1995年頃前のPC-9800シリーズはIDE接続時に最大約4.3GBまでのHDDしか利用出来なかったため、8.4GBまでをサポートし、本体のIDEコネクターよりも速度性能も良好なこの製品はなかなか意義のあるものだったといえます。
ただ、この時期はIDE HDDの容量がどんどん向上していっていました。あっという間に30GB程度が主流になってしまい、最大容量8.4GBのこの製品もすぐに陳腐化してしまいました。速度の面でも、いくら本体のIDE端子よりは良好とはいえ、理論値での最大速度が10MB/sというPC-9800シリーズ標準拡張バス(Cバス)に接続するこの製品では、HDD接続時には5MB/s前後がやっとであり、物足りないものとなってしまいます。
ただ、この製品には意外な用途がありました。36Pのアンフェノール型コネクターが背面に用意されていて、これを利用して同社製の外付けポータブルHDD、HDPシリーズを接続することができ、USBもIEEE1394も用意されていないPC-9800シリーズにとっては数少ない、手軽なHDD外付け手段が用意されていたのです。OSの起動にこだわらなければ8.4GB超のHDDも接続可能であったため、私もHDPシリーズのケースに余った2.5インチHDDを詰めて使っていた時期がありました。
さらに、メーカー公式情報ではHDD以外の機器に対応しないということになっていたのですが、実際には光学ドライブなども接続可能でした。前述のアンフェノール型コネクターは、実は後年アイ・オー・データ機器で広く採用されていたiCONNECTとピン互換であり、HDPシリーズ用のケーブルでiCONNECT機器と直接接続することでCD-RやDVD-Rドライブを使うこともできたのです。私自身もPC-9821Ra333/W60にIDE-98を装着し、アイ・オー・データ機器製のポータブル型光学ドライブ複数を使ってCD-RやDVD-Rを書き込んでみて、無事に成功させています。
さすがにPC自体の性能が低く、DVD-Rドライブも2倍速のものしか用意出来なかったため、実用性はあまり感じられませんでしたが、Windows時代になっても活用出来る数少ないCバス製品だったように思います。
-
購入金額
0円
-
購入日
不明
-
購入場所
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。