実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
前回ご紹介した
Marion Zimmer Bradley(マリオン・ジマー・ブラッドリー)の手になる連作。地球で言えば科学技術は中世程度のダーコーヴァと呼ばれる惑星で、独自の文化や能力を護りつつ、でも強大な地球帝国との共存の道に飲み込まれていく、そんな舞台での人間模様を描いたシリーズ、“ダーコーヴァ年代記”。
和訳された第2作は、やはりダーコーヴァにいる地球人が主人公(のひとり)だ。父親の仕事について辺境の地、ダーコーヴァにやってきた赤毛の少年ラリー。他の地球人は、地球語で通し、現地の言葉には興味を示さないが、はじめての外世界に夢を膨らませるラリーは、宇宙船の中でも、彼らの言葉を学習するのに余念がなかった。
はたして到着した異世界!でも地球人街は変わりばえしない地方都市だった。そんなときラリーは現地の赤毛の少年に出逢う。自分と同じダーコーヴァ人と思いラリーに話しかける少年ケナード。これがこの2人の少年の永きにわたる交流の始まりだった。
その後、地球人街から外に出ようとしない他の少年たちとは異なり、ラリーは一人でダーコーヴァ人の居住区を訪れるようになる。しかしそこで街の不良少年にからまれたラリー。彼らと互角に戦いながらも一対多数で劣勢になっていたところにあらわれたのが、くだんの少年ケナード。彼はこの惑星を統べる貴族の家柄オルトン家の跡取りだった。彼の仲裁で、一対一で闘うことになったラリー。個人主義の徹底したダーコーヴァでは話し合いで解決するよりも、正々堂々と闘うことを尊ばれると学ぶラリー。ラリーはケナードが興味を示した地球や宇宙の本を次に会うときに持ってくる約束をして別れる。
しかしそんな面倒ごとに巻き込まれたラリーに父親は外出禁止を言い渡す。ケナードと約束した日付は刻々と迫る。父の言いつけを守るか、それとも新しくできた友人との約束を守るか。悩んだラリーは、「地球人も約束を破らない」ことを証明するために禁を破ってケナードの家に行く。そこでケナードの父、ダーコーヴァ政府の有力者、ヴァルター・オルトンと逢い、父に止められていたが約束を守るために来た、しかしもう来られないだろうと告げ、帰宅した。
父の怒りは強かったが、数日後地球政府行政局に「息子との友人関係を続けさせなかった」としてヴァルターから抗議が入る。個人主義、独立心が尊ばれるダーコーヴァでは「大人」として扱われる年齢に達していたラリーは、ダーコーヴァ人との交流を推進したい行政局の意向もあり、地方のオルトン家領地に行くことになる。
そこでバカンスを過ごすつもりであったラリーたち一行は山火事に巻き込まれる。宇宙旅行の時代に中世的な「防火帯を築く」という延焼防止の手段しか持たないダーコーヴァ人。防火帯が破られたとき、ラリーはダーコーヴァ人貴族が超能力で雲を集めるのをみることになる。見事雲を集めたが、雨のきっかけがない。そのとき地球ではドライアイスで人工的に雨を降らせていたことを思い出したラリーは、それをなんとか彼らに伝え、二酸化炭素の空気のかたまりを冷気にぶつけることで、雨を降らせることに成功する。彼らは、魔力と科学は補い合うことができることを感じる。
喜びも束の間、この山火事が敵対勢力が男たちを彼らの住居から離すためのものだったことが発覚し、急ぎ家路につくラリーとケナードは戦闘に捲き込まれ捕まってしまう。からくも脱出したが、居住地に帰るためには、亜人が住むエリアを通ったり、険しい峠を越えなければならない。
ふたりはときに反発し、ときにぶつかりながらも、ケナードの超能力とダーコーヴァに関する知識、ラリーの機転とポケットに入っていたわずかな地球産の道具を用いてその困難にたちむかっていく。
彼らはいかにして、魔獣のすむ峠を越えるのか、ふたりは父達が待つ街には帰れるのか?ダーコーヴァ人と地球人の未来は?彷徨のさなか出逢った伝説の妖精チエリが告げる意外な事実とは・・・シリーズの他の作品と違って性の問題などをほとんど扱っておらず、二人の少年を軸に書かれる物語は、少年が読むのに適しているが、ジュヴィナイルと言ってしまってはもったいない、でも(cybercatが読んだときは今よりもっと若かったけどw)もっと心の柔らかだった頃に出逢いたかったと思った青春・成長物語。
絶版中も熱烈再版希望、できるなら児童向けのシリーズで!
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購入金額
360円
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購入日
1986年頃
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購入場所
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