所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。声優の息の長さを見てもわかるように、一旦完成すると声というものはあまり歳の影響を受けないものです。ただ思春期には男性の声変わりはもちろん女性もその表情が大きく変わってきます。そんな声の表情が豊かな時期に吹き込まれた作品をご紹介します。
hiro。デビュー当時小中学生のみで話題をさらった女性グループSPEED
の最年少メンバーで高域ヴォーカル担当。彼女たちは、1996年から2000年の20世紀末の足かけ5年、その名の通り猛スピードでヒットチャートを走り抜けていったが、その後解散する。何度かの散発的な再結成を経て、2008年からふたたびグループとしてオリジナルメンバーで活動しているが、解散以前~解散後~再結成後を通して最もコンスタントに音楽的なソロ活動をしているのがhiro。
ただ、その内容は時期によって微妙に異なり、その内容に合わせてか彼女は発表の名義を変えている。
SPEEDにも通じるダンサブルで激しいポップな歌を発表するときにはhiro。
ジャズヴォーカル(アレンジ的にはどジャズではなくポップ調だが)の時はCoco d'Or(ココドール)。
そして最新作の沖縄歌手のカバーでは、本名の島袋寛子名義で出されている。
時間的にも多少ズレていて、オーバーラップはあるものの、hiro→Coco d'Or→島袋寛子と移ってきている。最近は、母体のSPEEDでも本名の島袋寛子を名乗っているので、今後ダンスポップス調の作品をソロで出しても「島袋寛子」なのかもしれないが、少なくとも現時点ではソロにおいては使う名前で曲調が判断できる。
本作はhiro名義を使っていた終末期のシングル。次作のシングルがhiro名義ラストだが、それは自身の出演する映画の主題歌だったことを考えると、これが純粋な音楽活動としての「hiro」のラストシングルともいえる。
2006年の作品だが、2年ほど静かめ~ミディアムテンポの作品が続いたので、hiroの作品としては久しぶりのダンスチューン。複雑に構成された打ち込みと、絡み合う生ギが印象的な表題曲をはじめ、ビートが利いた作品が収められる。
その表題曲「ヒーロー☆」は、ゲートリヴァーブで残響が切られたようなブチギリの音たちと、ピッキングハーモニクスの音が聴こえて胴鳴りの音がほとんど聴こえないという、薄っぺらな?音に加工された生ギターにより構成されるサウンドコラージュの様な曲に、ちょっと蓮っ葉な感じの歌い方のhiroの声が乗る曲。hiroってこのあたりの声音の幅が広いので印象深い。
続く「My Crazy Days」は全然違う曲調なのだが、印象としては似ている。同じく打ち込みではないのはギターのみ。生ギとエレギがともに入っているだけで、あとは比較的デッドな音の打ち込みで、サウンドスクラッチなどを多用してカタイ感じで構成されている。両曲をともに手がける編曲者(「My Crazy Days」は作詞・作曲者でもある)中塚武のカラーか。
というのも「Spring」は、同じく生ギ以外は全打ち込みでビートが効いたアレンジだが、全く違う雰囲気。SPEEDに一番近いのはこの曲かな。hiroの沈む中域と媚びのある明るい高音を、Aメロとサビで使い分けていて音域設定もイイ感じ。
SPEED初期の抜ける高音のみではなく、近年のふくよかな声だけでもなく、いろいろな声の表情が楽しめる。子供からオトナに向けて成長していく過程での両方の声が出せる時期、というのも大きかったのかもしれないが。
ジャズっぽいCoco d'Orも、「地」を晒した島袋寛子もそれはそれで別の魅力があるけれど、それはSPEED路線直系のhiroがあってのもの。hiro名義ではほぼ8年間作品が出ていないけれど、こっち方面のソロもそろそろ出して欲しいなぁ...
【収録曲】
1. ヒーロー☆
2. My Crazy Days
3. Spring
4. ヒーロー☆ (Instrumental)
5. My Crazy Days (Instrumental)
6. Spring (Instrumental)
「ヒーロー☆」
こういう移りゆく年齢の踊り場にある楽曲は尊い
それは、その瞬間しか表現できないものだから
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購入金額
1,100円
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購入日
2012年頃
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購入場所
北のラブリエさん
2014/07/31
気に入りました。
cybercatさん
2014/07/31
>いいですね。
>気に入りました。
趣味広いですねーw
北のラブリエさん
2014/07/31
cybercatさん
2014/07/31