの話はハードルがとても上がってしまうのだが、「こういう便利な使い方もあるのだなぁ」というお話だと思って見ていただきたい。

簡単に図にまとめてみた。通常 Apple Mac を持っている人が、「どこでもMy Mac」を使うためには、家にある Mac (Mac mini / iMac / Mac Pro等)、外で使うMacBook、そして、iCloudというクラウドサービスへの登録である。

しかし、私の場合、Mac は家にある Mac mini だけである。そのため、今回の接続構成をとることとした。詳しい設定方法はここには書かないが、TH90/p(Windows 8.1)に、PuTTYjp、UltraVNCを導入、小型PCサーバ上のUbuntuにsshできる用に設定しつつ、Mac miniへのトンネルを設定、自宅に通信するためのフリーのダイナミックDNSの登録と設定である。

こうやって書き比べると、Macのイージーさは流石なのだが、Macが2台ない場合はこれで何とかできる。

TH90/pを使って、自宅の小型PCサーバ(Ubuntu)にログインしたところ。一般の人には評判の悪い「黒い画面」である「コマンドプロンプト」ではなく、PuTTYjpの画面である。ちなみに、単純なID/パスワードログインはこの場合セキュリティ的には心もとない。少しでもセキュアにするために「共有鍵暗号方式」を使っている。

自宅の Mac mini のログイン画面を出したところ。PuTTYjp には、sshトンネルを作成するための設定があるのだが、それを使って TH90/p → 自宅小型PCサーバ → Mac mini へのVNC接続を作っている。

ログインするとこんな感じになる。ここでポイントは、TH90/pの解像度が、2,560×1,440ドットに対して、Mac miniはフルHDすなわち、1,920×1,080である。ようは、余裕で画面が収まっているというところである。

実は、1,280×780のWindows 8の8インチタブレットで同じことをやっていたのだが、実際の画面も小さいのだが、解像度的に足りなくてかなり苦労をしていた。これで何かあっても何とかなるというもの。

7. まとめ(要望等)

結論から言えば、かなり特徴的なコンバーチブル型PC兼タブレットである。特にレビューしていないが、500 Gbytes のHDDで大量のデータも持ち運びやすいという点も特筆すべきである。

今回のレビューをまとめてみる。

  1. 大画面(13.3インチ)、高解像度(2,560×1,440)の見やすさ、作業のしやすさ
  2. 液晶ペンタブレット、ノートPCの両方を十分に楽しめるコンバーチブル型
  3. 持ち運びやすい約1.65 kgの軽さと、実用に十分なバッテリのもち

まず、1.だが、ペイント・ソフトのキャンバスの広さと十分なツールの表示でとても気に入った。また、レポートはしていないが、Bru-Rayレコーダで録画した番組を試聴するためのDTCP-IP対応のWindows 8アプリを購入した。高解像度を要求される美術や自然関連の番組もしっかりと見ることができた。

次に、2.については、ペイント・ソフト、Microsoft OneNoteを使って実際に絵を描いた。ツールを使い分けることで、手ぶれ補正やたくさんのツールの使い分けなど紙以上のメリットが得られることがわかった。

さらに、3.だが、JEITA 1.0の12.5時間というカタログスペックではなく、実際の利用に近い想定でバッテリののみで4時間使えたという事実がうれしい。さらに、無線LANの接続性が高いことも分かった。

なお、上のメリットとのトレードオフではあるが、いくつかの要望もある。

  1. 特にタブレット・モード時の傾斜用スタンド
  2. ディスプレイ電源ボタンの操作方向が逆、ボリューム・ボタン、Windowsボタンの必要性と位置が不可解
  3. 剛性不足気味のプラスティック筐体

ペンを使う場合は、筐体が傾斜している方が描きやすい。ノートPCとして使う時も傾斜している方が便利そうだ。傾斜用のスタンド(内蔵でなくても良い)があると良いと感じた。また、ボタンがたくさんついている割にその使い勝手が良いように思えない。他社の金属製筐体と比較すると剛性不足は正直気になる。

これらの要望もメリットとのトレードオフであり、メリットの方が大きいと感じる。

 

c.f.

 

StationTV® Link - 特長 | 株式会社ピクセラ
http://www.pixela.co.jp/products/tv_capture/stationtv_link/

 

  • 購入金額

    160,000円

  • 購入日

    2014年08月09日

  • 購入場所

8人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • aoidiskさん

    2014/08/16

    気になる機種だったのが、
    よりいっそう気になる
    この回転、懐かしくもあり、
    使いやすそうで 良いな
  • IT Legacyさん

    2014/08/16

    この回転ヒンジはそこそこ剛性があって安定感あります。これのおかげで一粒で二度美味しい感じですね。

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