それは、ある意味古く、ある意味新しいと言えるのでしょうか。
昔もこの方式のヘッドフォンあったようなのですが、
鳴らしきることが難しかったらしく、あまり採用されなかった方式らしい・・・です。
ですが、最近は、個人の再生環境でも良い環境が整いつつあり、
また、より良い音を求める傾向が強くなっていることから、
採用に向けた動きが加速していますね。
つい最近も、OPPO よりPM-1って似たような駆動方式のヘッドフォンが
発表されていましたし、今後、トレンドの1つになるのかもしれません。
音を出すためには振動板を揺らし、その空気の揺らぎが音の振動として
耳に届くことになるのですが、技術的には、音を表現する
振動板を鳴らす方式が違います。
ダイナミックドライバだと、振動板の動きは、
振動板に設置されたボイスコイルの振動を振動板全体に
伝搬させて、音を出します。
メリットは構造が簡単な事ですが、振動板全体が
均一に揺れないので、特定の周波数の音が出にくかったり
元データと多少違う音になって出るという事です。
平面駆動型は、その振動板がすべて均一に動くため、
出したかった音が歪まず出ることが利点です。
イメージ的には、コンデンサー型と呼ばれるモデルに
近いのかもしれません。
なんせ、利点は音が正しく出ること、歪まないので
その分イイ音って事みたいですね。
問題点もあり、能率が低い為、鳴らしにくいって点があり、
つまりは使う機器を選ぶって事です。
HiFiMAN HE-500は、フラッグシップ「HE-6」の
その鳴らしにくいって点を少し緩和した
弟機にあたるヘッドフォンです。(2014年7月現在)
-- -- -- ヘッドフォン購入の動機 -- -- --
そもそも論として、今手持ちのヘッドフォン
AKG K702に不満があるかと言われれば、無い状態だったのですが、
何か新しいのを買ってみたくなり、各社の上位モデルを
試してみたうえでしっくりくる物、価格比で満足度が高い物がなく、
色んなハイエンドクラスを聞いた中で気になったのが
平面駆動方式を売りにしたモデルです。
ただし、この平面駆動方式ってのは、製造コストもばかにならないらしく、
一番音がいいと感じたモデルAUDEZ'EのLCD-Xってモデルでは20万円以上します。
流石に手が出ないので、他にないかなって調べたところHiFiMANのシリーズを
見つけたのですが、AUDEZ'Eのモデルよりも音の広がりや、自然さというか空気感、
音を聞いた時の満足感とヘッドフォンの付け心地それぞれが少しずつ不満がありました。
さらに、これでも定価は10万円ぐらいするので、気軽に買うわけにもいかず・・・
悶々と悩んでいたところ、今回、B級品の修理上がりではありますが、
とてもお安く販売されていたので、ゲットと相成りました。
4万円なら買うでしょ、普通・・・普通だよね?
お得感に踊らされた感が無いわけでもないですが、満足はしています。
-- -- -- 外観レビュー -- -- --
さて、無事に購入できたわけなんですが、実はコレ、
少し前から特価で販売していたのは知っていました。
でも、売れてなかったんですよね~。
ま、箱見たら理由はわかりました。
これでは、中に何が入っているか、全然わかりませんから~(笑)
いくらお得でも外観の写真も説明もなく中身が何なのかわからないようであれば、
手に取ってみようという方も少なかったおかげで、更なる特価になりまで売り切れず、
今回美味しくいただけたようですね~!
怪我の功名とでもいうべきなのか・・・いや、ちょっぴり情けないよね、コレ。
あえて、国内代理店の頑張りが足りないと言わせていただきます。
確かに新規に箱作ると結構お金かかりますけど、それでも売るためには
必要ですよ、日本市場では。
さて、箱を開けますと、これは・・・
ケースが出てきましたね。
HEシリーズ共通のトラベルキャリングケースです。
コレは保管にはいいと思います。
すごく大きいので携帯性は皆無ですが(笑)
中を開けてみますと、ケーブルが外された状態のヘッドフォンと、
ケーブル、交換用のイヤパッド2個と、ケーブル自作用の接続端子
(SMA-P型)が1セット入っていました。
ケーブル自作する方向けに専用端子をつけてあるのは、
自作ケーブル大好きな方には嬉しい付属品ですね。
私はケーブル作るとかは自信ないので無理ですが(笑)
ヘッドフォンスタンドにおいてみましたが、でっかいですし、
ケーブル接合部がダメージ受けやすい位置になるので、
保管には気を使います。
色々と探した結果、このスタンドが現時点での
ベストアイテムかなと思います。
ハウジングが大きいので、選択肢が少ないのが難点ですね。
実はハウジング部分は、フラッグシップのHE-6と同じと思われる外装です。
重量も同じであり、本体だけで502gあるのでかなり重い部類です。
下手な場所に保管もできず、取り扱いには気を使いますねぇ。
ヘッドバンドの締め付けは少し強めであり、各稼働箇所も
少し力を入れないと向きが変わりません。
一度つけると、がっちり頭をホールドされる感じですね。
付け心地はきちんと調整すればその重量を
きちんとホールドしているので悪くないです。
ただ、側圧が強めなので2時間ぐらいが限界ですね。
今回入手した個体にはちょっとした問題があり・・・
ヘッドバンドの内側がチョークのような赤い染料がついています。
手でこすっても取れないので、そのままつけても問題ないといえば
問題ないですが、できれば正常な物がいいなぁ。
B級品だから仕方ないのかなぁ・・・。
(とある方からB級品でない普通の商品も、B級品みたいなものと
意見いただきましたので、ま~そんな所かと納得はしたがw)
-- -- -- 再生感 -- -- --
再生環境としては下記の環境で聞いています。
再生機 : 自作FANレス無音PC 上の iTunes
音源 : CDからAIFF(WAVのapple版) 変換の44.1Khz/16bit/ステレオ
USB DAC : RME Babyface Phone端子接続
再生環境は物理的にこれ以上はアップグレードできるとは考えていないので、
私にとってはコレが最適解ですかね~。
さて、まず、音を聞いた場合の注意点となるべきところですが、
本モデルは開放型です。
開放型なので、むっちゃ音漏れはします。
どれぐらいかというと、ヘッドフォンをつけた時との差異が、
低音側が抜けて音量が5割~6割程度で聞こえるって位ですから。
音、ダダ漏れ状態~(笑)
その為、屋外利用はお勧めできませんし、
そもそも利用できるポータブルな機器も機会もそうないでしょうが。
あと、ケーブルのタッチノイズはとても気になります。
音楽聞いてるとき位はそうでもないですが、ひとたび音を出さない時に
ケーブル擦れたりすると、結構耳障りに聞こえます。
さて、音楽を聴いてみた感想ですが、
カウボーイビバップのサントラとか最高かと。
Kalafinaの新アルバムも結構イケます。
空の境界の曲もアルドノアゼロの曲もいいよね。
(もっと一般的な物を比較対象にしろというお言葉はごもっと。
今一番聞きたかったのがこれなのでw)
音の広がりは十分、モニタータイプのヘッドフォンと比べると、
かなりパンチ力のあるホットな味付けとなると思います。
高音の伸びも広がりもいい仕事してますよ!
まるでスピーカーで聞いていると言っても言い過ぎではないような感じです。
(ハイエンドな10万~100万するようなスピーカーとは流石に比較はできませんがね)
感動成分特盛追加って感じかな、端的に言うと。
その代わり、分析ライクな定位感は多少落ちますが、
音に広がりは十分なので、音楽を楽しむ方向性なので問題ないと思います。
ただし、音量が非常にとりにくいので、
Babyfaceの音量で8割~9割程度がベストな感じでした。
AKG K702だと、5割~7割で十分なのに・・・
音量がとりにくい、鳴らしにくいって点はこれでも
フラッグシップより改善された方だというのだから、驚きですね。
こりゃ、フラッグシップモデルのHE-6は、
買っても鳴らせないですわ、私の環境だと。(買う予定はないですが!)
いや~、それにしても、買って満足ですね。
今までと違う方向性のヘッドフォンで聞いて楽しい。
難があるとすれば重いので、長時間は無理って事でしょうか(笑)
-- まとめと懸念 --
HE-500のメリットとデメリット
■メリット
音が歪まず聞こえる(はず)
イイ音で聞ける(←ココが一番重要)
スピーカーの代わりと言ってもいいぐらいの幅広い再生帯域(ハイレゾOK!!)
ハイエンドモデルを持つ満足感
一般的に同じモデルを持ってる方が多くないので、オンリーワン感あり
■デメリット
通常価格はすごく高い
機器によってはきちんと音量が取れない可能性がある(ポータブルは多分無理)
重いので長時間は無理
ケーブルのタッチノイズが気になることがある
開放型なのでお外では無理(というか室内向けですよね、これ)
HiFiMANのサポートがどこまで受けれるか不安
中国製造という事で、一部の人から忌避される可能性あり
パッと思いつく範囲でのメリットデメリットは上記の通りです。
高いので、自分の音の趣味と合わなかったときはデメリットばかりの
ヘッドフォンとなるので要注意です。
出来れば、どこかで視聴する事をお勧めします。
さて、懸念があるとすれば、平面駆動型って事ですね。
まず、この駆動原理を詳しく、そして分かり易く説明されている
資料が簡単に見つからないので、コレは何?となるわけです。
説明がわからないからこそ、スキができる。
オーディオはオカルトな面があるのは、ご存知の方も多いかと思います。
理論と一般の物理法則が、オーディオ雑誌のライターに何故か、
いい感じで言い包められ(見ていて見苦しい記事もあります)、
これ使うと最高って結論で製品が紹介されるんです。
ヘッドフォンやイヤホン等の業界の動きとして、最近はいい音となるパーツとして、
ダイナミックドライバからバランスド・アーマチュア型のドライバを採用する事や、
マルチドライバ化を行う事、開放型と密閉型にノイズキャンセリング搭載と
ワイヤレス化がトレンドと最良の方向性という事で動いているように見受けられます。
目新しいいい音のパーツとして、分かり易い数値合戦や機能合戦を行って
分かり易い機能の違いという餌をぶら下げているわけですね。
そして、目新しいからこそ、イイ音を聞きたい方が飛びつくわけです。
物売りをするためにはメリットが無いと売れないですからね~。
で、ここにきて、イイ音の一角として平面駆動型が登場なわけです。
物売りをしたいメーカーは、こぞって採用を検討するのではないかという懸念と、
中途半端に採用はしたけれども非常に安くて音が悪いモデルってのが出て
一般的な認識がこれダメな駆動方式ジャンってなって見捨てられるのが怖いですね。
一部のメーカーが食い荒らした後ってのは、育つ土壌が微妙になると思うんです。
今は高いモデルしかないから、あんまり買う人もいないでしょうけど、
コレが3万円~5万円のモデルが出て、ちょっと買う気にさせる広告がうたれると、
ちょっとしたトレンドが出来上がると思います。
ま、言っても詮無い事なんですが、できれば、公式メーカーや、専門店では
分かり易い説明とかが欲しいなと思う今日この頃です。
今後も期待したい駆動方式なので、今後もイイ物がたくさん出てほしいですね~。
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購入金額
40,000円
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購入日
2014年07月19日
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購入場所
eイヤホン 大阪日本橋店
Yujiさん
2014/07/22
ものすごく厳密に言うと波状に振動板は動いていますが、平面型と言っても全く差支えない構造です。
昔あったAPOGEEというスピーカー専業メーカー(プロ用デジタル機器メーカーのAPOGEEに非ず)のリボン型スピーカーの構造に近いです。
商売上、利益率の高い高級ラインも作らなければならないのでしょうが、原理的に優れた構造のためラインナップの上位下位による音質差は、ほぼ無視できるレベルだと思います。
Yujiさん
2014/07/22
私の中で、近年稀に見る真面目なヘッドホンだと思ったので、色々と暑苦しく書き込んでしまいました。
どうかご容赦ください。
garpさん
2014/07/23
コメント&技術解説ありがとうございます。
ニアリーイコールな平面型=平面がったって事でいいよねって事で
メーカーさんが出してるって事ですね。
リボン型という事は、ADAMオーディオとかで採用されている
ARTツィーターとかと同じような技術って事ですね。
再生帯域の広さもうなずけます。
このヘッドフォンシリーズで、上位モデル~下位モデルの筐体の差が
無いのも構造上で似通うならば、同じものを採用して中のドライバの
構成している金属構成だけ価格をプラスできる分変えて
より良い音を目指そうってスタンスだと考えられますね。
下位モデルを聞いたことが無いので、どの程度差が出るかを
確認できてはいないですが、大きな音の差が無いようならば、
上位と下位の価格比は大きいですが、下位モデルでも
かなりいい音って事なので、今後、このモデルとか
新しく出るモデルとかが普及していくといいですね~。
今後はもう少し取扱いを考えて、コネクタの形状などの
利便性が高くなるともっと売れると思います。
メーカーのブランドイメージがイイとも悪いともわからないのが
売れ行きがUPしない原因かなぁ。
公式とか代理店サイトがもっと頑張ってくれればいいんですがね。
ま、なんにせよ、今後色々なメーカーが平面駆動を売りにして
新作を発表しているので、いろいろと楽しみですね~。