Androidベースの据え置き型ゲーム端末“OUYA(ウーヤー)”。
クラウドファンディングサービスKickstarterにおいて、6万3000人の支援者から859万ドルの資金を集めるという記録的な支持を集め注目されている。
ゲーム市場の主流がスマートフォンやタブレット、ソーシャルゲームに移りつつあり、クリエイターたちも自由で低コストなゲーム開発を志向しつつあるとの認識のもと、スマートフォンアプリを家庭用ゲーム機にもたらし活気付けようというコンセプトで開発された。
公式サイトにてプレオーダーしておいた物がついに届いたのでレビューしてみよう。
■ 外観を確認してみよう
OUYAという文字だけが書かれたシンプルな外箱。
箱を開けるとベンチャー企業ならではの趣向が。
プレオーダー品なので、一般販売品とは外箱のデザイン等が異なるようだ。
本体とコントローラ1つで1セット。価格は$99.99。
別売りのコントローラは$49.99。
手の平に乗せられるほどコンパクトな本体。
ルービックキューブを一回り大きくしたくらいのサイズ。
ポート類は、AC電源コネクタ、LAN、MicroUSB、USB、HDMI。
上部には電源ボタン。
コントローラはBluetooth接続。
Xboxのコントローラとほぼ同一サイズ。
グリップ部分が外に突き出ているので、多少の握りにくさはある。
真ん中の黒い部分がタッチパッドになっているらしい。
左右のグリップ部分のカバーが外れるようになっていて、ここに電池を入れる。
なかなか面白い仕様だ。
同梱物は、他にHDMIケーブル、ACアダプタ、単三電池、説明書。
ACアダプタのプラグは日本に対応したAタイプのものであった。
別包みで変換プラグ(右下の白い物)がついてきたが、これは不要だろう。
■ ハードウェア仕様
ハードウェア仕様は以下のとおり。
【OS】Android4.1 Jelly Bean
【CPU】ARM Cortex-A9 クアッドコア 1.6GHz
【GPU】NVIDIA Tegra 3 T33
【MEM】1GB LPDDR2(32ビット/シングルチャンネル)
【ストレージ】8GB 内蔵フラッシュメモリ
【ビデオ出力】HDMI端子(HDTV 1080p、1080i、720p)
【オーディオ出力】HDMI端子(5.1chサラウンド)
【ネットワーク】有線LAN、無線LAN 802.11 b/g/n、Bluetooth LE4.0
【I/O】USB2.0×1、Micro USB×1、有線LANポート×1
【電源】ACアダプタ(入力:100-240V、50-60Hz、0.7A 出力:12V、2A)
【本体サイズ/重量】幅75×奥行き75×高さ82mm/300g
販売開始までに時間がかかったので見劣りする仕様になってしまったが、Androidアプリを扱う上では十分なスペックといえるだろう。
OUYAのCEOであるJulie Uhrman氏によると、毎年新型機をリリースする計画があるとのこと。
一般的な家庭用ゲームよりも製品サイクルは短く、スマートフォンに近いものになりそうだ。
■ 初期設定してみよう
AC電源、HDMIケーブルを接続して本体上部の電源スイッチを入れる。
“ウーヤー”という低い声とともにタイトル画面が表示された。
コントローラをペアリングする。
コントローラ上のUボタンを長押しすればペアリング完了。
Wi-Fi設定。SSIDとパスワードを入力。
ネットワーク設定が終了するとファームウェアのアップデートが開始された。
アップデート終了後は自動的にリスタート。
リスタート後にアカウントとクレジットカードを登録する。
以上で設定完了。
■ ゲームをプレーしてみよう
シンプルなメニュー画面。
まずはDISCOVERを選択する。
するとアプリストアが表示される。
ここからアプリをダウンロードする。
アプリストアはOUYA独自のものであり、Google Playとは連動していない。
OUYAではすべてのゲームに“無料体験”(Free-to-Try)を提供することを義務付けている。
まずは体験版で遊んでみて、気に入ったら製品版を購入すればいい。
Android版のFPSタイトルとして有名なSHADOWGUNをダウンロードしてみた。
有名どころだけあって、作りがしっかりしており、グラフィックも綺麗。
CHRONO BLADEのDEMO版。
ハック&スラッシュ系の横スクロールアクションゲーム。
個人的に注目しているタイトル。
デモ版ということもあり、多少のラグを感じる場面もあったが、連続コンボでモンスターを薙ぎ倒す爽快感があって面白い。
正式版がリリースされたら購入しても良いかなと思えるレベルであった。
こちらは脱力系ゲーム“AMAZING FROG”。
ふにゃふにゃなカエルが吹っ飛ばされるだけのゲーム。
吹っ飛び具合が派手なほど高得点が得られるという謎仕様のゲームなのだが、このくだならさが逆に味があっていい。
大手のタイトルもリリースされている。
SQUARE ENIXのFINAL FANTASY III。
■ ストレージ容量は・・・
8GBの内蔵フラッシュメモリを搭載しているが、これはOS等のシステム領域を含めた容量である。
データ保存に使える容量は僅か5.8GB余りしかない。
では、外部ストレージはどうかということで、外付けSSD、USBメモリ、カードリーダーを試してみたが、いずれも認識されなかった。
ストアからのダウンロードを前提としているからには、ストレージが5.8GBでは不足してしまいそうだが、これでやりくりするしかなさそうだ。
■ ゲーム機以外の機能もある
OUYAには標準でブラウザがインストールされているので、ちょっとしたリビングPC的な使い方もできる。
コントローラのアナログスティックで画面スクロールするのは厳しいので、タッチパッドにスクロール機能がほしかった。
そこで、無線マウスが使えるかどうか試してみた。
結論としては、使えるようで使えなかった。
センターホイールのスクロール、サイドボタン(進む/戻る)も動作した。
しかし、文字入力欄にフォーカスしてもソフトウェアキーボードが表示されなくなり、文字入力ができなくなってしまった。
■ 総評
99ドルという低価格にしてはハードの質感は上々だ。
bluetoothや無線LANのワイヤレス接続も安定している。
問題なのはゲームの品質と品揃えだろう。
アプリストアをざっと見渡してみたが、課金しても良いと思えるレベルには達していない低質なゲームも目立つ。
加えて、ゲームの数が少ない。
OUYAでは、開発用キットは無償で公開され、更にはソフトウェアのライセンス料も無料だという。
オープンな開発プラットフォームは、クリエイターの新規参入を促すのだろうが、参入障壁が低くなれば必然的に低質なものが増える。
良いも悪いもオープンであること。
それこそがAndroidらしさなのではといわれれば、確かにそうなのだろうとも思う。
Google Playには上質なゲームが豊富に揃っている。
しかし、OUYAは独自のアプリストアを立ち上げる方法を選択した。
一定の品質を保つこと、十分なタイトル数が提供されること。
この2点が満たされなければ、ユーザーは徐々に不満を感じるようになるだろう。
ゲーム業界に革命を起こす存在に成り得るかどうか。
期待感を持ちつつOUYAの今後の行き先を注目していきたい。
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購入金額
9,200円
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購入日
2013年07月04日
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購入場所
OUYA
Kvartさん
2013/07/07
かなり悩んでオーダーしなかったんですけど、ちょっと後悔の念を感じます。
やはりこういう取り組みは応援したいですね。
カーリーさん
2013/07/07
お値段の割には作りがよさそうですね。
yachさん
2013/07/07
そうですね。応援したくなります。
どこまでやれるのか期待したいですね。
yachさん
2013/07/07
そうです。現物なのです。
一時期は届かないのではと思うこともありましたが、無事届きました。
1万円にしては作りはしっかりしていますよ。