レビューメディア「ジグソー」

クロックマルチプライヤでFSBの限界を超える

Socket 5/7のCPUを搭載したPC向けのCPUアクセラレーターは、一時期かなりの流行となりました。これはIntel自身はMMX Pentiumを最後にSlot1/Socket 370に早々に移行したのに対して、AMDをはじめとするその他各社はSocket 7向けの新CPUを発売し続け、結果的にSocket 7向けのCPUは性能面で大幅に進化し続けたことが大きな理由となっています。

個人的にはPC/AT互換機を使っていたのであれば、Socket 7に固執するぐらいなら早々にSocket 370に移行するべきと思っていましたが、PC-9800シリーズのユーザーにはこれが大きな救いとなっていたのは事実です。

ただ、K6-III 400MHz辺りまではFSB 66MHzまでしかサポートしないマザーボードでも定格通りの周波数で使うことが出来た(基本的にはFSB 100MHz×4倍の400MHzを想定しているが、内部倍率が6倍まで存在していたためFSB 66MHz×6倍の400MHzでも動作した)のですが、後に発売されたK6-2+、K6-III+では500MHz台の周波数が規定されていて、FSB 66MHzのPCでは定格クロックで動かすことが困難な事態となっていました。

そこで登場したのがBUFFALOから登場した「クロックマルチプライヤ」技術を搭載したCPUアクセラレータ製品群でした。これらの製品はPC/AT互換機とPC-9800の両方に対応した、通称「NV4下駄」と呼ばれる変換ソケットを採用して、このソケット上でFSBをシステム側の1.5倍または2倍に引き上げた後にCPUを動かすため、CPU自体はFSB 100MHzまたは133MHzで動作しているのと同じクロック周波数で動作することが出来るというものでした。ちなみにこの「NV4下駄」は、後に玄人志向から「HK6-NV4」という製品名で単品販売されたこともあります。

私も以前メインPCとして使っていたPC-9821Xt13/C12をはじめ、多くのPC-9800シリーズでこの製品を使いました。ただ、クロックが上がったK6-2やK6-2+よりも少しクロックが低いK6-IIIやK6-III+の方が快適性がより高いことが多かったため、最後はほぼ全てのSocket 5/7のPC-9800シリーズでK6-IIIを使っていた記憶があります。

いずれにしてもこの製品や、Socket 8用のソケット変換アダプター、PowerLeap PL-Pro/IIの存在がWindows 2000世代までPC-9800シリーズを現役で保たせてくれていたわけで、この類の製品を発売し続けてくれたBUFFALOやPowerLeap等の各社には今でも感謝しています。
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