レビューメディア「ジグソー」

これもPC-9800で動かしていました

かつてのx86系互換CPUの雄、Cyrixの名前を冠していましたが、実際の開発チームはCentaurHauls、つまりIDTでWinChipシリーズを開発していた部隊であり、実質的にはSocket370互換のWinChip系後継製品というべきものでした。

Socket370、それもPPGA互換ということで、当時当然のように試したのが、PowerLeap PL-Pro/IIを併用しての、PentiumPro搭載(=Socket8採用)PC-9800シリーズでの動作でした。

当時私が持っていたSocket8採用のPC-9800シリーズ本体は、PC-9821Ra20/N12とPC-9821Ra18/N20でした。この2つはベースクロックの設定さえ合わせてやれば、ごく僅かなマイナーチェンジが施されている程度の差でしかない本体です。

ところがどういうわけか、CyrixIIIは何度試してもPC-9821Ra20/N12の方では起動に成功するのですが、PC-9821Ra18/N20では全くの無反応となってしまうのです。もっとも、正常動作させるために組み合わせるメモリの条件もかなり厳しいものがあり、私の手持ちのSIMMでは、1枚当たり64MB以上のものという、余り一般的には売られていなかったような仕様のものを使う必要がありました。動作するのがわずか1機種だけと条件がかなり限定的なものであり、PC-9800シリーズ上でCyrixIIIを使ったユーザーは極めて少数だったようです。

これだけ厳しい条件であっても、動かすことで何かしらメリットがあれば良かったのですが、生憎苦労して動かしても得られるパフォーマンスはかなりお粗末なものでした。当時主流だったCoppermine PentiumIIIどころか、一世代前のMendocino Celeronの同クロック動作時と比較してもパフォーマンスは全く及ばなかったのです。

強いていえば比較的発熱は少なかったという美点はあったのですが、単純な演算能力だけではなくメモリアクセス速度に難があったため、体感速度の遅さはいかんともしがたいものがあり、結局実験以上の目的で使うことはありませんでした。

きちんとした対応環境で使っていれば、特徴の低発熱・省電力によるメリットも享受できていたのでしょうが、PC-9800環境で使う限りにおいてはメリットを見つけ出すことが難しい製品であったといえます。
  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2001年頃

  • 購入場所

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