レビューメディア「ジグソー」

30cm/45rpm...12インチシングルの奔り?

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。シングルCD、いわゆる8cmCDはCDショップでは12cmのmaxiシングルに押しやられて肩身が狭そうです。収録時間的には20分超とシングル2~3曲には充分な8cmCDもインパクトという意味では12cmのジャケットにはかないません。そのためmaxiシングルが伸しているような感もあります。しかしこれはデジタル時代に初めておきたことではありません。アルバムが30cm、シングルが17cmであった頃も、シングル曲なのに30cmの規格で造られた盤がありました。そんな「30cm」シングルの奔りのあたりの作品をご紹介します。

...とは言っても。アナログ時代の大型盤シングルと、デジタル時代の大型盤シングルはその方向性が微妙に違う。どちらも販売時に「大きくて目立つ」ということが、ひとつの大きな作成理由ではあるのだが、8cmCD⇒12cmCDは収録時間の大幅な延長(3倍以上)が得られるので、リミックスやカラオケなど主題曲(いわゆるA面)のバリエーションを持たせたり、アナログ時代はB面1曲しか入らなかったカップリング曲を数曲に増やしたり...といった工夫をしている。これはCDの線速度が規格で決まっており、盤の大きさ=収録時間なのだから仕方ない(余剰部分に画像や映像ファイルを置いたものもあるがそれは特殊)。一方アナログの30cmシングルは(収録曲を増やす方に行くとアルバムと変わらなくなってしまうので?)回転数を上げて線速度を稼ぐようにした(33 1/3rpm⇒45rpm)。さらに一般のシングル(17cm)に比べて径が大きいので、さらに線速度が稼げる。これにより情報量が増え、高音質化できる...というのが謳い文句。とはいえ、元盤の音質が×だと物理特性が良くてもダメだったけれどw。ただ、ちょうどディスコブームの頃でもあり低音突っ込んだアレンジで溝がうねるのを、あまり密にカッティングしなくてよい、という利点はあったみたい。またそれはディスコで選曲のしやすさにも繋がっていた。

そんな時代に出た「30cmシングル」。のちには12インチシングルと名称がほぼ統一されたが、でかでかと「30cm 45回転」と書いてあるもの。

作品としてはフュージョンギタリスト、高中正義のもの。1980年前後“JOLLY JIVE”、“T-WAVE”、“虹伝説”

と立て続けに名盤を出していた時期の作品。初期の海をテーマにした夏を感じる曲たち(「Blue Lagoon」や「Ready To Fly」など)から、芸術性を高めた“虹伝説”にわたるまでのちょうど架け橋のような曲たちが収められ、ファンキィかつオケの豪華さが両立した良盤。

SPACE WAGON」はその名の通り、ややスペーシィな?効果音とともに始まり、田中章弘の軽くスラップ..というより「チョッパー」をかましながら軽やかに駆け巡るベースがドライヴィンなフュージョンチューン。ギターのカッティングがリズミカルなAメロ、チョッパーのオクターブ奏法が冴えるBメロ、今は懐かしいボコーダーを小林“ミミ”泉美が操るコミカルなサビと続くが、間奏のあたりからストリングスやハープが入ってくるあたりは、この作品に続く高中の代表作品“虹伝説”のオーケストレーションを彷彿とさせる。

最初からストリングスとブラスが入って、菅原由紀のパーカッションと田中のオクターブチョッパーがラテンに盛り上げる「FINGER DANCIN’」。これは重くて軽い宮崎まさひろのドラムスに尽きるなぁ..(特にキーボードがメロを取る部分のラストのオカズがサイコー!)高中もピッキングハーモニクス&チョーキングなんかの小技を利かせてファンキィ!!

HEART ACHE」はカウベル4つ打ちにローズのコードが絡む、「夜」を感じるようなミディアムチューン。途中で3/4が入るような、造り的に面白いところがあって、オッとさせるのだけれど、1、3曲目の様な華はなく、ちょっとクロウト向け。でも今聴くと高中の小技は一番多いかもしれない。ギターもエフェクターでガンガンに加工するのではなく、コンプレッサーとオーバードライヴ中心に、ハーフトーンも含んだピックアップの切替で音を造っている。オトナの音楽だね(初めて聴いたころは良さがわからなかった)。

12cmCDだけど、12インチシングルの帯を再現。「45回転」!
12cmCDだけど、12インチシングルの帯を再現。「45回転」!
 

家をひっくり返せば中学の時に買った12インチシングルそのものがあるけれど、今回登録は持ってきたCDで。ただ、これ紙ジャケの復刻盤。CDは当時12インチシングル(30cmEPなんて言っていた時代も..)のレーベル面にあったKittyレコードのアイコン、ネコが描かれる。

懐かしいネコのレーベル。CDプレーヤーの中では超高速で@@してんだろうなーw
懐かしいネコのレーベル。CDプレーヤーの中では超高速で@@してんだろうなーw
 

当時、このネコがぐるぐる回るの見ながら、何度も聴いて聴いて聴きまくったなぁ...
そんな想い出が蘇った作品です。

【収録曲】
1. SPACE WAGON
2. PLASTIC TEARS
3. FINGER DANCIN’
4. HEART ACHE

「SPACE WAGON」

更新: 2021/06/12
必聴度

曲の長さを上手く生かしている

繰り返しでない、起承転結がきちんとある作品。

  • 購入金額

    1,260円

  • 購入日

    2014年06月08日

  • 購入場所

22人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (0)

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ20MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが20MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから