HP Smart Array Pシリーズ専用の、キャッシュメモリとキャパシタのセット。
こいつに搭載されている、512MBのライトキャッシュを1GBに強化するモジュールである。
国内での新品価格は40000円台、米国でも20000円以上する代物だが、今回たまたま安価に入手する機会に恵まれたので、入手してみた。
本製品の最上位は2GBとなるが、今回入手したのは1GBとなる。
それでも、RAIDカードのキャッシュとしては中々の容量で、現行販売されている大半のRAIDカードは1GBか512MBだ。
HPのキャッシュメモリはFBWCの略称を持つ。
DDR3によるライトバック・キャッシュのほか、同容量のNANDフラッシュが搭載され、瞬断発生時に揮発性メモリであるライトバック・キャッシュ内に残るデータを、不揮発性であるNANDフラッシュへ待避することで長時間の電源断でもデータ消失を防ぐ事が出来る。
ただ、このNANDフラッシュへの格納にかかる時間は、数十秒から一分弱。
その間、ライトバック・キャッシュ内データの揮発を防止するため、短時間動作用のバッテリーがセットになっている。
こちらが、そのバッテリーとなるキャパシタ・ユニット。
何てことはない、ただの充電池にケーブル付いてるだけなのだが、これも実は単独で購入すると万単位のお値段だったりする。サーバー用品てカネかかるんですな。
なお、三分程度の待避時間を稼ぐためだけのユニットなので、構造は極めて単純。
専用基板も入っているが、単に電圧と充電容量をチェックしているだけのものなので、ヘタったら充電池部分だけハンダ付け交換すれば、ふつーに使えるようになる。
上のユニットが、従来の「バックアップ・バッテリー」で、下がキャパシタ。
大きさは従来の半分以下、厚みも3割減。重さに至っては恐らく1/5程度しかない。
NANDフラッシュを一体化したFBWCは、停電が長時間に渡っても揮発することがないため、従来のバッテリー保持式と比較して、遙かにデータ保持性能が高い。
このように、FBWCは瞬停にも長時間停電にも耐えるという点で、従来製品に優る。
では、性能はどうか。
こちらが、キャッシュメモリ単体のR/W結果。
実を言うと、元々搭載していた512MBキャッシュよりも若干低い数字が出ているのだが、恐らくは誤差で、実際は1GBが倍くらい早い。(2200MB/s前後のベンチ結果報告がある)
ベンチで結果が伴っていないのは、実のところCPUの性能と世代にあると推測される。
というのも、HP P420は本来PCI-ExpressGen3x8の帯域で動作することを前提に設計された製品であり、真価を発揮するにはその帯域幅が必須となる。
ただ、うちのサーバーCPUがi5-2500Tという「Gen2までしか対応しない」上に、低消費電力である代わりに2.3G動作(サーバーなので、ターボはOFF)と、比較的大人しい動作速度のため、足を引っ張っている可能性がある。
FBWC-1GB
FBWC-512MB
こちらは、キャッシュ外まで(HDDまで)到達するデータで取ったもの。
元のキャッシュと比較し、シーケンシャルでのリード速度はおよそ100MB/s前後の向上があるが、ライト速度は余り変化がない。
ただ、512kでの書込速度は大きく向上しており、やはり大容量キャッシュの搭載で細かいファイルの書込み時に効果が出ていると判る。
4Kのリード/ライトも大きく向上しているので、やはり大容量ほど高性能にはなるようだ。
FBWC-1GB
FBWC-512MB
こちらは、HD-Tuneにおけるベンチマーク。
500~600強MB/sで、割と安定した書込速度を見せている。
512MBより1GBのほうが、幾分か速度が向上かつ安定したR/Wとなっているのがわかる。
ざっとみた限りではあるが、キャッシュの容量拡大は素直に性能向上に繋がる、と結論して良いだろう。
ただ、512→1Gは「元々の値段でやろうと思えるような向上」とは言えない。
今回たまたま安価に手に入れたから1GBで妥協したが、大金突っ込んでやるなら2GBキャッシュ買うほうが、幸せになれる気がする。
・・・まぁ、一般人がこれ個人で買うとかまずあり得ない話ではあるのだが。
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購入金額
5,000円
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購入日
2014年07月28日
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購入場所
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