レビューメディア「ジグソー」

「TOTOのギタリスト」というのがプラスにもなりマイナスにもなり

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメントです。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な想いです。有名バンドの一員がソロを出す、というのは難しい面があります。元のバンドではできないことをやりたい、元のバンドとは違うメンツとやりたい、元のバンドとは違うアプローチで攻めたい....そんな欲求でソロアルバムを作成される場合が多いようですが、元バンドとあまりにかけ離れていた場合、既存のファンに受け入れられるとは限りませんし、変わらなければなんのためのソロなのか意味がなくなってしまいます。バンドが成功を収めたあと、そのフロントマンがはじめて出したソロアルバムをご紹介します。

Steve Lukather(Luke)。いわずと知れたTOTOのギタリスト。凄腕のスタジオミュージシャンとして何でも弾きこなせる腕前と、他者とのコミュニケーション能力も優れ、特に1980年代は引く手数多のプレイヤーだった。ただTOTOというバンドに関してLukeが以前言っていたのが「あれはJeff (Porcaro)と(David) Paichのバンドだ」、と。再結成前の後期の一時期はJeffが他界し、Paichがツアーに帯同せず、専属のヴォーカリストがおらずLukeがメインヴォーカルを取る曲がほとんどになった時期もあり、必ずしも「JeffとPaichのバンド」という色彩はなくなっていたが、結成当時のいきさつや(Jeffが声をかけたといわれている)、プライベートな関係(少年時代から親交があるJeffのほうが年上)などから少なくとも初期はたしかに「TOTOはJeffとPaichのバンド」だった。

そのTOTOはグラミー賞6部門制覇の“TOTO Ⅳ”

を4作目にしてリリースし、頂点を極めたあとヘヴィロックへの傾倒、

ソウル調の導入、

と目先を変えながら、その後1stや4thの雰囲気を持つ、彼らにとっては王道回帰の方向性の7thアルバム“The Seventh One”を出そうとしていた。

その時期に作られたのが本作、“LUKATHER”。スタジオミュージシャン稼業で培った広い人脈での豪華なサポート陣による白熱のプレイと当時のTOTOのAOR路線とは異なるハードなプレイが聴かれる。

「Twist The Knife」。故Carlos Vega

のハイハット4つ打ちのリズムがグルーヴィなロック!!ベースの刻みが速く、フィルインがノリノリだと思ったら、Edward Van Halenかいな!Lukeのソロもノリノリ!

「Fall Into Velvet」はライナーに“All solos live - NO OVERDUBS!”と大文字で明記されるソロ合戦が見られるへヴィなマイナーバラード。Luke(左ch)⇒Jan Hammer(センター)⇒Steve Stevens(右ch)の順番にソロが取られるが、Janのモノシンセサイザーソロは野太い音にディストーションをかけてまるでエレキギターのよう。Steveのソロも、「その音どうやって出してんの?」というようなブチ切れたもの。Cindy Mizelleのコーラスのフェイクがクロいな。

「Drive A Crooked Road」はJohn Pierceの8分音符刻みのステディなベースとは裏腹に故Jeff Porcaroのシカケがあるパターンが楽しめるアメリカンロック。Aメロでは偶数小節の2拍目のスネアを抜いた変拍子風の拍取りのおかげで?Bメロの2小節目に3/4が挟まれるのが実に自然...というw..LukeのソロはTOTOの1stを髣髴とさせるやんちゃで元気の良い弾きまくりソロ。

全体としてはかなりのロックアルバム。(当時の)TOTOのイメージで聴くとかなりへヴィ。後に“Kingdom of Desire”を出した頃のLukeがメインヴォーカルもかねた時代のTOTOなら違和感ないけれど、当時(7thの頃)のTOTOファンがその延長線上で聞こうとするとかなりハード。でもきっとTOTOではできないからこうなったんだよね、と。これが後のソロ

に発展するわけだけど、2ndのガッチリバンドで固めた構成ではなく、TOTOのメンバーを含む多彩なゲストプレイヤーが参加した1stは逆にTOTOは重ならないイメージ。
この頃まだスマート...ww
この頃まだスマート...ww
TOTOのギタリストのソロアルバムということで、TOTOプラスギターハードプレイ程度を期待して聴くと★2つ。TOTOを抜きにして聴くと★4つ。そんな感じです。

【収録曲】
1. Twist The Knife
2. Swear Your Love
3. Fall Into Velvet
4. Drive A Crooked Road
5. Got My Way
6. Darkest Night Of The Year
7. Lonely Beat Of My Heart
8. With A Second Chance
9. Turns To Stone
10. It Looks Like Rain
11. Steppin' On Top Of Your W

「Twist The Knife」

  • 購入金額

    2,348円

  • 購入日

    1990年頃

  • 購入場所

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