beyerdynamicのロングセラーを続ける大型アラウンドイヤーのオープンタイプヘッドフォンです.DT770/DT880/DT990の3兄弟の長男の扱いです.そして,DT990にもいろいろな仕様がありますが,コレはプロ仕様です.
beyerdynamicヘッドフォンは,とても作りがしっかりしています.というか,無骨過ぎます.
そして,側圧がちょっと強めですが,装着感はすごくいいです.ベロア調のイヤーパッドも気持ちいいです.
一見してオープンタイプだとわかる”換気扇”みたいな構造をしていますが,AKGみたいなフルオープンではないです.中央付近の20~30mmくらいが解放されているだけです.
残念な点は,ケーブル.
プロ用なのでカールコードなのは仕方ないとして,もう少し,しっかりしたモノで,プラグも安っぽいです.ケーブルは,sennheiserのほうがいいです.
それから,収納袋.小学生のモチモノ袋じゃないんだから,もう少し考えてもらいところです.この部分は,ULTRASONEが勝っています.
スペックです.250Ω,96dBですが,ポータブルでも音量は取れます.しかし,音質は期待できません.ヘッドフォンアンプが必要です.
TASCAMのHPより引用
形式 ダイナミック・オープン型 周波数特性 5-35000Hz 感度 96dB インピーダンス 250Ω 許容入力 100mW 歪率 0.2%以下 ヘッドバンド側圧 3.5N ケーブル 3m(引き伸ばし時) / コイル プラグ 3.5mm(ミニ) 質量 250g 付属品 6.3mm(標準)アダプタ キャリングポーチ
なお,DT990の250Ω仕様には,このPROとEdition 2005がありますが,外観とケーブルの違いで,音質はほぼ同じ(PROのほうが低域が強いかも?)だと判断しました.
今回,価格の安いPROを選択しています.カールケーブルが気になる場合には,リケーブルする手もあります.
その他に,32Ω仕様もあります.
このヘッドフォンですが,エージング時間が短かそうな印象です.
初めから音の印象は変わりませんが,エージング前は低音がふわふわした感じと高音のざわざわした感じが残ります.
これが,アルバム1枚聞き終えただけで,大分改善されます.100時間くらいで安定してくれるんじゃないかと思っています.
癖になるヘッドフォン
まず,典型的なドンシャリです.ただ,安物ヘッドフォンのような薄っぺらな軽いドンシャリではなく,意図され,故意に音づくりされたものだと思います.
非常に重厚感があり,低域に響きは素晴らしいです.高音も延び,しっかり出ます.エッジが強く,サ行が少し気になります.中域は,低域/高域みたいな特徴はありませんが,ある程度は出ています.
モニタリング用途ではなく,リスニング向けだと思います.映画鑑賞にもいいと思います.
音場が非常に広く,力強い音です.原音忠実性や解像度は,他機種に負けますが,この迫力のある音はやみつきになること間違い無しです.
ただ,長時間は聴き疲れします.それくらい,エッジが強く,高音も低音も出ています.
ULTRASONEのDJ1PROが,明るくキラキラな音なのに対し,対極にあります.暗いとは言えませんが,重厚感がすごいです.
DJ1PROがお気に入りなら,このDT990も持っていて損はないと思います.DJ1PROの良さをさらに引き立ててくれますし,DT990の良さも倍増します.
もう一つ,AKGのQ701とも性格が反対です.
非常に繊細で,解像度が高く,抜けの良いQ701に対して,音場が広く.重厚感重視のDT990です.
最初に選択するヘッドフォンとしては,Q701のほうが遥かに優れています.Q701を選択すれば間違いないと思います.
同じように低域に特徴があるsennheiserのHD650ですが,DT990とは似て非なるものです.
音楽性でいったら,HD650には勝てません.HD650は明瞭さに欠ける部分がありますが,音場が広く,温かみのある音で,長時間聴いていても疲れません.
対し,DT990は,HD650よりさらに広い音場で,低域もさらに低く沈み込みます.高域もはっきりしていますので,非常に力強い音で,臨場感があります.
どちらも原音忠実性は高くないので,モニタリング用途には向きませんが,リスニングには最高です.
モニタリング用途やバランス重視なら,オーテクのATH-M50やATH-M9Xが遥かに優れています.
ATH-M50なら,1台持ちのヘッドフォンとしてはとても使いやすいと思います.
しかし,逆の見方をすれば,尖ったところが無く,非常にまとまっており,特徴のないところが特徴であるATH-M50は,”これしかない”とマッチングするジャンルがありません.
その点は,DT990やDJ1PROは,非常に特徴のあるヘッドフォンで,この音を聴くには”これしかない”というものがあります.
と,いろいろ書きましたが,これがヘッドフォンが増えてしまう理由だと思います.
”ヘッドフォンに万能選手はいない”
だから,
”専門選手を集めて,チームを作るしかない”
10万円以上の高級ヘッドフォン1台より,2万円以下のヘッドフォンを5台買った方が幸せだと思っています(高級機を買えない言い訳です).
でも,T1やsignatureやHD800が欲しい.....
2万円以下なら買う価値あります
リスニング用途として,1台目に買ってはいけません.
しかし,2台目以降であれば,このヘッドフォンの良さがわかる,すごくコスパの高いオープンタイプのヘッドフォンです.
上にも書きましたが,ULTRASONEのDJ1PROを持っているなら,その対極にあるこのDT990を買うべきだと思います.
それぞれの良さが,際立ちます.そして,他のヘッドフォンでは満足できなくなる可能性を秘めています.
円安で価格が上昇していますが,2万円以下のヘッドフォンとして購入する価値がある一品だと思います.
リケーブル&バランス化
カールコードが邪魔だったので,バランス化に合わせてリケーブルしました.
使用したケーブルは,mogami#2534.ちょっと太いですが,4芯なので,片出しのDT990Proのバランス化には丁度いいです.長さは,約1.5mとしました.
プラグは,コレです.
まず,L側をバラします.
パッドを外して,抑えリングをマイナスドライバーでこじ開けます.
スポンジをとると,そのままドライバーが出てきます.
左から,G,R,Lの順になっています.R側はケーブルに直付けしますから,すべて外してしまいます.
ケーブルは,金具で固定されています.金具を手前に引くと,ケーブルが外れます.
あとは,ケーブルを#2534に変更して,ハンダ付けすれば完成です.いつものように,途中行程の写真を忘れました.
ケーブルは,固定金具が使えませんので,内側で結束バンドを使って,引き抜けないようにしました.#2534と外した穴径が丁度です.
ケーブルもスッキリしました.
そして,バランス化&リケーブルで,DT990Proの魅力がさらに上がりました.
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購入金額
16,000円
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購入日
2014年12月頃
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購入場所
amazon
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