レビューメディア「ジグソー」

ASRockが基盤に詰め込んだロマン

※おわび※

レビューというよりなんか色々すげえってだけで終わる長文なのでご注意ください。SASエキスパンダーやポート数生かす環境は組めてないので…。写真は多いんで写真集か何かということで。

 

ASRock。かつてはキワモノ…いわゆる変態マザーで知名度を上げたマザーボードメーカー。かく言う自分もAGPを備えたCore2対応マザー「4CoreDual-SATA2」にはその癖に翻弄されつつも世話になったクチ。

だが、確かな技術力で今となっては定番マザーメーカーの一角を占めており、ローエンドからハイエンドまで幅広く実用的なラインナップをそろえている。

…が、所々で尖ったマザーをリリースする辺りはさすがASRock。その中でも特にこの「Z87 Extreme11/ac」は尖りまくっている。最初にイベントで試作品を見たときは何の冗談かと思った。

!?

更新: 2015/06/06

ASRock A-STYLE体験会より ~公式変態マザー~

2013年6月に秋葉原で行われたASRockのプロモーションイベント。ASRockのMarketing DirectorであるChris Lee氏がセッションを行った。その時書いた日記からZ87 Extreme11の内容を一部抜粋。

 

---

さて、M8が「本気で小型ゲーミングマシン」を目指していてよくまとまっているのだが…別の意味でASRockの本気を見せ付けてちゃっているのがこのZ87 Extreme11。展示品はヒートシンク等がないサンプルモデルだが、色々とおかしい。
他のモデルや新機能があくまで「ゲーミングユーザー」「オーバークロックユーザー」そして通常のホームユースを見据えて「あったらいいな」という部分を実現するのに尽力しているのに対して…これは正直どういうユーザーに向けているのか判らない。よくわからないがすごいのは判った。
 なんかもうすごいんで、世界中のメディアからレビューさせてくれと連絡がきたというその威(異?)容。百聞は一見に如かず。写真どうぞ。 

「カレー屋でトッピングを全部頼んだみたい」というイベントスタッフの発言が的を射すぎている。


詳細な仕様は既にメディアなんかでも紹介されているのだけど、LSIのSASコントローラSAS3008とSASエキスパンダーSAS3X24Rをオンボードして合計16ポートのSAS3ポートをオンボード。

もちろんチップセット内蔵の6ポートもあるので合計22台のストレージが接続できる。

 


電源周りも乗せられるだけ乗せたという感がバリバリで、このサンプルモデルには補助電源コネクタが2個ある。さらに基盤下部にはペリフェラル4pinコネクタが2つ。
スロット間にはMiniPCIexpressとMSATAを合計3つ装備。


Lee氏の紹介でも「Ultra High-end」「Monster」「This mother board is HENTAI」とステキな単語がぞろぞろと。近いうちの発売を目指しているようだが、Lee氏曰く「あまりに実装備品が多すぎてまだ値段がわからない。エンジニアが今がんばっている」。

---
以上当時の日記。試作品なのでヒートシンク類が無く、実装部品がよく見える。試作品といってもほぼ完成系のようだったのか、今回購入した現品と差異は見当たらない。ほぼこのまま製品化してしまったASRockオソルベシ。 あとさりげなく公式で変態認定である。
更新: 2015/09/30
デザイン性

ウルトラハイエンドに相応しい威容

 

さてここからは入手した現品に話を戻そう。

パッケージも巨大で普通のATXマザー箱の2倍の容積はありそう。ご覧の通り格安のアウトレット品なので若干内容に差異はあるかもしれないが。

窓付きで豪華さも演出。

試作品にはなかったヒートシンク類が追加されているが、見る限りそのまま。通常のATXより大きいE-ATX規格の基盤にところ狭しと部品が並べられている。

E-ATXといっても前後幅がATXより大きいだけなので、前後方向に余裕のあるケースならそのまま収められる可能性はある。

 

 全体のカラーやヒートシンクはX79世代からある黒基調でコネクタ類の色わけもなく統一カラー。

 

同じ意匠を持つX79 Extreme6と並べてみた。三角やメッシュを取り入れていたX79 Extreme6より無骨な雰囲気のデザイン。この黒基調のカラーはこの世代までで、9X世代からは明るい色になっている。CPUの大きなX79はATXでCPUの小さなZ87がE-ATXという逆転現象。

 少し大きめの前後幅を生かして、一般的なLGA1155マザーよりCPUソケットを前方にずらし、その分電源フェーズ部に4cmファンを追加。

ヒートパイプで繋がったサウスブリッジ/SASエキスパンダーチップ実装部にも同じくファンを搭載しているのでデュアルファン構成のマザー。

バラック動作でこの威圧感である。

 

尚ファンは2個ともCPUファンに近い細かい動作設定が行えるので、騒音に関しては心配無し。

 

 電源フェーズは12。先述の通りファンが搭載されているので、水冷ユニット搭載でこの辺の熱が篭っても安心。そしてイベント展示品同様EPS8pinが2基という豪快さ。

 そしてなんといっても目をひく合計22ポートのSATA/SAS。チップセット直結のSATAポートはマザー上方に上向き実装され、残りの16ポートが横向きに実装されている。

BIOSはデュアル。UEFI上ではなくオンボードスイッチで切り替え可能。片方が飛んでも切り替えで復旧できる。2つのバージョンのBIOSを混在させる事も可能だ。

 

メモリスロットは片ラッチ式。USB3.0ピンヘッダ4ポート分がSATAとメモリに挟まるようにして実装されており、その脇には24pin電源もあるので、実際組むとこの近辺はケーブルが集中する。

それ以外のオンボードギミックも、OCモデル程ではないにしろ豪華。POSTコード表示にオンボードリセット・パワーボタン。そしてコネクタが直接実装されたUSBポート。それ以外にUSB2.0ピンヘッダが2箇所4ポート分。

またその脇にはSLI/CFX向けのペリフェラル4pin電源が2基。

拡張スロットはPCIex16が4基、PCIexが3基、その隙間に入るようにminiPCIexpress(WiFi&BTカード実装済み)とmSATA*2が押し込まれる。

下3つのPCIex16スロットはブリッジチップ経由となり、Z87チップでありながら多重VGA構成でもx8の帯域を維持できる。

 

その関係でVGA1枚の場合は3個目のPCIex16スロットに挿すのが標準となっており、2枚目が1個目(最上段)、3枚目が2個目、4枚目が4個目のスロットになる。

 

但し帯域の融通は利かず、x16動作が可能なのは3個目のスロットのみとなり、それ以外のPCIexスロットは全てx8動作となる。なので何も考えずに1番上のスロットにグラフィックカードを装着するとx8動作になってしまう。

但しPCIexpress3.0対応カードなら、x8もx16も殆ど性能に差が無いらしいのであまりシビアに考える必要はなさそうだが。

 

サウンドはRealtekだが、回路を独立させた「PritySound」でノイズを低減しているという。

このように流行りの基盤分割ラインもある。

 

そしてバックパネル構成も独特。

 USB2.0が2ポート・USB3.0が6ポート・eSATA(内部と排他)1ポートとここまでは普通だが、ハイエンドらしくデュアルIntelLANを実装。片方コネクタが逆向きになっている。

 

そしてオンボードグラフィックの出力は基本HDMIのみ。DPがあるように見えるが実はこれ「DP in」になっている。バラックでの動作確認の時ハマってしまったのがこのDPは出力しないのだ。

そして脇にある小さいコネクタがあの「Thunderbolt」デイジーチェーンにも対応しディスプレイ以外の機器も接続可能…らしいが対応機器もってない。

先ほどのDP inは何に使うかというと、グラフィックボードから出力したDPを一旦マザーに戻してThunderboltで出力できるというシロモノなのだ。つかわねえーよ。

 

ここまで尖った構成ながらさりげなくレガシーなPS/2が残っているのは好印象。

まさに発売時のASRockがのせられるものを全てのせた感じのウルトラハイエンド。X79やX99より面積には余裕のあるはずのZ87、ましてやE-ATXなのにこのギチギチっぷりは半端ない。

 

 

付属品も結構大目。

でかめの箱が大げさというわけではなく結構色々入っているのだ。

ケーブル類は専用のポーチつきという以前のASRock先生からは考えられない豪華仕様。

付属品の目玉がこのASRock Wi-SD BOX。5インチベイ搭載型のアクセサリだが、USB3.0を4ポートとUSB3.0接続のSDカードリーダーが内蔵されている。内部接続はUSB3.0 2ポート分のピンヘッダで電源供給用の小4pin(変換ケーブル付属)があるのでセルフパワーハブが入っているのだろう。別のマザーにも同じものが付属しているが、リリースされたタイミングを考えるとなかなか先進的。

そして更にマザーボードのWiFiモジュールへ接続するアンテナと、空きスペースを有効活用する2.5インチドライブマウンタ(2基)がある。デザインもシンプルでかっこいいし、これ単品で売っても売れるんじゃないだろうか。アンテナがケース前方に来るのも受信感度という面で有利だし外出しアンテナより邪魔にならない。

更新: 2015/06/06
実用性

さすがに癖も多い

残念ながらSASを生かすどころかPentiumG 20thをのせるというあまりにもったいない環境なのだけど、これはこれでネタということで。

E-ATXだが前後方向に余裕のあるケースならすんなり収まる。今回はLian-Li PC-P50Rに搭載。

 一部裏配線用の穴がふさがったが収まった。

クーラーは簡易水冷でマザーを見せようとしたが、HD7770の2枚挿しもありあまり見えない。

 

ただし実用面では癖も多い。

まず消費電力。これだけオンボードに豪華な装備を並べている(更にRadeonHD7770搭載)なのでシステム全体のアイドルは100Wを超えてしまった。消費電力の低いZ77マザー+Core i7 3770Kに同じVGAを搭載していた時より40W近く高い。

それどころかASRock X79 Extreme6+XeonE5やASUS X99 DELUXEが90W程度に収まっているのでそれらに匹敵するモンスター。

 

一方USB3.0カードをチップセット直結のPCIex1スロットに挿すとうまく動かなかったり、オンボード側のUSBまで引きずられて変な動きをしたりする。

当初若干変わった拡張カードを装着しているせいかと思ったのだが、一般的な小型カードに変えても同じ。結局ブリッジチップ経由のPCIex16スロットに装着することで解決したが、こうすると何故かオンボードのUSBがUEFI画面で認識されなくなるので、UEFI操作時はキーボード等は拡張カードに挿す事になる。

 

それら拡張カード類を使うと帯域不足が出るのか、たまにデバイスマネージャに「不明なデバイス」がひょっこり現れたりする。恐らくオンボードオーディオ系のヤツで再起動したら消えたりする。

当然大量のオンボードデバイスや機能を持っているので純粋な起動速度は遅めだし、UEFIの設定項目も多くて大変。

 

OCに関してはPentiumGの項目を見てもらうとして、OC専門マザーほどじゃないにしろASRockらしい自由度の高さで十分OCを狙えるが、全部入りの大排気量ラグジュアリーセダンでドラッグレースをしている気分なので他の部分を壊さないか怖い。

 

そして大量の電源コネクタ。せっかくなので全部埋めようとすると配線はステキなことになるのでこちらも覚悟しておいたほうがいい。というか一般的な電源だとEPS12Vが2個とかついてないので変換ケーブルも追加だ。まあなくても動くのだけど。

 

確かにベイアクセサリ等実用面で生かしやすい機能もあるのだけどそれは下位マザーにもついている。この「Extreme11/ac」ならではの機能を生かそうとするとハードルが高く、もてあます人が殆どだろう。逆にこのマザー前提でPCを組んだ場合万が一故障したら代えがきかない。

 

一方予想外だったのがASRock Game Blaster Cardの動作。

本来これは1世代前の7X系マザーに向けた専用拡張カードと言える代物なだが、何故か使えた。

動作確認スロットはスロット4。別のスロットだとサウンド部が動作しない・スロット4にさしてもオンボードサウンドと連動してオンオフされるあたりこの特異なカードの仕様どおりに動いているようだ。「ASRock Z87 Extreme11/ac/GB」とでも名乗っておこう

 

更新: 2015/06/06
満足度

唯一無二の圧倒的存在感

とまあ実用性を考えると生かしにくい機能も多いし下位マザーで十分な場面が殆ど。

しかしASRockが全力を出して作ったまさにコンセプトモデルのようなマザーを所有する満足感は変えられない。このマザーを生かすストレージマシンをつくるもよし、自分のようにまったくいかしきれない構成で苦笑いするもよし、いっそ飾ってニヤニヤするもよし。

とにかくウルトラハイエンドの名前に相応しいステキマザーなのは間違いない。当然値段もヤバくて自分では手を出せずイベントでパシャパシャ写真を撮っていたのだが、今年放出されたB級アウトレット品を確保できたのでこの化け物を17000円で入手できてしまった。

なのでこうして嬉しさ炸裂のイミフなレビューを書いている。もうあがめるしかない。

そしてASRockはこのピーキーなZ87 Extreme11/acの後一旦おとなしくなっていたとおもったらITXのX99マザーなんていうとんでもねえモノを出してきてくれた。さすがです先生。

daiyanさんのX99E-ITX/acレビューです。こちらとは逆に小さな基盤に詰め込んだ感がやばい。

  • 購入金額

    17,258円

  • 購入日

    2015年02月05日

  • 購入場所

    TSUKUMO ex

コメント (8)

  • パッチコさん

    2015/06/06

    SASが22ポート!ってだけでも欲しくなる一品です。
    17000円は安いです。
    ネックは消費電力ですね。その昔12台のIDEつないだサーバを作りましたが、
    ケースだけでも異様。これは倍。。。外に出すのもありますが。。
  • cybercatさん

    2015/06/06

    内蔵ドライブだけでドライブレター使い切り!
    さすが先生。

    前世代のチップセットとはいえ、17000は激安だなぁ。
    M/Bの性格的にCPUなんかは最高性能でなくて良さそうだし。
    ストレージ以外は抑えても平気かなぁ...
  • 下小川さん

    2015/06/06

    いやーほんとおっそろしいマザーです。17000円は本当に破格で2~3個出たみたいですがあっというまに消えたそうです。当時7万くらいしてたはずですから…とはいえSASチップなど実装部品分考えるとそれでも決して高くは無いんですけどね。使うかどうかは別にして。

    自分の家はストレージ自体あまり容量を使わないので家中の不ぞろいなHDDを繋いでやっと埋められるとかそういうレベルでしょう…本当に生かせないやつが何買ってんだと怒られそうですが欲しかったんだもん!

    マジメに活かせる構成を考えたら、やはりドライブ大量搭載可能なケースを使って、CPUはそこそこ(さすがにPentiumGは抑えすぎだけど)ストレージに特化したマシンですかね?
他5件のコメントを表示

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ20MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが20MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから