所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。プログレッシヴロック、とくに後の変拍子と頻繁に変わる曲調をステレオタイプに採用した「商業プログレ」ではなく、初期のプログレには「コンセプトアルバム」という作品群がありました。作品を貫くテーマ、それにあわせた曲、複数の曲でひとつの作品を成すようなアルバム。cybercatの若きころw、そういった作品の扉を開いてくれたアルバムをご紹介します。
とはいえ。これはプログレッシヴロックではない。何度かご紹介している凄腕スタジオミュージシャンのユニットTOTOの2ndアルバム。1stアルバムは
その卓越したテクニックと、難解でない曲、ごった煮のようにさまざまなジャンルの良質なオリジナル曲で日本では早くから火がついた。
ただ本国ではシングル(「Hold the Line」など)のスマッシュヒット(5位)はあったが、アルバム自体は9位にとどまり、どちらかといえば「アルバムアーティスト」である彼らにとってはやや不本意な結果に終わる。
そこで、アルバムの構成曲の統一感を出し、「アルバムカラー」を追求したのが本作、“Hydra”。ギリシャ神話に登場する蛇獣、ハイドラをモチーフにしたアルバム。ジャケットの蒼いカラー、(TOTOのモチーフともいえる)剣を手にたたずむ青年(メンバーのLukeことSteve Lukatherらしい)、インナーのメンバー紹介の写真もおどろしい感じの作り。
そして1stのポップさに比べて、一発目の音がオーケストラルな低音のヒット、それに続く変拍子のピアノのパターン、象徴的な歌詞で重厚にプログレッシヴに始まる「Hydra」、続く「St. George And The Dragon」はそれを討伐する聖者を、悪いヤツに虐げられた彼女を救う自分に投影した歌詞と続く。曲調は違えどカラーは貫かれている。
「99」はTOTOを代表するバラードで、今でもライヴで演奏されるが、甘い声のLukeがバラードヴォーカル担当としての地位を確立した曲か。曲としては、George Lucasの作品(THX 1138)を素材にしたというラヴバラードでイメージがやはりかぶる。バラードなのに、3拍目のウラにベースのスラップ音が、さらにその16分音符ウラにカウベルが入るという、凝ったリズムを持つスロー16ビートなのが鬼。Lukeのあまり歪んでいない暖かいディストーションギターのエンディングソロが神。さらに曲の終末にDavid Hungateの美しい指弾きのベースソロがあって、ラストコードは長調解決というのが、哀しい一方通行のラヴソングであるこの曲に救いを与えている。
一転して「All Us Boys」はこのアルバム随一ともいえる(そしてアルバムカラーとは少し外れている)、イキのいいロック!ノリノリの曲で中音域メインのこの曲はDavid Paichがメインヴォーカル。複数ヴォーカルが取れる面子がいる中で彼はややソウル寄りの味わいがある彼の声が、ロックンロール風のこの曲に彩を与えている。ドラムスは故Jeff Porcaroのテクニックとアイデアとグルーヴに溢れており、単純な「ロック」に終わらせない。cybercatとしては、譜面としては比較的簡単なこの曲が、ノリやニュアンスも含めて完璧に叩きこなせれば、ドラムやめてもよいなw
「White Sister」は、先の「All Us Boys」とは対を成す?マイナーのハードロック。やはり蒼く暗い感じのイメージだ。ハーフオープンの4つ打ちハイハットと8分音符刻みのディストーションギターの低音弦の刻み、繰り返される覚えやすいギターのリフと王道路線。伸びる高音のシャウトヴォーカルはBobby Kimball。Lukeのギターは弾きたおしパターン、Jeffのドラムはデッドな音造りがメインだったこの時代にしてはかなりライヴに録られており、目の前で炸裂する音。途中のブレイクでのブルージィなピアノのオブリや、フェードアウト際の倍速リズムが彼らのセンスだ。
アルバム自体とても語りかけるものがあり、cybercatのプログレへの下地を作ったともいえる。
ただアルバムセールス自体は前作を下回り(全米37位)、彼らは3作目
ではソリッドなロックに方針を変える。
芸術性と、商業的完成度のバランスは、難しいという一例です。
※cybercatはLP時代から複数枚本作を購入しているが、最新のリマスタリングがすばらしいとのこと。ハイレゾ逝きたいナァ...
【収録曲】
1. Hydra
2. St. George And The Dragon
3. 99
4. Lorraine
5. All Us Boys
6. Mama
7. White Sister
8. A Secret Love
「All Us Boys」
やっぱりこのアルバム、好きだ
TOTOのエッセンスとしての1st、メンバーの様々な音楽フィールドでの経験をフィードバックさせた初期路線(初期メンバー)のゴール“TOTO Ⅳ”、かれらのグループとしての最高到達点“The Seventh One”。
TOTOのベスト3はこのイースーチーの筋の剣ジャケットアルバム3枚だと思うが、この作品感性的に合うンだよな~。理由なく?「好き」。
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購入金額
2,800円
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購入日
1987年頃
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購入場所
mokaさん
2013/06/06
cybercatさん
2013/06/06
「商業ロック」と揶揄する向きもありましたが、ロックが商業として成り立った、と言うのはやはり「輝いていた」時代なんでしょうね。
北のラブリエさん
2013/06/06
楽しいですよー!
cybercatさん
2013/06/06
「できたら」ですがww
北のラブリエさん
2013/06/06
けっこう思いがけない作品がありますぜ。
//海外のサイトは規制がかかってきて。。。
cybercatさん
2013/06/06
けっこう思いがけない作品がありますぜ。
この間見ました!レアものもありましたねぇ〜